Category Archives: 再編成されるLife(生活/生命/人生)

「新しい孤独」と文化基盤あるいは新自由主義

 

■孤独・孤立対策担当大臣の設置

孤独は、日本社会のどこに身を伏せているのか。

2007年、ユニセフが日本の「子どもの孤独」を報じ話題となりました(「レポートカード7」)。しかしその後このテーマを正面から論じ、政策面への反映がなされることはなかったのです。それはユニセフ自身が、日本の数値の異常さに対し、「質問を別の言語と文化に翻訳することの困難を表しているのか、あるいはさらに調査の必要がある何らかの課題を示しているのか」といった注釈を入れていたせいかもしれません。

時間は流れ2021年2月、政府は世界で2番目となる孤独・孤立対策担当大臣(坂本哲志氏)を任命、内閣官房に孤独・孤立対策担当室を設置しました(最初の設置は英国)。ここでは子どもが射程に入ると同時に「ひきこもり」や「女性の貧困」などがキーワードになっています。 Continue reading

 

賃金と企業の生産性|マルチリレーション社会の創造を

◎「個人のリレーションシップと社会生活」の有り様を今までものからマルチへ変えていく必要がある。社会に出てからの新しい人間関係が多様で豊かなものになるには?◎

格差」が世界的な問題となっています。が、日本社会のそれはより深刻な課題が根底にあるようです。賃金がここ30年ほど横ばいで推移しているのです。 Continue reading

 

書評|クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界

◎「誰もが経済についてしっかりと意見を言えることこそ、良い社会の必須条件であり、真の民主主義の前提条件だ」。
そう考え、経済を身近なものと感じられる助けになる本を書きたかった、経済学大学教授によるSF小説。◎

「刺激的な思考実験と、完璧に独創的なSFナラティブが織りなす一冊
(アルフォンソ・キュアロン 『リトル・プリンセス』『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』『ゼロ・グラビティ』『トゥモロー・ワールド』の監督)」


(Yanis Varoufakis: ‘Brexit is like watching a train crash in slow motion’ | British GQ | British GQ https://www.gq-magazine.co.uk/article/yanis-varoufakis-brexit-interview

目次
■経済学者が書いたSF小説
読むときっと満足する読者像
HALPEVAMとは
民営化と証券化、そしてIT
金融の黒魔術
資本主義を終わらせるテクノ反逆者
資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界
ヤニス・バルファキスとは Continue reading

 

ラス・カサスの「普遍性」

◎ラス・カサスは、「人類はひとつ」を押し立てて、16世紀、スペインによる、征服戦争を背景にした新大陸(インディオス)先住民に対する強引な改宗や迫害を告発したドミニコ会士。平和的改宗計画と先住民の人権擁護をスペイン国王に訴え、「インディオス新法」を発布させた(1542年)◎

目次

1.スペインの征服戦争とポルトガルの交易競争
2.キリスト教世界の価値観の普遍性が試される

3.ラス・カサスとビトリアの「普遍性」
4.21世紀の「普遍性」論へつながるセプルベダとラス・カサスの論争

 

1.スペインの征服戦争とポルトガルの交易競争

ヨーロッパ諸国家による非ヨーロッパ地域の植民地化

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ジェンダーギャップ指数とは

◎国際オリンピック委員会(IOC)は2021年2月9日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の発言「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」に対し、コメントを発表、「著しく不適切(absolutely inappropriate)」としました。

The recent comments of Tokyo 2020 President Mori were absolutely inappropriate and in contradiction to the IOC’s commitments and the reforms of its Olympic Agenda 2020.
(IOC Statement on gender equality in the Olympic Movement - Olympic News https://www.olympic.org/news/ioc-statement-on-gender-equality-in-the-olympic-movement

日本人はすっかり忘れていましたが、実は東京オリンピックこそ「ジェンダー平等」を掲げる初の大会であり、同時にこちらは日本人があまり意識してこなかったことですが、世界の中で日本は「 #ジェンダー平等 」後進国と認識されてきていたのでした。そしてこの文脈で常に引用されるのが「 #ジェンダーギャップ指数 」でその16回目の調査結果「世界ジェンダー・ギャップ報告書(Global Gender Gap Report)2020」は2020年12月16日に公表されたばかりでした。

男女間の不平等、ジェンダー格差が少ない国から序列づけるこの調査は対象国153か国。この中で日本は121位と前年の110位から11だけ順位を下げ、過去最低の順位となっていました。中国にも韓国にも劣る順位です。 Continue reading

 

感染症法33条とは


(追記:2021年1月9日)

「宣言」があってなお、TV画面の一部を使って危機管理情報をテロップで流す、3.11の時のような対応をしているのはNHKだけ。そもそもTVを見る人が減っている。この状況で、「危機感」を伝え行動変容を具体化するには、もはや感染症法33条が最後の手段。

★33条発動で期待される効能★
(たとえ日曜日一日だったとしても)

1.行動変容を促す強力なメッセージとなりうる
2.TV・新聞を読まない人との「危機感」共有が可能
3.人流、人と人との接触時間の物理的な削減


 

◎自衛隊に看護師派遣要請するのはもはや「緊急事態宣言」段階でないだろうか。大阪市、札幌市は医療崩壊を食い止められるか。(2020年12月9日北海道へ、14日大阪府へ自衛隊は看護師を派遣。そして2021年1月2日首都圏知事ら緊急事態宣言要請
ロックダウンが不可能な日本での最後の切り札が感染症法33条かもしれない。

移動制限は日本で可能か

2020年の3月、東京都知事が「ロックダウン」の単語を口頭で使った際、日本でも西欧諸国のような「移動制限」の強制が法令で可能かが議論になった。答えは「否」で「要請」しかできない。 Continue reading

 

■こうすれば感染の拡大を防ぐことができる 新型コロナ感染症

2020年1月16日、厚生労働省が中国の湖北省武漢市に滞在し、日本に帰国した神奈川県在住の30代の男性から新型コロナウイルス、陽性反応があったことを発表しました。

あれから7か月以上が経過、この間、人々は感染を防ぐ方法に関心を持ってきました。わかってきた、感染を防ぐ方法には大きくふたつがあります。

感染を防ぐ:social distancing、マスク、手指衛生 

感染者が話したり、歌ったりしたとき出る飛沫を受けないことが大事。飛沫に含まれるウイルスが喉や鼻、また目などの粘膜から侵入してくる、それを阻止するのです。

伝搬を防ぐ:社会全体の移動の量をできるだけ少なくする

感染者がいる集団Aから、いない集団Bへ、感染者が移動することで、集団Bへのウイルスの移動が生じます。移動して初めて集団Bでの感染の可能性が生じます。移動の量を少なくすることで、新型コロナの伝搬を阻止することができます。 Continue reading

 

■東京と大阪は何が違うのか 新型コロナ対策

第二波はピークアウトか 全国合算なら

東アジアをはじめいくつかの国で、新型コロナの感染状況について小休止の様相があるものの、世界全体で新規感染者数を合計すると、まだまだ「収束の兆しが見えない」というのが、現状です。全体の動静と地域ごとの情勢が必ずしも同じでないのも、この新型コロナの特性のよう。

それで、日本は? Continue reading

 

■ヒトが病原体を「感染症」の犯人にした

中学三年生の「保健」と感染症生態学

今年度の学習指導要領に、中学三年生の「保健体育」で、「感染症の予防(新型コロナウイルス感染症)」が新たに単元として追加されています。
・「感染症の予防(新型コロナウイルス感染症)」

その中で、「単元の評価基準」のひとつとして、

A:感染症は,病原体が環境を通じて主体へ感染することで起こる疾病であり,
B:適切な対策を講ずることにより感染のリスクを軽減すること,また,
C:自然環境,社会環境,主体の抵抗力や栄養状態などの条件が相互に複雑に関係する中で,病原体が身体に侵入し発病すること

について,「理解したことを言ったり書いたりしている」かをあげています。
(「改訂『生きる力』を育む中学校保健教育の手引」追補版 https://www.mext.go.jp/content/2020430-mext_kenshoku-000006975_2.pdfContinue reading

 

■感染症対策は危機管理上重大な局面に 新型コロナ

◎Covid-19 新型コロナの感染症対策は危機管理という観点から検討すべき事項です。社会という「集団」を単位にした問題だからです。この点で、ガンや高血圧など個人で終始する病気と異なります(ガンが国の危機管理問題になることはありません)。次に集団単位という観点で、「感染」と「運ぶ」とを区別しなければなりません。新型コロナはたとえばペスト(ネズミ(のみ)からヒトへ)などと異なり、「ヒト」が運び、「ヒトからヒトへ」感染する感染症だからです。

2週間程度のタイムラグ

新型コロナはとても厄介で怖い感染症です。

・潜伏期間にある感染者からも感染が起きる(発症前の人からの感染が約半分)
・しかも発症直前の感染力が最高(発症の2.3日前からウイルス排出が増え始め、0.7日前に一番高くなる)
・感染期間と感染力

(新型コロナの厄介さと怖さを知る:2つの致命割合CFRとIFRとは https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/19/050800015/051100003/

つまり、感染者が無自覚のママ、ウイルスを他人に移してしまう。それも移る力が無自覚の期間ほど高い、のです。 Continue reading