文部科学省が2023年10月13日に公表した、21回目となる令和4年(2022年)の「21世紀出生児縦断調査」には、読書に関する報告が含まれています。これは2001年(平成13年)生まれのこどもの2022年における、つまり21歳の日本人の読書状況を伝える報告となっています。
「第10回調査と比較すると、本、雑誌・マンガとも0冊と回答した者の割合が大幅に増加し、4冊以上と回答した者の割合が減少している。」
(第21回 21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)の結果について公表します)
ただし、第10回の調査では、保護者からの回答が集計されている点に、留意すべきでしょう(「第10回」とは2001年(平成13年)生まれのこどもが10歳、小学生のときの調査でしたから)。
この発表について、産経新聞は、「同じ若者が小学生だった当時よりも読書量が大きく落ち込んでおり、交流サイト(SNS)や動画投稿サイトの普及が一因と指摘されている。文科省は「読書は人生の豊かさにつながる。図書館の整備などを通して読書の習慣付けを後押ししたい」」と報じています。
●21歳の6割「紙の本読まず」 電子書籍も「読まない」7割 文科省調査 https://www.sankei.com/article/20231013-FCTDZ7EKUJJTDAXY7HTQCLQ7KA/
■21世紀出生児縦断調査とは
21世紀出生児縦断調査とは、日本政府が、少子化対策を企画立案するうえで参考にするため、平成13年度から調査している基礎資料のことで、コーホート調査になっています。
「縦断」の語は、コーホートの意訳かと推測されます。コーホートとは統計上の概念で,ある一定期間内に生れた人の集団を時系列的に何年も追いかけてゆく統計分析手法のことです。
すなわち21世紀の初年(2001年)に出生した子の実態及び経年変化の状況を継続的に観察している調査です。2001年すなわち平成13年出生児の第1回調査は厚生労働省が所管でしたが、第16回(平成29年(2017年))の調査から,少子化対策のみならず、教育面を含む国の施策に活用することを目的として,文部科学省と厚生労働省の共管調査となっています。
■21歳日本人の読書率
「読書率」の定義を、調査データのなかで、全体から「0冊」と「不詳」を除いたもの、と定めると、つぎのようになりました。
紙版の文庫・単行本 37.7%
紙版の漫画や雑誌 48.1%
電子版の文庫・単行本 21.9%
電子版の漫画や雑誌 42.7%
・1ヶ月の読書|紙版の文庫・単行本
0冊 1冊 2・3冊 4・5冊 6冊以上
62.3% 19.7% 12.3% 2.7% 3.1%
・1ヶ月の読書|紙版の漫画や雑誌
0冊 1冊 2・3冊 4・5冊 6冊以上
51.9% 14.0% 15.5% 5.0% 13.6%
・1ヶ月の読書|電子版の文庫・単行本
0冊 1冊 2・3冊 4・5冊 6冊以上
78.1% 9.3% 6.6% 1.7% 4.3%
・1ヶ月の読書|電子版の漫画や雑誌
0冊 1冊 2・3冊 4・5冊 6冊以上
57.3% 9.6% 11.9% 4.5% 16.8%
■21歳日本人の読書時間の詳細
また1ヶ月の読書時間が5時間を超えるのは、かなり少数派で、
紙版の文庫・単行本 13.2%
紙版の漫画や雑誌 13.3%
電子版の文庫・単行本 7.2%
電子版の漫画や雑誌 16.9%
でした。
・1ヶ月の読書時間|紙版の文庫・単行本
・1ヶ月の読書時間|紙版の漫画や雑誌
・1ヶ月の読書時間|電子版の文庫・単行本
・1ヶ月の読書時間|電子版の漫画や雑誌