Author Archives: sasazamani

『豊かさ』の請求書が届く——私たちが先送りにしてきた『ツケ』

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「資本主義という病理に侵された(社会という)身体のケアと回復」をめぐる物語」
(監督脚本 濱口竜介)


・『急に具合が悪くなる』公式サイト

■繁栄の影に隠れた「先送り」

資本主義は、「いま、ここ」を輝かせる魔法だった。濱口竜介監督の映画『急に具合が悪くなる』は、その繁栄が負債を次世代へ先送りし、痛みを「外部」へ押しつけることで成り立つ、と描く。身体も、休むための時間さえも、市場に売り渡されてきた。経営哲学者チャールズ・ハンディは、資本主義が利己主義を「まっとうな美徳」にしてしまったと嘆いている(※1)。では、そのツケは誰が払うのだろうか。 Continue reading →

 

「話し相手」になった機械:「子どもとAI」を発達心理学でとらえなおす

宿題を終えた子が、画面の向こうの「誰か」にその日の友だちとのいざこざを相談している。そんな光景が珍しくなくなりました。ただここで問うべきは「AIは教育を変えるか」ではなく、「AIは育ちつつある心に何をするか」ではないでしょうか。発達心理学の知見からひも解いてみましょう。 Continue reading →

 

「授業」と「校務」はどう変わる?:デジタル教科書・学校DX・AI活用

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賑やかな議論のなかで

教育現場とAIをめぐる話題が、このところ急に賑やかになりました。便利そうだけれど、子どもたちに任せて大丈夫だろうか。そんな戸惑いを抱えている先生も多いのではないでしょうか。そこで提案したいのが、AIを「授業」と「校務」の二つに分けて眺めてみることです。 Continue reading →

 

ゴジラ・エルニーニョ:立花義裕教授はなぜ「もう待てない」と言うのか

2026年の夏は三重大学大学院の立花義裕教授(気候ダイナミクス研究室)が様々なメディアに登場、「もう待てない」と気候変動を大変危機感をもって語っていました。

立花教授の危機感は、大きく3つの理由から生じています。1つ目は、温暖化が「理屈の話」から「体で感じる災害」に変わったこと。2つ目は、地球の反対側の異変が、風や海を通じて日本の猛暑や豪雨とつながっていること。3つ目は、日本は世界でも異常気象の影響を受けやすい国なのに、対策を後押しする世論が弱いことです。2026年はこの3つが、同じ年のうちに目に見える形で重なり、その背景には「ゴジラ・エルニーニョ」がいました。教授出演の番組を追いながらその内容を整理してみました。 Continue reading →

 

産業向けAIの現況――人とAIとの、業務の再設計が鍵

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生成AIは、2022年11月30日のChatGPT公開で俄然脚光を浴びた。無料の対話型サービスとして一般の人がすぐ試せたことで、生成AIは研究者やIT企業の話題から、学校・職場・メディアの共通テーマになった。

それではその産業界への浸透状況は? 投資課題は?

本記事はこの点を整理した。

産業向けAIの成否は、人とAIの業務を再設計する意志と、その決定へ向けた「判断基準・データ基盤」の構築の巧拙で決まる。 Continue reading →

 

静かなる貧困化を産む日本の「格差と政府対応」

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・ピーター・ドラッカーの慧眼

「経済の成長と拡大は社会的な目的を達成するための手段としてしか意味がない(ドラッカー)」


経済成長は社会的な目的を達成するための手段に過ぎない。数字や指標の上昇そのものがゴールではなく、人々が安心と公正を実感する暮らしを実現するための「道具」だからだ。しかし現代日本で起きているのは、この道具が本来の目的を果たせないという深刻な不全である。 Continue reading →

 

AIは「読み書き」を塗り「変」えるのか

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・AIは「答え」を、読書は「問い」を与えてくれる

(AIは「答え」を、読書は「問い」を与えてくれる ─ AI時代に本を読む4つの理由)

 

AI時代の読書は、「何を信じ、どう受け取るか」を自分で決める練習として役立つことになるだろう。 Continue reading →

 

デジタルと生成AIが揺さぶる教育の生命線

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1. 「タイパ」の陰に隠れる、思考のショートカットという罠

教室の風景は変わりつつあります。2030年度のデジタル教科書本格導入を控えて検定ルールの整備が進み、学校向けの生成AIガイドラインは「Ver2.1」への改訂に向けて動き出しました。調査によれば、教員の約9割が校務などでAIの効果を実感しており、活用が進む学校ほどその有用性を高く評価しています。しかし、その「便利さ」の幕が上がる一方で、現場には深い葛藤と、ある種の「おそれ」が漂っています。 Continue reading →

 

Ⅰ. 【記録する/保存する】── 写本から符号へ、和紙からパルプそしてサーバーへ

2026年は日本電子出版協会(JEPA)の40周年の年に当たる。先に、JEPA・Webサイトの「キーパーソンズ・メッセージ」への寄稿文データ群から、生成AIを使って日本語本デジタル化の歩みを辿った。その作業を通じて面白いことに気づいた。ここ半世紀の歩みが、驚いたことに、千年を超える日本語の書物史と見事にシンクロするのだ。そのことをここに書いてみたい。 Continue reading →

 

Ⅱ. 【調べる/扱いやすさ】── 類聚(分類)の情熱と「EPWING」から「URL」へ

シリーズ:電子出版半世紀を日本語書物史千年との交錯点で読み解く

Ⅰ. 【記録する/保存する】── 写本から符号へ、和紙からパルプそしてサーバーへ
Ⅱ. 【調べる/扱いやすさ】── 類聚(分類)の情熱と「EPWING」から「URL」へ
Ⅲ. 【伝える/楽しむ】── 貸本屋から「サブスクリプション」、絵巻物から「Webtoon」へ
Ⅳ. 【学ぶ】── 福沢諭吉の『学問のすゝめ』から「デジタル教科書」へ

 

ページというインターフェース

膨大な情報の中から、自分が必要とする「たった一行」や「一つの言葉」に最短でアクセスしたい。この「調べやすさ」を巡る格闘もまた、千年前から続く日本の書物史の大きな原動力であった。 Continue reading →