Chatgptに書かせた「Chatgptと教育の未来」

◎Chatgptと読む能力や思考する能力◎

■文章を読む能力や思考する能力、それらと文章の難易度

厚生労働省が発表した2020年の平均寿命で、川崎市麻生区が全国の市区町村で、男女とも最も長寿でした。経済格差が健康格差になっている(元横浜市職員の加藤彰彦沖縄大名誉教授(社会福祉))という分析がある一方、実際に住んでいる住民からは、「麻生区は丘陵地帯を開発して発展した街。どこにいっても坂道ばかり。駅にいくだけで足腰が鍛えられる(地域教育会議の地域教育コーディネーター)」といった意見もあるのだそう。

さてここで、坂道が多いというのは一般的には住宅地にとってデメリットにもなります。たとえば、買い物に行くのに歩きは無理、とか、自転車がそもそも使えないなどです。また不動産専門業者からは、広告をみるとき、「駅から徒歩○○分」はあくまで距離から割り出された数値で、坂道なら実際は朝の通勤時もっと時間がかかるので事前に要チェックとの声がかかります。出張にスーツケースを抱えて移動などというシーンも要注意。

このように坂が多いのは普段の生活には不便ですが、高齢化に伴う筋力低下防止、歩行能力向上の点ではメリットがあります。それに歩行能力の保持は高齢者の活動を活発にし、精神生活にも好影響です。

高齢化で車椅子生活になったとき、坂道では大変難儀しますが、いえいえ、そもそも車椅子のお世話にならない能力を坂道のおかげで保持できるんです、といった関係がありますね。

文章を読む能力や思考する能力、それらと文章の難易度との間にも似た関係がありそうです。

難度の高い文章は、読めない方が悪いのか、書く方が悪いのか。わかりやすい文章を書ける人の方が言語能力が優れている(書く方が悪い)ともいえますが、他方読み手の側にとってはどうでしょうか。坂道がないところの住人は、歩行能力を年齢の早い段階で失ってしまうのかもしれないように、接する文章が難度の低い文ばかりだと、文章を読む力や思考する力が劣化していくのではないでしょうか。

今回の知恵クリップは、教育現場にChatGPTを応用する問題を巡った話題をクリップしました。

その中にある「ChatGPTがエルサレムのアイヒマンを大量生産しないために」は、教育現場でChatGPT活用をしたがために起きうる、読解力の低下が個人における自らの人生を切り開いていく力さらには社会を維持する力を脅かしていく、との立ち位置から論を展開しています。

ChatGPTの教育現場での扱いは喫緊でかつ頭の痛い問題ですね。

ちなみに、「■知恵クリップ」の末尾にある文章はChatgptに書かせた「Chatgptと教育の未来」の一部です。無料版GPT3.5でもこのレベル(GPT3.5については次の「ChatGPTがエルサレムのアイヒマンを大量生産しないために」で簡単説明あり)。「それっぽい」「らしい」文章を作る能力には舌を巻きますね。

 

■知恵クリップ

1.【チャットGPT】利点と課題念頭に 学びの入り口として活用 https://news.yahoo.co.jp/articles/1204e66f9404e19e2a207c9260d5ec3887f0cffe
「文部科学省は学校での取り扱い指針を年度内に作成する方針だ。吸収力が豊かな時期は、自ら考える力を高める教育が重要と言える。教員の新たな負担も考慮すれば当面、限定的にならざるを得ないのではないか。

著作権にも触れかねず、一定のルールづくりを求められるのは教育の現場に限らない。企業や作品を公募する団体なども対応を考えていかねばなるまい」

 

2.読書感想文コンクール AI悪用への懸念から応募要項を改定へ https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230329/k10014023701000.html
具体的には「盗作や不適切な引用等があった場合、審査対象外になることがあります」という規定を追記。

「AIが生成した文章をそのまま引用し、さらに執筆者本人がAIの利用を認めた場合などに適用されるということです。
一方、文章の校正にAIを使うことについては問題ないとしています。」

 

3.ChatGPTで書かれた読書感想文が人間かAIなのか「判別難しい」は本当か コンクール主催者が覚えた違和感 https://dot.asahi.com/dot/2023050200038.html?page=1
「重要なのは、チャットGPTが書いたことは本当のことなのか、考えながら読む力です。なので、チャットGPTは批判的思考力(クリティカル・シンキング)を子どもたちに身につけさせるための道具として利用できるのではないかと期待しています」

「考えながら本を読み、自分の内面と対話する。読書感想文はそれを人に伝えるものです。『総合的な学習の時間』は読書感想文を書く過程と似ています。そこで大切なのは資料をきちんと読みとく力や、その内容に自分の考えを織り込んで他の人に伝える力です。そのような力を培うという観点で読書感想文コンクールにチャレンジしていただければ、と思います」

「結局、チャットGPTに文章を書かせたとしても、内容について、きちんと裏をとる、というか、検証作業が絶対に必要です。なので、逆にチャットGPTで書かせた文章を使って作文指導をしたり、子どもたちにメディアリテラシーを身につけるための教材に使えるのではないか、と思います」

 

4.生成系AI(ChatGPT, BingAI, Bard, Midjourney, Stabled Diffusion等)について | utelecon https://utelecon.adm.u-tokyo.ac.jp/docs/20230403-generative-ai
「分子生物学でたとえると、「『組換えDNA技術』の登場に匹敵する変革ではないか」(東京大学副学長の太田邦史教授)」

「ChatGPTの原理は、大量の既存の文章やコンテンツの機械学習と強化学習を通じ、確率的にもっともらしい文章を作成していくものです。したがって、書かれている内容には嘘が含まれている可能性があります。非常に話し上手な「知ったかぶりの人物」と話しをしているような感じです。(もっとも、最新バージョンGPT4ではかなり正確性が増しており、相談相手としても相当優秀な存在です。)」

 

5.人間を超えるAI時代「問いベースの教育に」 安宅和人慶應大教授 https://www.kyobun.co.jp/news/20230324_03/
「AIの発達によって、インターパーソナルスキル、つまり他者とうまく関わる能力が本当に重要になってくる。1人で机に向かってやっているようなことでは駄目だ。また、自分で意味のある問いを立てられない人、つまり指示待ち人材の時代は終焉する」

・AI発展におけるプライヤーの変遷

 

6.ChatGPTで“ググる”は死語になる? AI研究者の松尾 豊氏が予測する未来 https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/2303/13/news049.html
「既存ツールの使われ方に大きな変化が生まれ、かつ、これまでには不可能だった専門的な業務を代行できるツールが多く誕生するでしょう。例えばWebブラウザを使った検索という行為は長期的に見るとなくなると思います。またユーザーが一言一句手打ちで文字を入力するということもなくなるはずなので、『Microsoft Office』製品もその在り方を大きく変えるでしょう」

・ChatGPTのユースケース

 

7.ChatGPTとGoogle検索はそもそも何が違うのか? https://dime.jp/genre/1549773/
IT業界で堂々の勝ち組だったはずのグーグルを今大いに慌てさせているのがChatGPT。
「世界の検索エンジンの市場シェアはグーグルが約9割と圧倒的な地位を占めており、検索に連動した広告ビジネスはグーグルにとって大きな収入源となっている。

こうした状況に挑戦すべく、マイクロソフトは『チャットGPT』のテクノロジーを同社の検索エンジンであるビング(Bing)に搭載し、打倒グーグルの狼煙を上げた。」

ChatGPTは、Google検索とは異なり、質問に答えることができるAIである。ChatGPTは、Google検索のように、キーワードを入力して検索するのではなく、自然言語で質問をすることができるからだ。

・検索エンジンとChatGPTの比較

 

8.ChatGPTの登場は「教育の終焉」か、“新時代の計算機”の到来か? 禁止と活用とで揺れる米国の学校 https://wired.jp/article/chatgpt-is-coming-for-classrooms-dont-panic
ChatGPTを巧妙な不正ツールではなく教材として捉えるべし。「教師という職業は、このようなテクノロジーを「批評的に使用」したうえで、より創造的に取り入れる方法を探るべきだ」

もともと「ChatGPTは人間が書いたかのような文章を練り上げることはできても、人間と同じような知性をもっていない」「正しい文章にするには指示や編集作業を必要とする場合が多い統計的なマシン」

すでに破綻への道を歩み始めている教育システムに、変革を施してくれる、新開発ツールと捉えてはどうか。

 

9.ChatGPTが教育現場を救う?…「教師の仕事を大幅に減らしてくれるかもしれない」 https://www.businessinsider.jp/post-264123
「コーエン校長は自校の職員にはすでに、ChatGPTを使うようアドバイスしている。生徒たちの年間通知表をまとめる過程を簡素化するためだ。「テンプレート」を作成し、AIを使って、生徒の名前と特に良くできた点を埋めていく。

また、ChatGPTが生徒たちの質問に回答することで、教師たちが「深夜のメールのやり取りの無限ループにはまり、他のことができない状態になるのを防ぐ」とも考えている。」

 

10.ChatGPTがエルサレムのアイヒマンを大量生産しないために https://society-zero.com/chienotane/archives/10247
「ChatGPT(チャットジーピーティー)は「それらしいことを言うけれど実は何も考えていない人」です。もちろんこの表現はたとえであって、ChatGPTに人格はありません。つまり意思も知性も持ち合わせません。あくまで生成系AIのひとつで、文章生成ツールです。

学習・教育のシーンで文章生成ツール・ChatGPTをどう活用するか。その検討の際、成長過程での脳の段階的発達との関係に十分配慮をすべきです。読み書きを通して脳は新しい神経回路を形成し、さまざまな認知機能を発達させます。なかでも書き言葉に励起される「思考」機能は、個人の人生と現代経済社会に不可欠な要素です。」

 


「【ChatGPTと教育の未来】

(前半略)
Chatgptを導入する際には、読解力の向上を促す方法を組み込む必要があります。
まず第一に、学生たちには情報源の信頼性を評価するスキルを教える必要があります。彼らには、情報の出典や著者の信頼性、バイアスの可能性などを考慮することを教えるべきです。また、学生たちには複数の情報源を比較し、矛盾やパターンを見つける能力を養うことも重要です。

さらに、議論やディベートの活動を通じて学生たちに自らの意見を表現する機会を与えることも効果的です。彼らはChatGPTの回答を参考にしながらも、自らの考えを明確にし、論理的な議論を展開することが求められます。また、教員は学生たちの意見を尊重し、促進することで彼らの自信と思考力を育みましょう。

最後に、情報との適切なバランスを保つことも重要です。ChatGPTは便利なツールであり、情報の取得や知識の補完に役立つことは間違いありません。しかし、学生たちには情報を機械的に頼らず、自ら学ぶことの大切さを教える必要があります。自主的な学習や探究活動を通じて、彼らの好奇心や探求心を育んでいきましょう。

教員の皆様は、ChatGPTの活用において学生たちの文章能力や思考力の維持・向上を促す重要な役割を果たします。適切なガイドラインと教育方法を採用することで、ChatGPTを教育の未来における有益なツールとして活用し、学生たちの成長と発展を支援していきましょう。」(ChatGPT作成文)

 


<人工知能>と<人工知性>: —— 環境、身体、知能の関係から解き明かすAI(三宅陽一郎)
■目次構成:
はじめに
第一章 知能と環世界
第二章 知能ってなんだろう
第三章 ふたつの人工知能の作り方
第四章 人工知能の基本構造
第五章 知能の構造性を解き明かす
第六章 環境認識と行動と人工知能
第七章 運動のための人工知能
第八章 現象学による人工知能概念の再構成へ
第九章 「エージェントアーキテクチャ」と現象学的人工知能

AI meets Philosophy: How to design the Game AI