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書評|『Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章』

empathy(共感)からcompassion(行動を伴う思いやり|倫理)へ
ルトガー・ブレグマンの『Humankind 希望の歴史』は、『ファクトフルネス』、『サピエンス全史』に続く合理的楽観主義の大作◎

 

『Humankind 希望の歴史』とは

ピケティがクズネッツを修正したように、ブレグマンはホッブズをたしなめる。

『Humankind 希望の歴史』は、2013年にフランス語で公刊され、2014年に英語版、日本語版が出たフランスの経済学者であるトマ・ピケティの著書、『21世紀の資本』と似た構図の専門書。 Continue reading

 

『21世紀の資本』を一言でいうと


(出典: http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43114

『21世紀の資本』は一言でいうと、著者ピケティがその師匠筋、先輩にあたるクズネッツの教えに忠実に研究を続けたところ、師匠の業績(正確には、世間がそう言い立てたもので、クズネッツ自身は「仮説」を提示したのみだったのだが)を修正する結果が出てきた。そのことを報告した作品だ。

自分の給与明細とテレビのニュースからわかる日本の社会情勢との間に、なんとなく違和感を感じる人は手に取ってみるといい本。 Continue reading

 

●パナマ文書は立憲主義と福祉国家概念の脆弱性を暴露した

160429 MP

┃Economy あるいは資本主義のメタモルフォーゼ
成長と生産性、ビジネスモデル、経営、、国家、民主主義など

●パナマ文書問題を見る視点 http://hirokimochizuki.hatenablog.com/entry/panama.papers
タックスヘイブン問題とは国家権力の徴税能力の限界という問題。
1.国家と徴税の正当性を揺るがす:タックスヘイブンを利用した租税回避が可能なのは、一部の富裕層及び企業に限られるため、公正ではない。日本国憲法第30条「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」、がおびやかされている。
2.徴税の不公平性は福祉国家の根底を揺るがす:現代の福祉国家は財政赤字に苦しんでおり、充実した社会保障を提供し続けるための潤沢な金が手元にない。

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●続報・パナマ文書 余震は続くよどこまでも

160415 MP


国家と国民は税制を媒介にしてつながっている、財政と福祉政策との連携はその象徴。いずれも国境で区切られた空間とそこで生活する人々が大前提。
しかしここにグローバル展開する資本主義のダイナミックが介在する。この辺を再度整理する段階にきている。近代資本主義・民主主義からの明らかな逸脱が、合法だからという理由で見逃されていることに注目が集まったのがパナマ文書スキャンダル。

あらためて、ピケティの主張に注目したい。

・税は社会正義のために使え(成長のために使うな)
http://society-zero.com/chienotane/archives/24/#3

20世紀に喧伝された「福祉国家(どちらかというと、結果平等を実現することや、可哀想な人を救うというニュアンスが強い)」より、21世紀に目指すべきは「社会国家」だとする論調ともゆるやかにつらなっている発想が、『21世紀の資本』にはある。

これは法適合の問題ではなく、国家を超えたレベルの倫理観の問題だ。

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データ集 トマ・ピケティ『21 世紀の資本』

データ集 トマ・ピケティ『21 世紀の資本』 http://www.slideshare.net/sasazamani/21-57491313

これは『21世紀の資本』翻訳者、山形浩生氏の「日本語サポート」ページから転載したものです。
山形浩生氏はこのデータをCreative Commons の「 表示 - 継承 2.1 日本 」をベースに公開されているため、本Slideも同様に公開されます。

出典:ピケティ『21世紀の資本』オンラインページ http://cruel.org/books/capital21c/index.html

表示 - 継承 2.1 日本 — CC BY-SA 2.1 JP http://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.1/jp/

 

 

●腐敗 不平等 格差 そして2020年へ向けたICT

151211 MP

┃Economy あるいは資本主義のメタモルフォーゼ
成長と生産性、ビジネスモデル、経営、、国家、民主主義など

●2020年に向けた社会全体のICT化アクションプラン(第一版) http://www.soumu.go.jp/main_content/000370710.pdf
「「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」(以下「2020年東京大会」という。)は、我が国全体の祭典であるとともに、世界各国から人が訪れるため、ICTのインフラ及びサービスの高度化を図ることにより、最先端のICTを世界に発信する絶好の機会として期待されています」。
無料公衆無線LAN環境の整備促進/ICTを活用した多言語対応の実現/デジタルサイネージの機能の拡大/4K・8Kの推進/第5世代移動通信システム(5G)の実現/オープンデータ利活用環境の整備(公共交通情報等)/放送コンテンツの海外展開の促進/世界一安全なサイバー空間の実現。(報告書: http://www.soumu.go.jp/main_content/000371622.pdfContinue reading

 

●人工知能と「日本的雇用慣行」からの脱却

◎人工知能やロボット等による代替可能性が高い労働人口の割合が、日本において高いとするNRIの調査結果が話題になっている(衝撃! 日本の労働人口の49%が"人工知能"や"ロボット"などで代替可能に!? http://news.mynavi.jp/news/2015/12/02/280/
)。
しかし技術だけでシフトは生じない。実際に代替されるかは、資本がそこへ投下されるかにかかわる。資本投下の意思決定上はその仕事が産みだす製品・サービスの価格と、仕事にたずさわる労働者の賃金との関係が重要。
紡績機の導入に始まる産業革命がイギリスの片田舎から始まったのは、当時のイギリスの対象産業の賃金が世界の中で高かった事情が背景にある。それに加え、将来のイノベーションにつながる(当初は)小さな種(と見える)に対しリスクテイクする革新者の存在が欠かせない。

さらに重要なことがある。NRIのニュースはあまりにセンセーショナルでかえって一番大事なことが理解されないままで終わるのが懸念される。それは職種や産業自体が維持存続する場合ですら、実はその中身やスキル定義が変化してしまい、それに追随できない人々が生じはじめている、ということだ。日本社会は「移行期」にある。 Continue reading

 

●マイナンバー制で損をするのは誰? それとピケティはつながっている。

┃Economy あるいは資本主義のメタモルフォーゼ
成長と生産性、ビジネスモデル、経営、、国家、民主主義など

●フェイスブックは業務を自動化して社員を「過去の仕事」から解放した http://www.dhbr.net/articles/-/3542?page=2
「退屈な仕事から解放され、未来のことを考えて行動できるようになる」、そのための自動化、ITの活用、人工知能の応用。「自社に愛着を持って、自社で成長しキャリアを積んでもらい、ずっと長いスパンで自社と共に歩んでもら」うために、無駄な、つまらないことはさせない、という発想。
社員の幸福のために、効率を追求する、「効率」に対する価値観の転換が、Facebookにはある。

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●米国の所得格差問題

150828 MP 9月第一号

┃Economy あるいは資本主義のメタモルフォーゼ
成長と生産性、ビジネスモデル、経営、、国家、民主主義など

●教育レベルや収入によって利用するソーシャルメディアは違う?:アメリカで調査 http://newclassic.jp/27775
米国の話。Facebook、Twitter、LinkedInなどのメディアではユーザーの高年齢化が顕著。ジェンダー・収入・教育レベルによる差異も。
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●「不平等激しい市場経済は相続資本主義になる恐れ」

150814 MP

┃Economy あるいは資本主義のメタモルフォーゼ
成長と生産性、ビジネスモデル、経営、、国家、民主主義など

●「不平等激しい市場経済は相続資本主義になる恐れ」 http://japanese.joins.com/article/016/204016.html
ピケティの新著、『不平等の経済学』。2001年に発表した論文である「米国の所得不平等(Income inequality in the United States、1913-1998)」を単行本として構成したもの。この新著でピケティは、「不平等が激しくなれば現在の市場経済が「相続資本主義」に変質しかねないと警告」。

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