「新しい孤独」と文化基盤あるいは新自由主義

 

■孤独・孤立対策担当大臣の設置

孤独は、日本社会のどこに身を伏せているのか。

2007年、ユニセフが日本の「子どもの孤独」を報じ話題となりました(「レポートカード7」)。しかしその後このテーマを正面から論じ、政策面への反映がなされることはなかったのです。それはユニセフ自身が、日本の数値の異常さに対し、「質問を別の言語と文化に翻訳することの困難を表しているのか、あるいはさらに調査の必要がある何らかの課題を示しているのか」といった注釈を入れていたせいかもしれません。

時間は流れ2021年2月、政府は世界で2番目となる孤独・孤立対策担当大臣(坂本哲志氏)を任命、内閣官房に孤独・孤立対策担当室を設置しました(最初の設置は英国)。ここでは子どもが射程に入ると同時に「ひきこもり」や「女性の貧困」などがキーワードになっています。 Continue reading

 

汎用図書館としてのデジタル図書館

■汎用図書館と文庫と学習

あらゆる主題が網羅され、相互に内容的な関係をもちつつ、同じ内容のものはない。それら膨大に蓄積された書き言葉(テキスト)やドキュメントの集合体。これが、古来より人類に構想されてきた「汎用図書館」のイメージ。そして資源の蓄積と再利用が、「図書館」という手法、活動のエッセンスです。他方「文庫」はもともと、ある特定の個人がその興味と関心にしたがって収集した「自分用図書館」、「個人蔵書」の語義が原型です。たとえば三木清の次の一文です。

「本は自分に使えるように、最もよく使えるように集めなければならない。そうすることによって文庫は性格的なものになる。」(「読書子に寄す」とiCardbook https://society-zero.com/chienotane/archives/5171
・三木清

(思想家紹介 三木清 « 京都大学大学院文学研究科・文学部 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/japanese_philosophy/jp-miki_guidance/

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WEBTOONが見せつける、出版のIT化とDXの違い

◎出版でのDX(デジタルトランスフォーメーション)の象徴、「デジタル・ファースト」が進んだのは韓国の漫画・コミック。文字ものでの鍵はCSSか◎

 

■IT化(デジタル化)とDXの違い

日本では社会全体で、テレビ、そして新聞や雑誌へのアクセス頻度・時間が低下しています。 Continue reading

 

コミュニケーション 人間関係|iCard(知識カード)

◎啓発的・飛躍的な知識ネットワークへ
(クリックすると楽しめます。関心と興味の外に広がる本の連環世界)◎

 

■コミュニケーション、人間関係

前の記事で「コミュニケーション、人間関係」がひとつのキーワードでした。
賃金と企業の生産性|マルチリレーション社会の創造を )

コミュニケーションへの切実さは時代により変遷しています。近代国民国家の枠組みができる前、そしてあらゆるものが商品化する前の時代、コミュニケーションは生きていくうえで必要不可欠なものでした。感染症はいうまでもなく天災、飢餓、猛獣など、人類の脅威に対抗するためには、群れを作って立ち向かうことが生存に有利だったからです。今風には、群れによる人間の安全保障とでもいえるでしょうか。 Continue reading

 

賃金と企業の生産性|マルチリレーション社会の創造を

◎「個人のリレーションシップと社会生活」の有り様を今までものからマルチへ変えていく必要がある。社会に出てからの新しい人間関係が多様で豊かなものになるには?◎

格差」が世界的な問題となっています。が、日本社会のそれはより深刻な課題が根底にあるようです。賃金がここ30年ほど横ばいで推移しているのです。 Continue reading

 

エレファントカーブと『父が娘に語る経済の話』

◎「『父が娘に語る経済の話』は、闘う経済学者が書いた、小さな花のような本」(ブレイディみかこ)/
従来の経済学の常識とは異なる視点で複雑な「経済」を解説してくれる◎

目次
■エレファントカーブ(あるいはエレファントグラフ)
父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話
支配者が与えるイデオロギー
経済の意思決定過程に、政治の制度を挿入せよ
読むときっと満足する読者プロファイル
まとめ

 

著者のヤニス・バルファキスが娘に、そして一般の市民に一番伝えたかったこと、それは、自分の人生と、人生を取り囲む社会の制度の束についての、大切な判断を他人任せにするな、ということ。

そしてそのために知を求めなさい。経済とはなにか、資本主義とはなにか。とりわけ資本主義がどのように生まれ、どんな歴史の中でいまの経済の枠組みを育ててきたかを自分の頭で理解しようとしなさい、ということだ。

 

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ラス・カサスの格闘の軌跡(年表)

◎この記事は、ラス・カサスの「普遍性」 の補足情報です◎

 

■ラス・カサスとインディアスに関連する年表 その1

1484年 スペインのアンダルシア地方、セビリアに生まれる(ラス・カサス 0歳)

1492年 コロンブスがバハマ諸島に到達、新大陸の発見(当時「新大陸」はインド(広義のインディア)であると考えられていて、スペイン人は「インディアス」と呼称)

1493年 ローマ教皇が「贈与大教書」を発布(スペイン王国に​新しい​領土​の​独占​的​かつ​恒久​的​な​所有​権​を​認める内容)

1494年 ローマ教皇がスペイン・ポルトガル間で締結されたトルデシリャス条約を承認(「贈与大教書」の境界線も修正)
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書評|クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界

◎「誰もが経済についてしっかりと意見を言えることこそ、良い社会の必須条件であり、真の民主主義の前提条件だ」。
そう考え、経済を身近なものと感じられる助けになる本を書きたかった、経済学大学教授によるSF小説。◎

「刺激的な思考実験と、完璧に独創的なSFナラティブが織りなす一冊
(アルフォンソ・キュアロン 『リトル・プリンセス』『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』『ゼロ・グラビティ』『トゥモロー・ワールド』の監督)」


(Yanis Varoufakis: ‘Brexit is like watching a train crash in slow motion’ | British GQ | British GQ https://www.gq-magazine.co.uk/article/yanis-varoufakis-brexit-interview

目次
■経済学者が書いたSF小説
読むときっと満足する読者像
HALPEVAMとは
民営化と証券化、そしてIT
金融の黒魔術
資本主義を終わらせるテクノ反逆者
資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界
ヤニス・バルファキスとは Continue reading

 

ラス・カサスの「普遍性」

◎ラス・カサスは、「人類はひとつ」を押し立てて、16世紀、スペインによる、征服戦争を背景にした新大陸(インディオス)先住民に対する強引な改宗や迫害を告発したドミニコ会士。平和的改宗計画と先住民の人権擁護をスペイン国王に訴え、「インディオス新法」を発布させた(1542年)◎

目次

1.スペインの征服戦争とポルトガルの交易競争
2.キリスト教世界の価値観の普遍性が試される

3.ラス・カサスとビトリアの「普遍性」
4.21世紀の「普遍性」論へつながるセプルベダとラス・カサスの論争

 

1.スペインの征服戦争とポルトガルの交易競争

ヨーロッパ諸国家による非ヨーロッパ地域の植民地化

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書評|『Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章』

empathy(共感)からcompassion(行動を伴う思いやり|倫理)へ
ルトガー・ブレグマンの『Humankind 希望の歴史』は、『ファクトフルネス』、『サピエンス全史』に続く合理的楽観主義の大作◎

 

『Humankind 希望の歴史』とは

ピケティがクズネッツを修正したように、ブレグマンはホッブズをたしなめる。

『Humankind 希望の歴史』は、2013年にフランス語で公刊され、2014年に英語版、日本語版が出たフランスの経済学者であるトマ・ピケティの著書、『21世紀の資本』と似た構図の専門書。 Continue reading