Category Archives: 学習・教育のデジタル化と変容する知の体系

●学力には、学校が解決できない課題がある 


(母親の学歴が高いほど子供の学力が高くなるのは父親のせい - RYOSAKASANTO https://www.ryosaka.com/entry/2018/09/10/070000

格差の「連鎖・蓄積」(cumulative advantage and disadvantage)。

「通常、個人の不平等は、ある時点での有利さ・不利さが時間とともに積み重なっていく(「富める者はますます富む!」)。その時にスタート地点となる不平等は、家庭環境や性別のような当人の意思や努力によって獲得できない〈生まれながらの差異〉である。このような〈生まれながらの差異〉が、その後の人生における学歴や職の獲得に対して影響し続ける、との認識がアカデミックの世界では、当たり前になりつつある。

だから事後的な「再配分」より、就業する前の、教育内容と子育て段階にある家計への施策が重要である。 Continue reading

 

●ポストモダン思想の限界が、大学を危機に陥れている

マルクス社会学は、自由経済と資本主義が諸悪の根元だと考えた。そこで私的所有と自由競争を禁止しさえすれば、よい社会になると夢想した。

しかしそれが大きな勘違いだったことは歴史が証明。つまり、経済的な「平等」を力づくで実現させようとすると、逆にむしろ強大な権力システムが必要となり、必然的に自由の抑圧される社会しか産まない。

一方、新自由主義の社会構想の軸は、「権力自体が「悪」」。だから、それを廃棄してしまえ(官から民へ)ば問題は解決するとした。そしてそこから、どんな権力や制度も絶対的な根拠はもっていない(規制緩和が金科玉条)という相対主義から、社会をいよいよ混迷、不安の淵へと追いやってしまった。 Continue reading

 

●読むのも書くのも、140文字だけでは済まされない領域がある

教育議論、メディア論、ネット功罪論などで忘れられがちなポイント。生活シーンや社会活動の中で思考を巡らそうというとき、数千字、数万字の文章でないとたどり着けない結論がある、ということ。

そのための訓練の場が高等教育、大学の場であるはず。訓練には膨大な「知識」と、その知識の構造体としての「文脈」「思想」が必要だ。 Continue reading

 

●制度や仕組みのリ・デザイン 教育界にも

エドテックもプログラミング教育も、アクティブラーニングも、正しくその概念が産まれ出でた「文脈」を理解して対応するのでないと、間違える。

社会がsociety5.0へと変容しようとしている現実がまずあって、それへの対応にデジタルの力を借りよう、ということであって、技術ありき、ツールありきなのでない。 Continue reading

 

現在の高校生は、どんな未来を生きるのか?

●中国次のユニコーンはEdTech。子ども向け北米オンライン英語学習が爆速成長中 https://www.businessinsider.jp/post-105489
対象年齢4-12歳の中国の子どもと北米のネイティブ英語プロ教師をオンライン上で1対1でつなぐ事業が急成長中。
背景:海外へ留学する子どもの増加と、英語教育の低年齢化。
「中国からアメリカの高等教育機関への留学者数は過去10年平均年率18%で成長し、2015年には32万9000人にのぼった。アメリカの外国人学生の3分の1は中国人である。留学の早期化も進んでいる。近年は大学の留学生数が大学院の留学生数を上回り、さらに、アメリカの小中高校に入学する中国人学生は年々増加している。」

http://bit.ly/2gfW78I Continue reading

 

大学選びは慎重に

●東大、京大だけじゃない 研究者の厚みから見るノーベル賞に手が届く大学 https://dot.asahi.com/aera/2017101600015.html
ノーベル賞は、実は「厚み」の中から生まれている。その「研究者の厚み」を可視化。これで論文の被引用件数だけではわからない分析が可能に。
「一般に大学の研究力は、学術誌に掲載された論文数(量)や論文の質(引用された論文数)などで評価される。(略)論文を量産するトップクラスの研究者が一人いるだけで、その分野における大学全体の評価が高くなってしまう。
逆に、スターはいなくても中間層が厚く、多様な研究成果が生まれやすい素地のある大学は、評価されにくかった。」
・研究力を測る指標(分野別・大学機能別)の抽出と大学の研究力の可視化に関する基礎的研究
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/037/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2016/07/15/1374541_05.pdf Continue reading

 

●日本の若者は創造的か否か 鍵を握る教育現場の「授業づくり」

D:学習・教育のデジタル化と変容する知の体系

日本のカイシャ、教育現場、そして教育を受ける若者自身(またその保護者)の「意識」、「価値観」、いや今この地球で起きていることの「歴史的認識」が需要なカギを握ることになりそう。

それにはヒト社会がいまどのようにあり、どこへ行こうとしているかについて、日本社会はもっともっと勉強すべき、そういう時節にきていますね。

社会を変える創造性が求められ、また実際、世界は変わりつつあるのですから。 Continue reading

 

小学校の先生にこそおすすめの絵本 『ルビィのぼうけん』

『ルビィのぼうけん こんにちは!プログラミング』は4~11歳の子どもが親子で楽しめる絵本です。

ですがこの絵本は、小学校の先生方こそ読むべき本。いや文科省が全国小学校に配布してもいいような絵本なんです。ちなみに全国配布といえば、先行している英国では子どもが簡単にプログラミングできるよう作られた小さなコンピュータ、Micro:bit、このキットが11歳から12歳にあたる学年の子供と先生たち100万人に無料で配られています。送り主はBBCですが。 Continue reading

 

●Computational Thinkingと『ルビィのぼうけん』

┃Networks あるいは知のパラダイムシフト
ICT、意思決定、コミュニケーション、学び、意味と構造化など

D:学習・教育のデジタル化と変容する知の体系

「自分の日常の中で、大きくて怖い問題を、対処可能な小さな問題に分割すること。失敗のパターンをみつけて、対応を考えてること。難しい問題にぶつかった時の考え方の筋道が見つける方法を知っておくことは、勇気にもつながります。困難を必要以上におそれずに対処する、その手助けにこの絵本がなればいいなと思っています(「ルビィのぼうけん」が世界的ヒット 親子で読みたいフィンランド発のプログラミング絵本 http://www.huffingtonpost.jp/2016/06/17/ruby_n_10520384.html )」 Continue reading

 

教育ICT:イギリス最新動向 2017【セミナー備忘録】

(個人用のメモです。議事録ではありません。とりわけ[ ]の部分はブログ記事筆者の挿入部分です。図画等は特に断りがなければ講演者のプレゼン資料を利用しています。)

■セミナー概要:

教育ICT:イギリス最新動向 2017 http://www.jepa.or.jp/sem/20170223/

日本教育情報化振興会 (JAPET&CEC) の海外調査部会では、昨年度のアメリカ合衆国の訪問調査に続き、今年度はイングランドを対象として、教育におけるテクノロジー活用の状況を調査しています。

講師 石坂芳実 (いしざか よしみ) 氏
・ICT CONNECT 21事務局 技術標準化WG担当
・プレゼン資料:イングランドの教育におけるICTの活用 https://www.slideshare.net/JEPAslide/ict-72447552
講師 中駄康博(なかだ やすひろ)氏
・富士ソフト株式会社 みらいスクール事業部 次長
・日本教育情報化振興会 (JAPET&CEC) 海外調査部会 部会長
・プレゼン資料:JAPET英国訪問調査報告 https://www.slideshare.net/JEPAslide/japet

日時:2月23日(木) 15:00-17:30(14:30受付開始)
会場:飯田橋 研究社英語センター B2F 大会議室
主催:日本電子出版協会(JEPA)

◎本ブログ記事では、当日セミナーのうち、前半を扱っています。

前半:
英国の教育制度 (中駄康博)
カリキュラム改定ーICTからComputational Thinkingへ (中駄康博)
小学校におけるデータ活用 とRAISEonline (石坂芳実)
後半:
CAS(Computing At School)とComputational Thinking (中駄康博)
ロンドンの学校の状況 (中駄康博)
Betttのレポート (中駄康博)
イギリスのComputingの授業と Computing At School (石坂芳実) Continue reading