書物と電子書籍のイノベーションの現在

たしかに読書も歌や楽器の演奏、演劇、そしてスポーツも、それがなくて生きてゆくことはできます。しかしことばは、それがなくては社会が成立しない。その意味で、読書には、他の楽しみと違う何かがある、と言っていいのではないでしょうか。 Continue reading

 

「クジラのiPhone」と生態系エンジニア

米スタンフォード大学の研究チームが、ザトウクジラ、セミクジラ、シロナガスクジラなどの、ヒゲクジラ類の摂餌量について新しい知見を提供しました。その成果を踏まえると、「商業捕鯨が始まる以前、ヒゲクジラ類は、全大陸の森林生態系と同等の炭素を環境から除去していた」というのです。2021年11月3日付けの科学誌「ネイチャー」に発表された研究成果です。

豊富な水を抱える海洋は「生物ポンプ」や「炭素の貯蔵庫」の異名を持っています。 Continue reading

 

「人新世」とは そのデータ群・事実認識


【目次】
そもそも「人新世」って 何?
ハッシュタグ(#)としての「人新世」
「人新世」とは そのデータ群・事実認識


 

■「人新世」対応を誤れば?

地質年代において、化石に残るような生きものがたくさん出てきたのが「顕生代」です。顕生代は古い方から、古生代・中生代・新生代と分かれますが、これらの「」は大量絶滅の発生が、その境界にある場合の区分です。 Continue reading

 

ハッシュタグ(#)としての「人新世」

◎地質年代区分のひとつ、「第四紀」に込められていた問題意識や論点設定の動機から産まれた新語が「人新世」。地質学会が区分厳密化の過程で「第四紀」の呼称をフェードアウトさせる中、問題意識や論点設定の要素を取り出し、むしろ地質学会の外、環境学や人文社会系で沸騰ワードになりつつある。近時、経済思想史、哲学といった学問領域から再考の声があがり、環境問題と格差問題を通底する概念として「資本新世」の語も◎

この記事では後半を扱います。

前半の記事はコチラ


【目次】
そもそも「人新世」って 何?
ハッシュタグ(#)としての「人新世」
「人新世」とは そのデータ群・事実認識


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そもそも「人新世」って 何?

◎地質年代区分のひとつ、「第四紀」に込められていた問題意識や論点設定から産まれた新語が「人新世」。地質学会が区分厳密化の過程で「第四紀」の呼称をフェードアウトさせる中、問題意識や論点設定の要素を取り出し、むしろ地質学会の外、環境学や人文社会系で沸騰ワードになりつつある。近時、経済思想史、哲学といった学問領域から再考の声があがり、環境問題と格差問題を通底する概念として「資本新世」の語も◎

この記事では前半を扱います。

ちなみに日本第四紀学会により、あるいはその主要メンバーにより、朝倉書店からは『第四紀学』が2003年に、『地球史が語る近未来の環境』が2007年に東京大学出版会から刊行されています。他方『人新世の「資本論」』の刊行が2020年。ちょうど日本では2007年、第四紀がGoole検索でピークをつけ、漸次低落した後を受け、人新世が2021年に俄然人々の注目を集めています。
・Google検索における、第四紀と人新世

人新世と第四紀 Googleトレンド

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「本との出会い」をDXする

 


(Z世代はめっちゃ検索してる! 「若者は検索エンジンを使わない」は偏見だった!? https://webtan.impress.co.jp/e/2021/10/15/41754

 

■棚の力が果たした「本との出会い」

「復調」や「市場の底打ち」が報じられる出版市場ですが、子細に観るとコミック頼り。コミック以外の分野はなお危機の上にある、といってよいでしょう。「書き手→出版社→取次会社→書店→読み手」という仕組みが機能不全に陥りつつあるからです。 Continue reading

 

「新しい孤独」と文化基盤あるいは新自由主義

 

■孤独・孤立対策担当大臣の設置

孤独は、日本社会のどこに身を伏せているのか。

2007年、ユニセフが日本の「子どもの孤独」を報じ話題となりました(「レポートカード7」)。しかしその後このテーマを正面から論じ、政策面への反映がなされることはなかったのです。それはユニセフ自身が、日本の数値の異常さに対し、「質問を別の言語と文化に翻訳することの困難を表しているのか、あるいはさらに調査の必要がある何らかの課題を示しているのか」といった注釈を入れていたせいかもしれません。

時間は流れ2021年2月、政府は世界で2番目となる孤独・孤立対策担当大臣(坂本哲志氏)を任命、内閣官房に孤独・孤立対策担当室を設置しました(最初の設置は英国)。ここでは子どもが射程に入ると同時に「ひきこもり」や「女性の貧困」などがキーワードになっています。 Continue reading

 

汎用図書館としてのデジタル図書館

■汎用図書館と文庫と学習

あらゆる主題が網羅され、相互に内容的な関係をもちつつ、同じ内容のものはない。それら膨大に蓄積された書き言葉(テキスト)やドキュメントの集合体。これが、古来より人類に構想されてきた「汎用図書館」のイメージ。そして資源の蓄積と再利用が、「図書館」という手法、活動のエッセンスです。他方「文庫」はもともと、ある特定の個人がその興味と関心にしたがって収集した「自分用図書館」、「個人蔵書」の語義が原型です。たとえば三木清の次の一文です。

「本は自分に使えるように、最もよく使えるように集めなければならない。そうすることによって文庫は性格的なものになる。」(「読書子に寄す」とiCardbook https://society-zero.com/chienotane/archives/5171
・三木清

(思想家紹介 三木清 « 京都大学大学院文学研究科・文学部 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/japanese_philosophy/jp-miki_guidance/

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WEBTOONが見せつける、出版のIT化とDXの違い

◎出版でのDX(デジタルトランスフォーメーション)の象徴、「デジタル・ファースト」が進んだのは韓国の漫画・コミック。文字ものでの鍵はCSSか◎

 

■IT化(デジタル化)とDXの違い

日本では社会全体で、テレビ、そして新聞や雑誌へのアクセス頻度・時間が低下しています。 Continue reading

 

コミュニケーション 人間関係|iCard(知識カード)

◎啓発的・飛躍的な知識ネットワークへ
(クリックすると楽しめます。関心と興味の外に広がる本の連環世界)◎

 

■コミュニケーション、人間関係

前の記事で「コミュニケーション、人間関係」がひとつのキーワードでした。
賃金と企業の生産性|マルチリレーション社会の創造を )

コミュニケーションへの切実さは時代により変遷しています。近代国民国家の枠組みができる前、そしてあらゆるものが商品化する前の時代、コミュニケーションは生きていくうえで必要不可欠なものでした。感染症はいうまでもなく天災、飢餓、猛獣など、人類の脅威に対抗するためには、群れを作って立ち向かうことが生存に有利だったからです。今風には、群れによる人間の安全保障とでもいえるでしょうか。 Continue reading