Tag Archives: 読書

ケヴィン・ケリーが語る「本と読書と出版」 その1

■取次の危機

JEPA(日本電子出版協会)のビジネス委員会が6月20日「茶話会」を開催する。この先10年の出版を語りあう「茶話会」のテーマは「読み放題モデルってどうなのよ」、であった。これを受けて4回に分け、議論の準備も兼ね手元メモを書き留めたが、その中で何回か、ケヴィン・ケリーの『<インターネットの次>に来るもの(翻訳:服部 桂)』を参照した。

そこで次に、『<インターネットの次>に来るもの(翻訳:服部 桂)』の中でケヴィン・ケリーが「本・読書・出版」について語っている部分をハイライトしてみることにした。


もっと重要なことは、われわれが新しいものを古いものの枠組みで捉えようとしがちだということだ。

(その結果(筆者挿入)(中略))その先が明らかに不可能なものに見えたり、あり得ない、あるいはあまりにもばからしいと思えたりすると、それを無視してしまう。(『<インターネットの次>に来るもの』 第1章 Becoming)

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大学生の読書離れは高校までの読書習慣が原因

全国大学生活協同組合連合会が毎年実施している学生生活実態調査の2017年版(第53回)を公表した。学生が本を買わなくなるトレンドは不変。

下記に、2015年までの大学生の生活費(≒収入)に対する書籍購入比率を抜き出しているが、この減少トレンドは変わらず、2017年1.3%%(下宿生)、2.1%(自宅生)。1975年の7.6%、12.4%(下宿生、自宅生)、1980年の6.5%、10.2%(同左)からは大きく乖離している。

(大学生は本を買わない (コミック、教科書以外)本を読まない | ちえのたね|詩想舎 http://society-zero.com/chienotane/archives/3775Continue reading

 

「読書」が日本社会にビルトインされるには

●図書館が文庫本まで貸し出しすると、出すべき本を出せなくなるかもしれません【文藝春秋 松井清人社長インタビュー前編】 https://ddnavi.com/interview/409189/a/
「文芸系の出版社には、雑誌や単行本が売れなくても文庫が売れることで収支のバランスをなんとか維持しているという事情がある」。 Continue reading

 

「読書」は21世紀日本社会に必要ないものなのか


●中国イノベーション事情(21)“知識”を売る時代に?
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00449774
日本で、「知のエコシステム」が瀕死の状態であるにもかかわらず、中国では、2016年を「知識の有料化元年」と言っている、らしい。
「何でもネット検索ができる時代に、あえて知識習得がベースとなるコンテンツの創作と販売をビジネスモデルにする。情報が溢れる時代にあって、人生に必要な知識や有益な情報を購入することに価値を感じる人が増えている」。 Continue reading

 

●貧困と情報リテラシー

┃Post Modern あるいは再編成されるLife(生命/生活/人生)
働くって? 育児、教育、ケア、地域、時間、eco、社会保障など

最近私は「シミルボン」というサイトで、本に関するエッセーを書いています。カテゴリーは「ビジネス・経済」です。ただ、「シミルボン」全体がコミックや小説に関する記事の多いのが気になっています。コミックや小説に関する書き手は十分いるので、それ以外の本についてあれこれ書いてみたい方、是非ご参加ください。人気のある連載や記事は、2つの電子ストア(Reader Store/ブックパス)で電子書籍化されることもあるそうですよ。

シミルボン https://shimirubon.jp/

というのも、たとえば今回のクリップでのテーマ、貧困と情報リテラシーといったことを考えると、もっともっと多様な本が日本社会に流通してほしいと痛感するからなんです。

最近、「子供の口腔崩壊」という耳慣れない言葉が注目を集めているのをご存知ですか。

口腔崩壊とは、「未処置の虫歯が10本以上など多数、歯根しかない歯が多数あるもの」をいいますが、その子の体の生育や健康への悪影響だけではなく、声をあげて笑えないなどのメンタルな部分、社交性の発達などにまで尾を引く問題。

一般にはその子供の家庭の経済的な状況が原因とされています。しかし子どもの虫歯対策はその子どもの親の情報リテラシーによって左右される、そううい側面も見逃せません。読書や知識の取得にかかわるリテラシー、さらには行政の制度への無知なども含めた広い意味での情報リテラシー欠如が背景にあるようなのです。 Continue reading

 

iCardbook(アイカードブック)の船出

これまで主にクリップとセミナー備忘録で情報発信をしてきました。

が、元々は<一人出版>を目指していたのでした。ブログ開設より3年弱の時間が流れ、ようやく新レーベルiCardbook(アイカードブック)を発表します。

企画段階「詩想誌・知識カード」が正式名称でしたが、商品化の過程で新レーベルiCardbook(アイカードブック)としました。

アイカードブック(iCardbook)| 詩想舎 http://society-zero.com/demo/index.html

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●アンリミテッド騒動より『Picassol(ピカソル)』登場の方が日本市場には大事

A:<メディアとしての紙>から<デジタル化するメディア>へ

●出版デジタル機構 新サービス『Picassol(ピカソル)』提供のお知らせ http://www.pubridge.jp/info/press/397/
作品のデジタル・データを版元自身が所有・保管できる点が画期的。
2016年11月1日、コンテンツの編集や校正、マルチ展開などを支援するサービス「Picasol(ピカソル)」の提供が開始される。同サービスは、講談社と日本電気(NEC)が共同開発した原稿作成、編集ソフトを元に開発したもの。これを出版デジタル機構のクラウド上で展開することで、出版各社が利用できるようになった。
印刷会社に依頼するのではなく、版元自身で原稿整形、校正支援、自動ルビつけなどができるピカソルは(むろんこれまで通り外注も可)、次工程の修正作業の軽減や校正費用の削減に寄与。印刷物、電子書籍、ウェブなど様々な形式に展開できる汎用テキストデータ(独自仕様XML)を採用しているため、特定のアプリケーションやOS、バージョンに依存することなく一つのデータを雑誌連載、単行本、電子書籍、ウェブまでマルチ展開することができる。

(Picassol説明会 - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=OZwCvKD4SIQ

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日米大学生の、学習・読書の量と質の差

日本の大学生があまり本を読まない、と憂慮する声が高まっている。そもそも日本人の20歳の知的好奇心が、スウェーデンの65歳とほぼ同じだという統計もある。

ただ読書時間数もさることながら、何を読んでいるかも重要だ。 Continue reading

 

大学生は本を買わない (コミック、教科書以外)本を読まない

1.大学生の書籍費構成比率(収入に占める書籍費の割合) (%)

調対象年 自宅生 下宿生
1975  12.4%  7.6%
1980  10.2%  6.5%
1985   6.9%  4.4%
1990   5.5%  3.3%
1995   4.7%  2.7%
2000   3.6%  2.1%
2005   3.7%  1.9%
2010   3.5%  1.8%
2015   2.7%  1.4%
大学生の書籍購入費構成比

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●初のアクティブラーニング全国調査 カリキュラム・マネジメントが鍵

D:<学習・教育のデジタル化>と<脳と身体の生態史観>

●初のアクティブラーニング全国調査の結果を大公開! http://manabilab.jp/article/357
先生の段階では、個別の取り組みが活発化してきた。ただ「学校として取り組みを行っている学校は10%台」。
国語、外国語では50%以上、地歴・公民、理科でも40%以上でアクティブラーニングの視点に立った参加型授業が実施されている一方、数学では26%。

・「アクティブラーニングに関する校内研修が実施されているか」は、都道府県でかなりのばらつき。



・動き回るのが「アクティブ」と勘違いしている向きもまだある。
アクティブラーニングは「活動の前後や合間に教員が考えを深めるための前提知識を提供したり、行った活動についての解説を行ったり、生徒が自分で学んだことをふりかえったりする「理解進化型」の活動を行うことで、学んだことの意味が明確になり、より効果的な学習となる」もの。

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