デジタルトランスフォーメーションを果たしつつある「読書」

社会学者小熊英二氏が『日本社会のしくみ』で、海外先進国の企業が新規採用時に、入社希望者の専門能力と学位を重視するのに対し(=職務に対し人をあてがう)、日本の企業や官庁の人事担当者が「人物」「人柄」を重視する(人に職務をあてがう)傾向が強いことを指摘し、結果、専門知に対する学習が根付かない、根付きにくいキギョウ社会を日本に生みだしたとしています。

日本の出版市場の20年の凋落傾向にはこういったことが背景にあるものかもしれません。

他方、社会的実態として、「読書」のデジタルトランスフォーメーションとでも呼べるような傾向も現れています。

●日本人は読書しない? する? | ちえのたね|詩想舎 https://society-zero.com/chienotane/archives/8342
「凋落する出版市場に変化を起こすためには、デジタルトランスフォーメーションを果たしつつある「読書」に呼応した、「出版のデジタルトランスフォーメーション」が必要だ、ということになるのだろう。」

●書籍『2019年版 読書世論調査~第72回読書世論調査 第64学校読書調査』 http://www.1book.co.jp/006359.html
「新聞は読む人の減少に歯止めがかからない一方で、インターネットは「する」人が7割弱に達しており、その平均時間も若年層を中心に伸びている。」

●要約サイト「フライヤー」が出版業界にもたらした本の新たな入り口 - CNET Japan https://japan.cnet.com/article/35142547/
「要約があれば、読むべきビジネス書を選ぶ基準になるのではないかと考えました。」

(本の要約サイト「flier(フライヤー)」なら1冊10分で読破?実際に使ってみた感想 | XERA https://xera.jp/entry/flier)

○Audiobooks gain popularity, but print books still the most-read format | Pew Research Center https://www.pewresearch.org/fact-tank/2019/09/25/one-in-five-americans-now-listen-to-audiobooks/
米国の「読書」の状況、8年間の変遷について。
・若干ながらホン(紙だけではない)を読む人が減少
・紙での読書減少をebookとaudiobookでの「読書」の増加がカバーしている
・読書人のなかで紙しか読まない人は37
・足元2019年のebookでの読書割合は25(2016年からはやや軟化)
・足元2019年の audiobookでの読書割合は20(2015年から上昇トレンド)

●リアル書店とインターネット経由の出版物の売上動向をグラフ化してみる(最新) - ガベージニュース http://www.garbagenews.net/archives/2458560.html
「インターネット経由の購買額は漸増しているが、リアル書店経由の購買額はそれ以上の減少を示しており、全体としては減少傾向にある。この構図は音楽市場におけるデジタルとアナログの市場動向にも似ており、非常に興味深い」。

●201909CSSWM | aplab https://www.aplab.jp/201909csswm
ebookは紙面を前提にした冊子体のデジタル化から、次のステップへ移行することになるのです。

●「2025年の崖」とは何か?レポートを要約すると? 経産省の推奨施策まとめ |ビジネス+IT https://www.sbbit.jp/article/cont1/36929
経済産業省は 「もしDXが進まなければ「2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と警告している」。

●沈静化していた出版業の倒産が急増 背景に業界構造の改善遅延か - ライブドアニュース https://news.livedoor.com/article/detail/17146003/
「業界構造の改善が遅れたことが大きい。不採算の出版物の廃刊、休刊の決定の遅れだけでなく、逆に書籍点数を増やしてきた出版社もある。だが、売上増につながらず、印刷代や紙代の値上がりで赤字が拡大する悪循環に陥っている。」

●昭和17年オープンの京都・大垣書店 「創業店」閉店に悲しみ広がる : J-CASTトレンド https://www.j-cast.com/trend/2019/09/19368032.html
過剰の解消なしに、業界の復活はないか。
閉店を知らせる貼り紙には「多様化するニーズに対応するための充分な品揃えを維持することが困難になり、この度の判断に至りました」と書かれている。