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デジタルトランスフォーメーションを果たしつつある「読書」

社会学者小熊英二氏が『日本社会のしくみ』で、海外先進国の企業が新規採用時に、入社希望者の専門能力と学位を重視するのに対し(=職務に対し人をあてがう)、日本の企業や官庁の人事担当者が「人物」「人柄」を重視する(人に職務をあてがう)傾向が強いことを指摘し、結果、専門知に対する学習が根付かない、根付きにくいキギョウ社会を日本に生みだしたとしています。

日本の出版市場の20年の凋落傾向にはこういったことが背景にあるものかもしれません。

他方、社会的実態として、「読書」のデジタルトランスフォーメーションとでも呼べるような傾向も現れています。 Continue reading

 

日本人は読書しない? する?

日本人の読書の傾向に関しては、毎年毎日新聞が「読書世論調査」を実施し、おおむね5~6割の日本人が読書をしていることになっている。確かにかつては教育大国といわれた日本だ。しかし体感的に違う気がする。「読書」という営為は日本社会の中で劣化しているのではないだろうか。

ただし「読書」のデジタルトランスフォーメーション、という視点も忘れてはならない。その視点を持った時、日本人の読書の傾向はどう判定されるべきなのだろうか。 Continue reading

 

●「本」のことは嫌いでも、「読書」のことは嫌いにならないでください

(JR東京駅前・丸善丸の内本店のブックフェアに「好書好日」も参加(11月5日まで開催)|好書好日 https://book.asahi.com/article/11860636

日本財団が2.5万人を対象に行った調査では、家庭の経済事情と学力に一定の相関はあるものの、「貧困世帯のうち、学力が高い子どもと、学力が低い子どもを比較すると、学力の高い子どもは、生活習慣や学習習慣、思いを伝える力などが高水準にある」ことがわかっている(https://www.nippon-foundation.or.jp/news/articles/2017/img/92/1.pdf)。

家庭での親の考え方、生活姿勢、普段の行動状況がこどもの生活習慣や学習習慣の経路を伝って学習達成度合いに影響を及ぼす、ということだ。学校教育には限界がある。むしろ家庭であり、「読書習慣」形成には親の責任が大きい。 Continue reading