●「開いた」社会への希望と不安

20世紀、カイシャも政府組織も閉じた系の中で独自の生態系を構築していた。しかし「閉じた」社会のお約束は、もう後戻り不可能なほど「開いた」社会になってしまったウェブの時代においてなんの役にも立たない、このことを日本の社会はもっと肝に銘ずべきだ。

ウェブに象徴される社会構造をさらに細かく見ていくと、データとアルゴリズムに行き当たる。実は自分の自由意思で決めたと思っていてもそれは、アルゴリズムに誘導された結果でしかない可能性すらある。さらにさらに、アルゴリズムが導き出す結論のほうに、自分の身をゆだねることに価値を置く考え方も知らないうちに定着しつつある。


(5687:予防切除(乳癌) | 温故痴人のブログ https://ameblo.jp/onnkotijinn117826/entry-12376824004.html)
「母親を乳がんで亡くしている女優のアンジェリーナ・ジョリーは、遺伝子検査によって自身もBRCA1遺伝子に危険な変異を抱えていることがわかり、両乳房切除手術に踏み切った。彼女は当時がんに冒されてはいなかったが、この変異を抱える女性が乳がんになる確率は87%であるとするアルゴリズムに従ったのだ。後世の歴史家は、彼女のこの決断を、歴史的な決断と位置付けるかもしれない。」


 

●「ホモ・デウス」が描く、私たちが想像もしなかった未来 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン) https://forbesjapan.com/articles/detail/22855
「かつて地球上にはさまざまな人類種が存在したが、なぜホモ・サピエンスだけが生き残ったのか。ハラリはその理由を、7万年前にホモ・サピエンスの脳に起きた「認知革命」に求めた。これによってホモ・サピエンスは、「虚構」を操る力を手に入れたのだ。」これがハラリの前著『サピエンス全史』のメッセージだった。

同じ著者による『ホモ・デウス』は「農業革命が有神論の宗教を生み出したのに対して、科学革命が生み出したのは人間至上主義という宗教だ。いまのところ科学と人間至上主義は両輪となって、現代社会を構築している。しかし今後、ポスト人間至上主義が生まれるかもしれない」未来についての思考だ。

外部のアルゴリズムが、人間自身よりも人間のことを詳しく知っているという社会が現実のものとなろうとしている。」
「知能と意識のどちらにより価値があるのか。そして私たち以上に私たちを知るアルゴリズムが現れたとき、社会や政治や日常生活はどうなるのか。」

 

●創造性と技術の関係とは ミッチェル・レズニック | インタビュー | Computer Science for ALL http://csforall.jp/interview/3144/
「現代社会に適応するために変化が必要だと考える人は増えてきています。しかし、彼らの大部分は4つのPに沿ったアプローチをとっていません。学校はこれまでの方法に強く固執しており、変化することはとても難しいと感じます。変化することに対する抵抗が大きく、1世紀近くにわたって教育は変化してきませんでした。そして、多くの国々やその産業界が、変化を願う発言をしていますが、具体的に変化につながる行動を起こしていないと思います。」

(4つのP:プロジェクト(Project)、情熱(Passion)、仲間(Peers)、遊び(Play))

 

●ノーベル経済学賞が警告する「経済成長の影」 | 経済学で読み解く現代社会のリアル | 東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/242133
「ロバート・ルーカス氏(1995年ノーベル経済学賞受賞)が人的資本の蓄積による生産性の向上に注目したのに対し、ローマー氏は、イノベーションが起き、それが持続的な成長を生み出し、知識やアイデアの蓄積度合いにより、国ごとの成長経路が異なることを証明した。」

 

●目前に迫ったAI社会(1) ライドシェアが広がらない、鉄道AI自動運転が始まらない | 財経新聞 https://www.zaikei.co.jp/article/20181016/471790.html
「AIにより大幅なコストダウンに成功し、それを投資家に還元するのではなく、労働者全体に還元し、豊かな社会を実現できるのか?正念場に差し掛かろうとしている。」だが、「閉じた社会」で得た権益を手放したくない政府と企業はAIに及び腰だ。
いまはひょっとして日本が、「働かなくてもよくなる」社会と、「働けない社会」、どちらに向かうのかの分岐点になるかもしれない。

 

●IT業界に構造改革を迫る経産省「DXレポート」の衝撃 - ZDNet Japan https://japan.zdnet.com/article/35126699/
「ユーザー企業とIT企業との関係を見直す時期にある。そのきっかけを同レポートが示す。1つは、IT人材の年収を現在の約600万円から倍の約1200万円にすること。魅力ある職業にし、優秀な人材をIT業界に呼び込むためだ。もう1つは、ユーザー企業がIT人材の獲得・育成に力を入れること。デジタル化を自らリードするためで、IT人材の構成比を現在の7対3(IT企業、ユーザー企業)から5対5、いずれは3対7と逆転させる。」

 

●仮想通貨の疑問は「宋銭」を知れば腑に落ちる | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/236928
「鎌倉・室町時代の人々は、交換手段として、それまで主流であったコメや綿布を見限って中国銭に乗り換えた。朝廷や幕府が禁止しようが、中国銭を使おう、これが鎌倉・室町時代の人々の答えである。幕府もこの答えを最終的に認めたのである。」

ルールは、人々の日常やビジネスにおける行動のありかたに直結する。それは時として、政策レベルとは無関係に形成される。」