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電子図書館と「読み放題」|「読み放題モデルってどうなのよ」 手元メモ その4

前回、「潜在読者の掘り起こし」と「本と読者のマッチング」を、「「所有」から「利用」へ」あるいは「readingからscreeningへ」のパラダイム転換に対応して展開するのが、「読み放題」というビジネスモデルなのだ、とした。

ここで、本の場合、所有にはコンテンツ単品・買い切り/売り切りの支払方法が、利用にはサブスクリプション(コンテンツを利用した期間に応じて料金を支払う方式)の支払方法が対応すると想定されている。

・所有権:コンテンツ単品単位ベースの取引 買い切り/売り切り
・利用権:コンテンツのマスベースの取引  サブスクリプション(コンテンツを利用した期間に応じて料金を支払う方式)

しかし第一回(その1)に書いたように、二つの異なる世界、また様々なジャンルがあるので当然のことながら、「単品・買い切り/売り切り」と「マス・サブスクリプション」の間にはバリエーションがある。

しかも価格(料金)政策はサービス利用者向け価格にだけ知恵を絞ればよいのではない。

「読み放題」サービスの事業を構築する際、プラットフォーマーにとっての最大の課題が、「書籍コンテンツの仕入れ価格体系と、サービス価格体系との組み合わせの工夫」になる。 Continue reading

 

読み放題ってそもそも何なのだろう|「読み放題モデルってどうなのよ」 手元メモ その3

1.「所有」から「利用」へ

読み放題ってそもそも何なのだろう。

他の「放題」と横並びにして気付くこと。それは「所有」から「利用」へ、という変化。

つまり「〇〇放題」は、

・まず読者の「所有」の中から「利用」だけを切り離して、サービスにしたもので、
・しかもそのサービス提供主体すらも、「所有」していない。

ネットフリックスは世界最大の映像提供会社だが、映画を所有することなく観客にそれを見せている。スポティファイは最大の音楽ストリーミング会社だが、音楽はなにも所有していないのに、どんな曲でも聴かせてくれる。アマゾンのキンドル・アンリミテッドは80万冊の本が読み放題だが、本は所有していないし、プレイステーション・ナウはゲームを購入しなくても遊べる。(『<インターネット>の次に来るもの』 第五章 Accessing )

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Baasあるいは「出版」からの解放|「読み放題モデルってどうなのよ」手元メモ その2

1.もうひとつ、注意したいこと。Baas(Books as a service)

2018年4月24日のJEPAセミナーは「 『<インターネット>の次に来るもの』から読む未来」だった。 http://www.jepa.or.jp/sem/20180424/

『<インターネット>の次に来るもの』は、「リンクとタグは過去50年で最も重要な発明」といったネットの本質についての理解を踏まえ展開されるメディア論、デジタル世界をもっとも深く理解するビジョナリーとして評価されているケヴィン・ケリー氏の最新著作。氏は「ワイヤード」の元編集長。またスティーヴン・スピルバーグ監督の映画「マイノリティリポート」では、未来世界のアドバイザーを担当した人物。

(マイノリティ・リポートの世界が現実に?独で犯罪予測システムの導入検討 https://irorio.jp/daikohkai/20141204/184075/
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注意したいこと|「読み放題モデルってどうなのよ」手元メモ その1

 

「読み放題モデルってどうなのよ」

1.注意したいこと
・出版業界にはふたつの異なる世界がある
・ジャンルの違い

2.Baasあるいは「出版」からの解放
・Baas(Books as a service)
・「出版」からの解放

3.読み放題ってそもそも何なのだろう
・「所有」から「利用」へ
・紙媒体からデジタル・データ表示媒体(デジタルメディア)へ

4.電子図書館と「読み放題」
・電子図書館は単品・買い切り/売り切り、その代わり同時アクセス1
・「読み放題」の仕入れ価格体系は企業秘密


昨年度から、「版元大集合…この先10年の出版を語ろう!茶話会」を企画、運営してきたJEPA(日本電子出版協会)のビジネス委員会が6月20日、2018年度版をスタートさせる。

今回のテーマは、「読み放題モデルってどうなのよ」。原則JEPA会員だけの会合だ。 Continue reading