●after internet時代の「読書」

A:<メディアとしての紙>から<デジタル化するメディア>へ

●〈文庫〉の思想と「読書運動」 « マガジン航[kɔː] http://magazine-k.jp/2016/11/01/editors-note-14/
「読書」をどう位置付けるか。
「文学テキストは、会話や書きものによる意見交換の本質的な一部であり、読者ひとりひとりの主観性と彼の他人との対話から生命を得ているのである」。ピエール・バイヤールの〈共有図書館〉と三木清の文庫は、この点で通底した問題意識の上にある、と言える。
〈共有図書館〉:読書の本質にあるのは一冊一冊の本の内容を正確に理解し、記憶することではなく、〈ある時点で、ある文化の方向性を決定づけている一連の重要書の全体〉を把握すること。
自前の個人図書館(=文庫):三木清は読者がそれぞれに「性格的」で「スタイル」を得た、自前の個人図書館(=文庫)をもってほしいと願った。

●「岩波文庫」(1927年創刊) http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/bunko80nen/top.html
「真理は万人によって求められることを自ら欲し、芸術は万人によって愛されることを自ら望む。かつては民を愚昧ならしめるために学芸が最も狭き堂宇に閉鎖されたことがあった。今や知識と美とを特権階級の独占より奪い返すことはつねに進取的なる民衆の切実なる要求である」。この草稿を書いたのは哲学者三木清

●岩波茂雄 「読書子に寄す」 ――岩波文庫発刊に際して―― http://www.aozora.gr.jp/cards/001119/files/42753_16113.html
岩波書店が「岩波文庫」を創刊するにあたり、ブレーンとして大きな役割を果たしたのは哲学者の三木清。有名な「読書子に寄す」の草稿を書いたのも三木。
「近時大量生産予約出版の流行を見る。その広告宣伝の狂態はしばらくおくも、後代にのこすと誇称する全集がその編集に万全の用意をなしたるか。千古の典籍の翻訳企図に敬虔の態度を欠かざりしか。さらに分売を許さず読者を繋縛して数十冊を強うるがごとき、はたしてその揚言する学芸解放のゆえんなりや。吾人は天下の名士の声に和してこれを推挙するに躊躇するものである」。
「この文庫は予約出版の方法を排したるがゆえに、読者は自己の欲する時に自己の欲する書物を各個に自由に選択することができる。携帯に便にして価格の低きを最主とするがゆえに、外観を顧みざるも内容に至っては厳選最も力を尽くし、従来の岩波出版物の特色をますます発揮せしめようとする」。

●三木清 書物の倫理 http://www.aozora.gr.jp/cards/000218/files/50537_37480.html
岩波文庫の「文庫」という言葉はもともとは、ここにある個人蔵書の含意だった。
「本は自分に使えるように、最もよく使えるように集めなければならない。そうすることによって文庫は性格的なものになる。そしてそれはいわば一定のスタイルを得て来る。自分の文庫にはその隅々に至るまで自分の息がかかっていなければならない。このような文庫は、丁度立派な庭作りのつくった庭園のように、それ自身が一個の芸術品でもある」。

●読んでいない本について堂々と語る方法 http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480097576/
「読書の本質にあるのは一冊一冊の本の内容を正確に理解し、記憶することではなく、〈ある時点で、ある文化の方向性を決定づけている一連の重要書の全体〉を把握することだからだ。バイヤールはそれを〈共有図書館〉と名付ける。その上で、肝心なのは〈共有図書館〉全体をイメージできること、個々の本がそこでどのような場を占めるかがわかることだ、という(〈文庫〉の思想と「読書運動」 http://magazine-k.jp/2016/11/01/editors-note-14/ )」。

●デジタルアーカイブ時代の大学における「読書」の可能性 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/66/10/66_518/_pdf
東京大学新図書館計画における三つの実証実験の紹介:
1.夏目漱石『三四郎』の文献ネットワーク=研究者を活用した本との「出会い」の創出=漱石が執筆時、明示的あるいは無意識のうちに参照していたであろう、思想家とその書物を可視化する試み
・例えば、『三四郎』には「カントの超絶唯心論」という言葉が出てくる。そこからカントの『Critique of pure reason(純粋理性批判)』へリンクが張られ、クリックするとその本が開く。



2.eReading:機械に補助された「読み」の経験の創出=読んでいる本のページから、キーワードについて辞書、事典の解説へ飛ぶことができる。キーワードの選定は国立情報学研究所が開発し、「自動索引生成」と「自動注釈表示」の二つの機能を有する「eReading 」を活用。
3.重ね書きの教室:文献講読ゼミに電子書籍を導入し書き込みを共有する=電子書籍に、生徒のレイヤーと先生のレイヤーを設け、読み進みながら生徒が感じたことや、自分用のメモ、疑問などを書きつける。それに対し、先生がレスポンスする仕組みを構築。

●衆議院TPP特別委員会での知財参考人意見 ~我々はどう情報革命を乗り越えるべきかhttp://www.kottolaw.com/column/001317.html
権利の処理」、その手間とコストの壁を乗り越える知恵出し競争が先進国で始まっているが、日本は完全に後手。
「米国プラットフォームはこの壁を、「フェアユース」と言われる広範な例外規定などで超えました。そしてEUはじめ世界は今、「著作権リフォーム」と言われる制度改変を通じて、この変化に対処しようとしています」。
その後手の日本が、「知財の制度を条約で拘束することにはリスクがある」、と福井弁護士は指摘する。
after innternet時代の「読書」へ向け、新しい構造を構築せよ。

●クリエイティブ・コモンズと著作権の新しい潮流 http://www.slideshare.net/JEPAslide/ss-68121343
インターネットと(出版に関する)プラットフォーマーの登場で、出版「社」は、出版「者」のひとりに過ぎないという状況が生まれている。ITの知識とWeb世界の情報流通のノウハウが、これからの出版社の死命を制する時代に、Web世界出自の出版「者」が続々参入してきている(KDPの自己出版者もこの中にはいる)。出版の組織へITやWeb世界の情報流通のノウハウを取り込む施策は大手出版以外、ほとんど手つかずのように見受けられる。

(出典:学術研究におけるクリエイティブ・コモンズ http://www.slideshare.net/TasukuMizuno/mizuno121814
これを著作権制度の文脈で表現するなら、「複製」から「公衆送信」へと、出版業界の構造が変わった、ということだ。
この構造変化への対応について、意識的な経営変革を行分ければならない。

(出典:同上)
(サイト: クリエイティブ・コモンズ・ジャパン https://creativecommons.jp/

●TPPで問題となるのは農業だけじゃない。著作権「死後70年」を受け入れて本当に良いのか? http://nikkan-spa.jp/1226329
ある調査によると、書籍の98%以上が作者の死後50年経過する以前に市場から姿を消している。つまり売られていない。
したがって、著作権の保護期間を伸ばしても遺族の収入増はわずか。むしろ著者の死後すみやかに作品は、電子図書館、電子博物館、いわゆるデジタルアーカイブなどのテクノロジーによって次世代に語り継がれるチャンスを広げる努力をするほうが文化的には大事。
「シェイクスピアもシャーロック・ホームズも、著作権が切れたからこそ、大胆に改変されながら、新しい作品になっています。有名な作家はもちろんですが、著作権が切れることは、じつは、多くの作品にとって、もう一度、読者や観客と出会うことになる可能性が高いのです」。

●140文字の「重み」を言語毎に比較してみた http://kawalabo.blogspot.jp/2015/03/140.html
中国語・日本語・韓国語の密度が圧倒的。
中国語で1ツイートで書ける内容は、英語では最大4ツイート必要となります。
このへんは文字数の多い言語なので意外性はあまり無いですが、改めて数字にしてみると凄いですね。
日本語のほうがツイッターで色々言える、というのは錯覚ではなさそうです」。

●月額9500円で始める電子出版! 電子書籍データ作成から配信・販売までオールインワンの新・電子出版プラットフォーム『Beyond Publishing』オープン!http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000288.000009949.html
PDFやテキスト形式のデータをアップロードするだけで、ePub3形式の電子書籍が作成できる。ePub3データのアップロードも可能。
・作成した電子書籍は、無料配信のほか、販売機能が追加される「有料配信プラン」(月額1万5000円/1GB)と、ユーザーへの一定期間ごとの課金が可能な「有料読み放題プラン」(月額2万円/1GB)での配信が可能。
書籍の閲覧や購入は、ウェブブラウザーで行えるほか、Windows/Android/iOS向けのビューアーアプリが提供される予定。
・プロモーション支援:出版物の紹介サイトや立ち読み機能へのリンク、QRコードを利用したデジタル付録、見本誌のデジタル献本

(サイト: Beyond Publishing | 電子書籍・デジタルカタログ配信プラットフォーム https://bpub.jp/

●学研 2020年までの教育プラットフォーム戦略 【セミナー備忘録】 http://society-zero.com/chienotane/archives/1408#wook
学研の『Beyond Publishing』は「wook」が前身。この記事・エントリーは「wook」のこれまでの経緯ついて、詳しく解説。