知のパラダイムシフト

●「火花」が電子書籍でもバカ売れする意味

A:<メディアとしての紙>から<デジタル化するメディア>へ

●「火花」が電子書籍でもバカ売れする意味 http://toyokeizai.net/articles/-/78577
テレビの影響力は大きい。「電子書籍のイーブックジャパンによると、「火花」は芥川賞受賞前の約12倍も売れている」。特に夜21時以降のダウンロードが目立つ、つまり書店が閉まった後に買っている利用者数が多い。
だんだん、電子書籍はいつでも買える、あっという間に手に入る、が認知されてゆく。アマゾんのベソスがかねて言っているユーザーエクスペリアンスの積み上げが、電子書籍体験の広がりにつながっていく、か。

●ネット書店の支払い方法や配送から考える、アマゾン帝国の優位性と揺るぎない地位!? - 積読書店員のつくりかた http://fiblio.hatenablog.com/entry/netsyoten.kinokuniya-amazon-yodobashi
欲しい本を手に入れたい、という願望をかなえるのに、Google、Amazonの検索サービス・デリバリーサービスは、店頭の棚の力、書店員の力技をはるかに超える利便性を提供しているのは間違いない。ベソスの言う、良質なユーザーエクスペリエンスの提供こそ、最大の読者への訴求力であり、成長のエンジンである、という点を再確認。

●GYAOとパピレスが合弁会社を設立~紙書籍の置き換えでない、次世代コンテンツ開発・制作を目指す http://markezine.jp/article/detail/22870
「GYAO!」や「Yahoo!ブックストア」を運営するGYAOと、電子書籍の販売・コンテンツ開発を行うパピレスが、合弁会社「株式会社ネオアルド」を設立。紙書籍の置き換えではない、デジタルならではの機能や面白さを持った次世代コンテンツの開発と制作を目指す。

●『月刊宝島』『CUTiE』次号で休刊 若者文化を刺激した2誌 http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1507/30/news086.html
「時代を切り取り、新しい価値観を提供するという雑誌の役目を終えた」。

●【新文化】 - 出版梓会の今村正樹理事長、「大幅な再販弾力運用を」 http://www.shinbunka.co.jp/news2015/07/150727-07.htm
個人的な見解と断ったうえで、「読者は本の価格が硬直化していることに不満をもっているのではないか」「非再販の拡大と柔軟な取引きに変えていく必要性を訴えた」。

●国内サービスインしたオーディオブックサービス「Audible」を試す http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/ebook/20150723_713016.html
日本でかつて電子が紙を食う、という議論があったが、米国でも音が紙を食うと恐れられ、「専用端末「Kindle」も、かつては音声読み上げをサポートしていたが、2011年のKindle Touchをもってイヤフォン端子が廃止された経緯がある」。
が、これは肉声にこだわったコンテンツ。「「クラウド」と「端末」が切り替えられ、「端末」にはダウンロード済みのコンテンツが、「クラウド」には過去にライブラリーに追加した全てのコンテンツが並ぶという仕組みになっている。「クラウド」、「端末」といった文言はKindleと同じ」。

●読者と経済本が共に夢を見られた時代の終焉 http://blogos.com/article/123561/
ワンパターンの「経済本」の終焉、という話。要はどこへ向かえば良いかについてのコモンセンスがあって(20世紀はそういう時代だった)、どうやってそれを具体化、実現するか、HOWを競えばよかったときはビジネスマン向けスキル、啓蒙書、成功体験談が売れた。
しかしいまは「What」が課題の時代。その内容は「公開=刊行」に不似合い、なのだ。たとえばM&A個別案件の内部事情はなかなか本にはならない。

●「キーワード」で本をつなぎ合わせ、本と人がつながる「Sewing books」 http://www.lifehacker.jp/2015/07/150722sewing_books_2.html
相手に本の話を伝えるためのコミュニケーション、それを「構造化」するための、キーワード探し、この一連の活動をつなげることで、ホンと本とが、ヒトを介在して、意味的につながっていく。アマゾンがやっている、購買履歴からのレコメンドではない、意味からのレコメンドが得られる活動。(前半: http://bit.ly/1OD4vYB )

●総務省|平成26年版 情報通信白書|コンテンツ及びサービス利用の変化 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc141120.html
スマホは人々の情報活動を活発化させる。ネット検索、ニュースへのアクセスは爆増。同様に、タブレットを保有すると電子書籍での読書が増加。日本ですら、タブレット保有者の電子書籍利用率は4割を超え、今後利用したいを合わせると5割越え。


●TwitterとFacebookのユーザーは、ニュースに接する機会が増えている(Pew調べ) http://jp.techcrunch.com/2015/07/15/20150714pew-twitter-and-facebook-users-being-exposed-to-more-news/
米国の話。「TwitterとFacebookをニュースソースとするアメリカ人の割合は増え続けている。増加の主な理由はそこでニュースに遭遇するユーザーが増えたためであり、出会いが演出された」。
TwitterでFacebookよりも高い比率で読まれている話題:連邦政府と政治(72% 対 61%)、国際問題(62% 対 51%)、ビジネス(55% 対 42%)、スポーツ(70% 対 55%)。
(レポート全文: http://pewrsr.ch/1CF3mz5



●「今の取材体制を維持するためにこそ、デジタルでのマネタイズが不可欠」~「週刊文春」編集長・新谷学氏インタビュー http://blogos.com/article/124406/
「今までは紙の売上と広告でマネタイズしてきましたが、3本目の矢としてデジタルによる収益というのを、現実的に考えるべき時代に来ています」。
「「週刊文春デジタル」にアクセスしてくる人が、何を目当てに来ているかというデータを見ると、紙で取っている人気ランキングとはまったく異なります。年齢層も10~20代が6割近くなので、紙の読者とは違う人たちが入ってきている。将来に向けての投資としては、非常に可能性を感じているところです」。

●メディアのバナー広告を買うのと、自分たちでメディアを作るのはどちらが安いか?(上・B2B編) | AdverTimes(アドタイ) http://www.advertimes.com/20150728/article198638/
「売る」広告から「知ってもらう」広告、さらには自前コンテンツ配信へ。コンテンツとして扱われやすい記事広告やタイアップ型の広告、動画を軸にした宣伝メッセージが増えている。「自前」は特にB2Bで。
ただしこれは、専門性の高さが求められること。また「日本においてはWebのバナー広告の単価がB2CのメディアでもB2Bのメディアでもあまり変わらないため、必然的にターゲットとなる読者の母数が少ないB2Bのメディアが収益構造として厳しい状態になっているという」ことからきている。

●博報堂、動画配信サービスの取組みをワンストップで可能にする「動画ビジネスマネジメントシステム」提供 http://markezine.jp/article/detail/22797
動画がコンテンツ消費の中心になろうとしている機運を見計らっての新サービス、オープン。「初期コストをかけずに動画配信を開始可能。また、動画サーバー、広告サーバーの提供、EC連携、DM連携などの機能を有する」

●出版の未来は「出版社」ではなく「ブランド」にある http://wired.jp/2015/07/27/brand-journalism/
〈ブランド・マガジン〉の爆発。書籍、雑誌の編集力を、汎マーケッティング・ツールにする、という発想が当たり前になりつつある、ひとつの証左。検索して意思決定することが当たり前になったネット時代。様々な業界、企業で消費者の検索活動に耐える情報発信なしに、ブランドが築けなくなってきているのだ。

★Newspaper industry lost 3,800 full-time editorial professionals in 2014 | Poynter. http://www.poynter.org/news/mediawire/360633/newspaper-industry-lost-3800-full-time-editorial-professionals-in-2014/
いわゆるメディア業界から一般産業界企業のブランド構築部門への、編集者の転身、などといったトレンドにつながっていくのかに興味。米ニュース編集者協会、2014年にプロジャーナリスト3万3千人中の約1割にあたる、3800名の職が失われた、と。

●新聞の“新ビジネスモデル”作りたい--他紙も巻き込む、朝日新聞の大構想 http://japan.cnet.com/news/business/35067822/
新聞「紙」の電子化ではなく、<新聞のデジタル化>、プラットフォーム構造の見直しに着手。
「オープンプラットフォームでは、記事テキスト、写真や図、見出し、レイアウト情報、属性情報、ページ構成情報などの既存の新聞データを、EPUBに変換しやすい新聞各社共通の電子新聞フォーマットにいったん変換する。そしてEPUB新聞データに自動変換し、アーカイブデータとして蓄積するとともに、電子新聞コンテンツとしてダウンロード配信ができるようにする」。
「ウェブ変換にはHTML5を用いる」。このことで、たとえば「スマートフォンとスマートウォッチを連携させれば、スマートウォッチで見て気になった話題をスマートフォンでじっくり読める」。

★Study: People read more on sites with modern designs. They also remember more.. http://www.poynter.org/news/mediawire/360275/study-people-read-more-on-sites-with-modern-designs-they-also-remember-more/
ただデジタル化しただけではダメ。スマホ・クラウドのモバイル環境にふさわしい、新しいカタチが必要。ニュース記事を、新聞紙様のオーソドックスなデザインと今風のボックスレイアウトなど、新旧デザインで比較したところ、PVで90%もの差異。

●スマートニュース創業者・鈴木健「スマホの未来にやってくる2つのトレンドhttps://newspicks.com/news/1080719/body
スマホの未来は「リモコン化」と「ハブ化」。近くのタクシーを呼ぶスマホ・アプリに自動運転がつながれば、それは「自分が乗り込むラジコン」であり、スマホはそのリモコンということになる。
そして、IoTとの関連で考えると、あらゆる端末、機器、モノから収集される、すべての情報・データがクラウドに格納されスマホで手元に呼び出される。つまりそれは意思決定のための、情報・データのハブに、スマホがなるということ。
そのことが、ニュース業界の構造変化を起点に、民主主義や通貨がそのすがたを変えていく世界の連想へつながっていく。