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日本人の情報行動の変化と<本>の未来

2018年7月総務省は恒例の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」平成28年版を公表した。調査は2014年から始まっており、5年分のデータが揃ったということで、「過去5年間の経年分析」という特集が組まれたのが今回の特徴。

この調査は人口構成に応じたサンプリングを施し、その時の日本人全体の平均的な情報行動の様子を、「平均利用時間」で浮き彫りにする調査。しかも同時に、「行為者率」と「行為者平均時間」のデータが公開される。

「平均利用時間」=(「行為者数」 × 「行為者平均時間」) ÷ サンプル総数 Continue reading

 

●取次/書店の制度存続の条件も「ネットからリアル書店へ」

A:<メディアとしての紙>から<デジタル化するメディア>へ

●大手書店にも経営危機のウワサが……太洋社の自主廃業をめぐり、日本の書店と出版社の苦難は終わらない http://top.tsite.jp/news/comic/o/27738564/
取次は信用管理という仕事と、金融という機能を担っている。
その恩恵は、出版社にも、書店にも及んでいたのだが、その取次がいなくなるということは、負のカタチで信用管理と金融機能が逆流することを意味している。

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「読む」世界の動静

本を「買う」か、については、悲観論は必ずしも正しくない、ということを林智彦氏が解明している。
●日本は電子書籍の「後進国」なのか?--米国との差を「刊行点数」から推定 http://japan.cnet.com/sp/t_hayashi/35064650/

では、買った本は読まれているか。「買う」と「読む」は当然違う。個人が買って、「積読」もあるし、図書館が買って、「読む」を増強してくれることもある。

「読む」はどうなっているのか。先日の「平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」のデータを分解してみた。
(10代と60代ははずしてあります)

当然カテゴリーを細分化するほど、数値は統計としての有用性が揺れる。そのゾーンの人数規模や、個性に左右されてしまうが、一応単純に「行為者率」とその行為者がどのくらいの時間を費やしているか、つまり「行為時間」、このふたつを表にしてみた。

「読む」は、

・本で漸減しているのはやはりその通りだ。
・誤差の範囲かもしれないが、電子書籍は微増(30代のコミック電子本?)
・「読む」は「ブログ・Webサイト」そして「ソーシャル・メディア」が活発化している。
・このネット系の中で、本に比べはるかに高位ながら、「ブログ・Web」の低減傾向が始まっている。

「読む」時間全体を侵食するのが、

・動画を「見る」
・ゲームを「する」。

特に「ゲーム」が全年齢階層でどんどん浸透しているのが印象的。決して小中高校生だけの現象ではなさそう。

とりあえず。

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秋は「読書率」のニュースが飛び交う。しかしこの手の「読書率」指標には欠点がある。たとえば10年前に10冊読んだ人、その同じ人が今年になって1冊になってしまった状況を反映しない。等しく1カウントにされるからだ。
日本人の読書行為のリアル(含む電子書籍)を示すのはむしろこちらのデータだろう。

そしてこのデータからわかること。それは、スマホ経由のネット閲覧、それもSNSと連動するあるいは親和性のある、メディアの開発無しに、活字系コンテンツの「読む」復権はありえない。


◇関連クリップ

●日本人の情報活動 行為と評価がまるで違うのはなぜ? http://society-zero.com/chienotane/archives/1614
確実なモバイルの浸透、PCの利用率の低下。同時に特に女性のTV視聴行動の底堅さも。また平成24年の時点で、新聞パイプとテキスト系サイトパイプとでは、そこを通る情報流量の規模は、新聞対サイトで、「3:5」。それはさらに平成26年、情報流量の規模、新聞対サイトで、「3:9」に拡大。
http://bit.ly/1f9GzR7

●平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査<概要> http://www.soumu.go.jp/main_content/000357569.pdf
スマホが「標準」に=若者だけでなく、40代も7割超、50代も半数近くに(幅広い年代で利用が進む)。その過程で、メールよりチャット、テキストより動画、というのが若い層の顕著な傾向に。
(ポイント: http://bit.ly/1FHHb6X  詳細: http://bit.ly/1MmmuBA