「生物学的にいうと生き物の基本形は女」なのに。

NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる」で、なぜ女性は男性より長生きの傾向にあるのかがお題となった際、生物学者、福岡伸一青山学院大学教授から、「生物学的にいうと生き物の基本形は女」だからとの解説があった(2018年5月25日放送)。

http://tmbi-joho.com/2017/08/04/chikochan02/

つまり生物の一種である人間も、子宮の中でまず女性として誕生したのち、6週間経過したあたりで「無理やり」男性に転換させられる。その無理があるためどうしても男性は女性より短命だ、というのが最近の学会の説とのこと。

ところが、「生物学的にいうと生き物の基本形は女」のはずなのに、性差別が厳として存在するのが現在の日本社会。

第100回全国高等学校野球選手権記念大会の「甲子園見学」で、三重県代表・白山高校の女性部長が打席に入り、バットを振ったところ、高野連が厳重注意をした野球界。土俵で倒れた市長を、女性看護師が救急救命しようとしたら、「女性は降りろ」と行司が言った相撲界。企業でも政府組織でも、この傾向は変わらない。

さらに東京医科大学が女子受験者の点数を不当に一律減点していた事実。また安倍晋三氏による肝いりで中国ブロック比例第一候補として当選した自民党の国会議員、杉田水脈氏によるLGBT差別発言、などへとそれはつながっていく。

他方、男性であることを(女性が家庭を守ることを)前提とした制度設計、価値観の中で、女性も男性並みに働くのが当たり前とされることによる奇妙な現象も起きている。


●性差別大国日本の現状は、世界に対する恥さらし(古谷有希子) - 個人 - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/byline/furuyayukiko/20180803-00091882/
海外で日本の性差別への批判的報道が相次いでいる。
たとえば英国BBC。「日本の司法制度や社会的慣習が女性差別的であり、それがレイプ被害者を追い詰めるものであることを批判的に伝えている。」
社会の半分は女性だが、女性は政治・経済・文化のあらゆる分野で活躍できていない。すでにそのポストで多数を占め、権力を専横している男性が、女性にその地位を譲ろうとしないからだ。

●金もリーダーも専門職も…どこもかしこも男女格差だらけの国・日本 - wezzy|ウェジー https://wezz-y.com/archives/57670
ジェンダーと労働の質」の問題。「日本は男女間の賃金格差が先進諸国で最悪レベルであるだけでなく、官民問わず指導的立場に就く人材の男女間格差も、専門職における男女間格差も、ほぼ全ての指標で、先進諸国で最悪の状況」。


「日本の民間企業での指導的立場おける男女間格差はOECD諸国の中でも韓国と並んで大きく、しかもその程度は群を抜いている」。
さらに「本来、公的セクターというのは民間セクター以上に差別や格差に敏感で、生産性を多少犠牲にしてでもそれを守りに行くため、民間セクターよりも指導的立場における男女間格差が少なくなっているものです。しかし、日本の公的セクターは民間セクター以上に男女間格差が深刻」。

●実は「女医にかかれば長生きする」 明るみに出た医学界の闇、構造変革できるのか - 産経ニュース https://www.sankei.com/premium/news/180822/prm1808220006-n1.html
心筋梗塞患者についての調査で、「患者と医師のそれぞれの性別の組み合わせによって、生存率に違いがある」ことが判明。
タレントの西川史子医師は、成績上位を合格させると、「女性ばっかりになっちゃう。女の子の方が優秀」。ただし女性の合格者を増やすと、「眼科医と皮膚科医だらけになっちゃう(厚生労働省の平成28年末時点の調査によると、女医は全体の21・1%だが、皮膚科では47・5%、眼科は38・3%で、西川医師の言う通り。一方で、外科は5・8%、脳神経外科は5・5%とかなり低い。)」。

●所得格差が住まいの格差に「郊外マンションは売れない」  WEDGE Infinity(ウェッジ) http://wedge.ismedia.jp/articles/-/13633
共働きが敬遠する郊外マンション(郊外の範囲:横浜、八王子、狭山、春日部、柏、八千代を結んだ国道16号線より外にある地域)。
理由:共働き世帯の増加。「30歳代ではいまは75%が共働きになっているほどで、女性の場合は郊外マンションに住んで、子供を保育所に預けて働くとなると通勤が大変になる」。

●共働き世帯の現状をグラフ化 1000万世帯を超えても増加の一途 - ライブドアニュース http://news.livedoor.com/article/detail/15143766/
「2005年ごろから増加の傾向が顕著で、1000万世帯を超えてもなお増加中だ
妻が働きやすい非正規雇用の仕組みが整備されことなどが起因とされる」

●「結婚」「夫婦」という観点から見る日本の所得格差 - 迫田さやか / 所得分配論 http://blogos.com/article/316632/
かつて「「結婚は資産(そして債務)の共有が伴うという意味で、それ自体が一つの平等化装置」だった。「夫の収入が高いほど妻の就業率が下がる」という経験則があったから。
ところが、「現在では、働く妻の所得によって世帯間の所得格差が広がっていくのである。ましてや、その夫婦どちらもが高い学歴や稼得能力を持っていたらなおさら」。

 

 

┃Others あるいは雑事・雑学
●なぜ、アメリカでは障害者を「弱者」と呼ばないのか? – 佐藤由美子 http://yumikosato.com/2017/07/30/%e9%9a%9c%e5%ae%b3/
「アメリカ人と日本人では障害に関する考え方が大きく違う。そもそも英語では障害者(disabled people)とは言わない。障害を持つ人、障害と共に生きる人(people with disabilities)という言い方をする。子どもの場合は、障害児(disabled children)とは言わず、特別なニーズのある子ども(children with special needs)と呼ぶのが一般的だ。あくまでも「人」に焦点を当て、私たちには人間として同じ権利があることを強調する。」

●米国を覆う「自殺クライシス」 格差国家、景気の恩恵届かぬ現実 - 産経ニュース http://www.sankei.com/wor…/news/180728/wor1807280032-n2.html
「中西部や北部の農地や砂漠、山岳が広がる州に集中。一方、低いのは東部の都市部が占め、自殺率は高い州の3分の1以下だ。」

●分権と集権が同時に進む医療・介護改革の論点-「機能的集権」で考える複雑な状況の構造と背景 | ニッセイ基礎研究所 http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=59347
機能的集権:「高齢化に伴う医療・介護給付費の増大と財政赤字の拡大を受けて、医療・介護給付に関する税金や保険料の負担を抑えることも大きな課題となっている中、都道府県や市町村に任せたままだと、給付費の抑制が進まない可能性がある。そこで、指標や評価基準の策定、補助金を通じたインセンティブ、アドバイザーの選定など個別最適を図る政策の積み重ねを通じて、給付費の抑制に関する国の役割を拡大させる動きが強まっている」

●実は大きい認知症診療の格差、その理由とは:日経Gooday(グッデイ) https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100023/081000056/
「今の認知症診療には、認知症のある人に接する際に肝心な『本人の視点』が、医療従事者にも家族にも抜けていることが多い」。
・認知症の診療は、脳の検査よりも「問診」ありき
・認知症の薬は安易に使わず、まずは生活環境を整えることが必須
「本来、認知症は急速に進むものではありませんが、不適切な介護やストレスがかかると早く進むことがあります。周辺症状だけではなく、認知機能そのものが軽度から中等度、高度、と段階的に進むのです。妄想も幻覚も、物忘れですら、家族だからこそ許せないのは分かりますが、周囲の関わりが本当に大切であることを知っておいてほしい」。