でんでんコンバーター10周年と句集の電子書籍化

でんでんコンバーター10周年、おめでとうございます。私にとって、でんでんコンバーターはこれで父に親孝行できた、頼もしくもありがたかったツールです。あらためて感謝申し上げます。

・でんでんコンバーターのマスコット・電書ちゃん


電書ちゃん - でんでんコンバーター

父親は鹿児島で私が生まれる前、1951年(昭和26年)、「天街」という俳句結社を創設したメンバーのひとりで、2013年当時は鹿児島県現代俳句協会顧問でした。まあ、九州で俳句をやっている人の中では名の通った人で、句集も二冊出版しています。

父が85才になった2013年の夏、父の句集の一冊を電子書籍にして、それをタブレットにいれて父に見せたことがありました。地元紙にも記事が載りました。「どうやったら手に入る」とたくさんの問い合わせがあり答えるのですが、時代は10年前の鹿児島です。しかも問い合わせは父の年代が中心、「若い人」でも60代、ただただ混乱するばかりだったのを思い出します。

実はその前年父は家の中で倒れ、救急病院に搬送後、四日ほど昏睡状態が続きました。意識回復したものの、下肢が思うように動かせない症状が残り、リハビリが始まりました。リハビリは父にはきつかったようですが、自らのこころを閉ざす傾向が日を追うごとに強くなり、周囲を心配させていました。それで療養施設付特別養護老人ホームに移ったのですが、声も出しずらく、小さくゆっくりしか話せない状態になっていました。筆記用具で字を書くのもだいぶ難儀をするようでした。

その錦江湾沿いの道を行くと見えてくる、海と島を眺められる老人ホームに、妻と三女がタブレットを抱え尋ねていったのでした。タブレットには電子書籍化した父の句集、『神々の餐』が入っていました。

なにやら手帳大の不思議な機器が目の前に差し出され、見ると自分の句が載っている。指を動かすと新しい句が見えてくる。父は眺めていましたがしばらく経って、「一句できましたあああ」と小さな声で言ったそうです。それを妻が何度か聴き返しながら、書き留めたのが次の一句です。

さくらじま 真夏の柱 立ち上がる

眼前にある雄大な桜島を活写した俳句であると同時に、萎えたこころと身体の状態から、「よし、おれももう一度立ち上がるぞ」、ぬっくと立ちあがろうとする心持ちみたいなものを重ねた句であったか、と考えています。

父親をどうやって励ましてあげようかと句集を電子書籍にするアイデアを思いついたはよかったものの、IT音痴の私に電子書籍作りは難行苦行で、でんでんコンバーターがなかったら、amazonサイト掲載までいけていなかったでしょう。また表紙画像はでんでんコンバーターの開発者と同じ会社に勤めるY氏のご厚意の作品でした。

ちなみに父のこの句は、現代俳句協会のご配慮で(物故者は会員ではない)、協会のデータベースに入れていただいています。

 


●この記事の背景:でんでんコンバーターが10周年

「実は今年の2月にでんでんコンバーターが10周年を迎えるのですが、新機能発表!みたいなイケイケの動きができなくて困っています。

そこでユーザーのみなさんの力をお借りしたいと思います。励ましのメッセージや作った本の紹介をお願いしたいのです。届いた情報を特設ページに掲載させてください。」

●でんでんコンバーターとは

詩想舎代表・神宮司が編集を担当する「日本電子出版協会 ebookpedia」に、「でんでんコンバーター」の項目立てがしてあるので、詳しくはそちらをご覧ください。

・でんでんコンバーターとは? https://www.jepa.or.jp/ebookpedia/201509_2589/

開発された2013年、いきなりJEPA出版アワードにおいて、2013年の「大賞」に輝きました。開発に携わった高瀬拓史には人脈の広がりがあり。それがため、開発は黎明期の日本の電子出版界隈の「もやもや」を解消してくれる、ニーズを的確に捉えたツールになっていた。だからみなが快哉をの声を上げた、それが、「大賞」受賞の背景です。

・2013年JEPAアワード、受賞の皆様と大賞の高瀬氏(中央で「電書ちゃん」とともに)

第7回JEPA電子出版アワード、大賞は「でんでんコンバーター」 -INTERNET Watch Watch)