人間中心主義を超え出ることができないから
従来型の経済学は、「近代(化)」の所産であり人間中心主義が基本にあります。ひとつには人間世界の経済議論だけで完結する、理論の構築を目指してきた学問体系です。次に自然環境は人間によって利用されるために存在する、人間の経済的利益の確保のために自然を合理的に管理するという発想が、そこにはあります。ところが、20世紀後半から露呈してきた環境問題は、人間の経済と環境との「接点」で起こる問題であり、それを解決するのための思考の枠組みとして、従来型の経済学は不適切なのです。
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人間の意思決定とは独立して生成する生態系として、自然は存在しています。他方、そもそも生態系への負荷は、一定の限度以内なら元通りになるが、一定の限度を超えると元通りにならない場合が一般的だという性質を有しています。したがって、従来型の経済学と生態学や熱力学などの自然科学の研究成果を統合する、新しい経済学が必要なのです。
これは、45億年の地球の歴史の中で育まれた自然の摂理をよく理解し、それに人間経済システムが適合できるように工夫するための経済学。最近になってエコロジー経済学という呼称で一般化しつつあるものです。
たとえば日本であまり知られていないおもしろい米国の事例があります。サケは川を溯上することで海の栄養分を山林に運び、森林資源を豊かにしてきたことが研究で分かってきました。この結果を受けて、アメリカではサケが溯上できる河川に戻すためにダムを撤去し始めたのです。2010年代のことです。
もともと日本人も伝統的には、自然界の循環の仕組みや原理を上手に利用しながら社会経済システムを築き上げてきました(里山がその好例)。その理念を、政策や制度に落とし込んでいくための理論的枠組みとして、エコロジー経済学に注目が集まっているのです。
サービスの缶詰、デイリーの三原則、マテリアル・バランス論、レジリエンス、定常経済論、成長を巡る議論など。エコロジー経済学の学習に資する参考文献を紹介しましょう。
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■参考文献(書籍)リスト
(参考文献のもっと詳しい内容は、書籍タイトルをクリック。知識カード(書名の下)もクリックするとコンテキスト(文脈)がわかりとても便利。)
雇用、利子および貨幣の一般理論
ケインズ経済学と実物界
サービス経済学説史
市場を通じてサービスを提供する活動を分析する経済学の成立
宇宙船地球号の経済学
An Introduction to Ecological Economics
エコロジカル経済学の四つの共通ビジョン(2)持続可能性
エコロジカル経済学の四つの共通ビジョン(3)予防原則
エコロジカル経済学の四つの共通ビジョン(4)能動的・先取的(proactive)
Ecological Economics - an introduction
学際的アプローチの必要性
Ecological Economics and Sustainable Development Selected Essays of Herman Daly
持続可能な規模という経済運営の目標
Ecological economics: principles and applications 2nd ed.
ストック-フロー資源
ファンド-サービス資源
デイリーのエコロジカル効率
Economics and the Environment A Materials Balance Approach
マテリアル・バランス論(物質均衡論)
Steady-State Economics, 2nd ed
定常経済論
Toward a Steady-state Economy
デイリーの三原則
Valuing the Earth: Economics, Ecology, Ethics
一時的な現象としての指数級数的成長
エコロジー経済学
エコロジカル経済学の出現
エコロジカル経済学の四つの共通ビジョン(1)生態系のサブシステムとしての人間の経済
成長によるコストとメリットのバランス
エコロジカルな経済学
エコロジカル経済学の四つの共通ビジョン(4)能動的・先取的(proactive)
エネルギーとエントロピーの経済学
究極の低エントロピーの供給源としての太陽
エントロピー法則と経済過程
エントロピー法則と経済過程
ストック-フロー資源
ファンド-サービス資源
ジョン・ロックの自由主義政治哲学
ロックの所有権論の前時代性
レジリエンス 復活力
レジリエンス
レジリエンスとは何か
レジリエンス
持続可能な発展の経済学
成長によるコストとメリットのバランス
デイリーのエコロジカル効率
社会的共通資本
社会的共通資本
成長の限界
デイリーの三原則
予防原則
エコロジカル経済学の四つの共通ビジョン(3)予防原則
裏切られた発展
共進化
エコロジカル経済学の課題
◎これは『なぜ経済学は経済を救えないのか(倉阪秀史)上下巻』の「(上)第五章 実物を重視した経済学への展開」の参考文献(書籍)をリスト化したものです。
書籍のフルタイトルは『なぜ経済学は経済を救えないのか━資本基盤マネジメントの経済理論へ━(上) 視座と理念の大転換』です
■iCardbookのメリット ★読書にコスパ★
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■アイカードブック(iCardbook)とは
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アイカードブックの「アイ」は、inspire、intelligent、innovativeの「i」。知の旅人をinspireする書き物、関心と興味の外に広がる「知の世界」へ誘うintelligentな書き物、知のエコシステムを刷新するinnovativeな書き物。それがiCardbookです。
※詩想舎が考える「専門書」の条件:
・必須:「この記述の典拠はいったい何なのか」に応える準備があること
文章中の典拠明示
註
参考文献一覧 他
・望ましい:索引用語一覧があること(ebookになるとビューアに検索機能があるので不要か)
上の条件を満たした書き物の中には、学術書だけでなく啓蒙書や入門書もありえます。
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◎買う前に見て便利|参考文献リスト https://society-zero.com/reference/index.html