宇宙船地球号の経済学

ケネス・ボールディングは、一九六六年の「来るべき宇宙船地球号の経済学」において、無限に供給源と不要物の吸収源がある「カウボーイ経済」ではたくさん生産・消費することが良い経済の指標となるが、宇宙船の中の「宇宙飛行士経済」ではより少ない生産・消費で生活を維持することが良い経済の指標となると指摘した。※I):「宇宙飛行士経済では、スループット(通過物)は決して切実に必要とされるものではなく、最大にするというよりは最小にすべきものとして把握されるべきものである。経済の成功度を測る基本的なものさしは、生産や消費なんかではなく、その経済システムに含まれている人間の身体や心の状態を含む総資本ストックの内容、大きさ、質、そして複雑さである。宇宙飛行士経済では、最大の関心はストックの維持であり、少ないスループット(つまり少ない生産と消費)で与えられたストックを維持する結果を生むどんな技術的変化も明らかに良いことである。」(「来るべき宇宙船地球号の経済学」倉阪訳)

■参考文献
Boulding、 K. E. (1966)、 "The Economics of the Coming Spaceship Earth"; in Environmental Quality in a Growing Economy、 Johns Hopkins University Press、 reprinted in Valuing the Earth、 The MIT Press

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I. :「宇宙飛行士経済では、スループット(通過物)は決して切実に必要とされるものではなく、最大にするというよりは最小にすべきものとして把握されるべきものである。経済の成功度を測る基本的なものさしは、生産や消費なんかではなく、その経済システムに含まれている人間の身体や心の状態を含む総資本ストックの内容、大きさ、質、そして複雑さである。宇宙飛行士経済では、最大の関心はストックの維持であり、少ないスループット(つまり少ない生産と消費)で与えられたストックを維持する結果を生むどんな技術的変化も明らかに良いことである。」(「来るべき宇宙船地球号の経済学」倉阪訳)