知のパラダイムシフト

ビル・ゲイツ|ピケティ用語集

マイクロソフト社の創業者の1人。米ハーバード大学在学中の1974年に、友人のポール・アレン氏とマイコン向けのBASICを開発。マイコンマニアの支持を受け、「BASICの標準」として各社のマイコンに採用された。この成功を背景に、1975年に起業、マイクロソフト社を設立。2008年7月にはマイクロソフト社の経営とソフト開発の第一線から退き、「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金」の活動に専念。

『21世紀の資本』では、ピケティの理論(資産の増加は、所得の伸長を上回る)の好事例として取り上げられている。

これに対し2014年10月ゲイツ氏は、個人ブログで『21世紀の資本』に対する書評を公開。その中で「格差の拡大は問題である」点や、「資本主義が格差拡大への流れを自己修正することはない」点について肯定したうえで、それを是正する手段としてはただし、税制だけでもないだろうと指摘、「米国には寄附の運動や、ボランティア活動の習慣がある」と言った。

2015年1月3日にボストンで開催されたカンファレンスで、ピケティ氏は「たしかに、彼ならば(政府より効果的な)時もあるかもしれない」と述べ、慈善活動家のゲイツ氏ならば、政府より良い方法で資金を使うこともあるかもしれないと認めた。

 


 

『フォーブス』ランキングの最も印象的な教訓のひとつは、ある閾値を超えると巨額の財産は総じて、それが相続財産であろうと起業的な由来のものであろうと、所有者が働いていようといなかろうと無関係に、成長率がきわめて高いことだ。

(略)特にわかりやすい例として、世界的な富の階層のてっぺんを見てみよう。1990~2010年はビル・ゲイツ-OSの世界的リーダーであるマイクロソフト社の創業者-で、起業による富を体現する人物だ。かれは10年以上『フォーブス』ランキングの第一位に君臨したが、その財産は40億ドルから500億ドルに増加している。

(『21世紀の資本』 P456)

 


◆関連書籍


 ◎ピケティ用語集・一覧 http://society-zero.com/chienotane/archives/3385
◎データ集 トマ・ピケティ『21 世紀の資本』 http://society-zero.com/chienotane/archives/3427


◇関連クリップ

★Why Inequality Matters | Bill Gates http://www.gatesnotes.com/Books/Why-Inequality-Matters-Capital-in-21st-Century-Review
「適切な方法で行われた慈善活動は、社会に直接利点をもたらすだけでなく、世襲財産を減らすことにもなる」。
「Philanthropy also can be an important part of the solution set. It’s too bad that Piketty devotes so little space to it. A century and a quarter ago, Andrew Carnegie was a lonely voice encouraging his wealthy peers to give back substantial portions of their wealth. Today, a growing number of very wealthy people are pledging to do just that. Philanthropy done well not only produces direct benefits for society, it also reduces dynastic wealth. Melinda and I are strong believers that dynastic wealth is bad for both society and the children involved. We want our children to make their own way in the world. They’ll have all sorts of advantages, but it will be up to them to create their lives and careers.」

●途上国の子供にワクチン、ゲイツ氏はじめ世界から75億ドルの寄付 http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0V71V020150128
寄付額では、米マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏の15億5000万ドルが最高。

●ビル・ゲイツ、トマ・ピケティの『21世紀の資本』に共感するも「富裕税への増税には賛成できない」 http://www.huffingtonpost.jp/2015/01/05/piketty-bill-gates-not-pay-more-in-taxes_n_6420418.html
富める者一人一人が自らの富をどのように使っているかを考慮せずに、富裕層をひとまとめにしている点は間違っていると主張。米国には寄附の運動や、ボランティア活動の習慣がある。

●東日本大震災への米国からの寄付が7億3000万ドルに
http://www.jcie.org/researchpdfs/311/JCIE_USGivingReport4J.pdf
日本への寄付金を届ける活動をした非営利組織は330以上の団体。全米各地の日米協会のネットワークなど、日米の文化・草の根交流によって築かれたつながりがベースとなった。

●平成25年度 市民の社会貢献に関する実態調査 報告書概要
https://www.npo-homepage.go.jp/pdf/h25_shimin_chousa_gaiyou.pdf
寄附行為は一般的になっているが「赤い羽根」「日本赤十字」向けが過半で、NPO法人へ、は1割程度。ボランティア活動の現状と意識/寄附の現状と意識/NPO法人に対する関心(含む、「NPO法人へ寄付をしたいと思わない理由」)。(本文 http://bit.ly/1dpfCjZ )
(●米国で導入が始まった「テレプレゼンス・ロボット」 | 詩想舎の情報note    所収  )

●今注目の仕事、NPOの経営を支える「ファンドレイザー」とは
http://www.etic.or.jp/drive/labo/1376
協会による定義:団体や活動の魅力の発信力を高めて、外部から経営資源を集めることができる人/組織や財源の強化を通じて、活動や組織を成長させることができる人/倫理を守って寄付市場全体を成長させることができる人。