C:技術で/技術が/技術を(ICT:社会・法・制度論と技術文化論)
●なぜ「囲碁」だったのか。なぜ「10年かかる」と言われていたのか──AlphaGo前日譚 http://wired.jp/2016/03/15/the-mystery-of-go/
人工知能がトップ棋士を破るまでのコンピュータ・プログラム前史。
2,500年以上前に中国で生まれた囲碁は、チェスと同様に「二人零和有限確定完全情報ゲーム」(チェス、チェッカー、オセロ、シャンチー、将棋など)。サイコロのように偶然が介在する余地はない。
ところが演算の規模が膨大なのが囲碁と他のゲームとの違い。これを演算処理のスピードだけで対応しようとしてる間は勝てなかった。人間でも演算の規模の膨大さを理由にした成長の「壁」が存在するように。
これに対し信用リスクの計量化にも使われる、モンテカロル法によるランダムなシミュレーションの技法を取り入れたところでブレイクスルーが生まれた。「1950年に考案されたモンテカルロ法は、しらみつぶしの探索法を、より少ないサンプルから統計的に解答を導き出す方法」に変える発想の転換だった。
だがそれは「知性」と呼ぶにはまだまだ遠いものだった。
●AlphaGoをつくった「4億ドルの超知能」はいかにして生まれたのか? http://wired.jp/special/2016/inside-deepmind
「知性」に近ずくために行われたのが、機械学習、それもディープラーニングで、経験から学習する機能だ。
ついに人間を破った囲碁AIをも生み出した、開発元の ロンドンの人工知能スタートアップ、DeepMind社の目標は「機械学習と脳神経科学の知見を基にした、どんな状況でも人間と同じように判断を下せる人工知能」。
「ぼくがいま考えているのはもっと基本的なレヴェル、例えば、別々なことを組み合わせて新しい仮説をつくるといったような能力です。人工知能が小説や映画をつくるのは、まだ何十年も先でしょう」。
ただGoogleがかかわったことで研究開発の加速が始まったのは確か。
「これまでにも、企業の研究所にはベル研究所やゼロックスのPARC(パロアルト研究所)、マイクロソフト・リサーチなどがありましたが、いずれも大学の研究室のような運営がなされてきました」。ところが「グーグルという巨大企業のなかでは、(アカデミック的思考とスタートアップ的思考)が融合されているのです」。
●トップ棋士に4勝1敗 囲碁AIが人間に教えた未来 http://www.nikkei.com/article/DGXMZO98449820V10C16A3000000/
人間が機械に負けた? それは違う!
そのAIを作ったのも人間である、ことに変わりないのだから。
「アルファ碁にも採用された「ディープラーニング(深層学習)」と呼ぶ最新技術は、人間の脳をまねた手法でコンピューターが自らゲームの勝ち方や運転の仕方を学んでいく。人間の「直感」や「大局観」のようなものを身につけ」る仕組みを、人間自身が外部化し、人間の持つ能力を人間の身体性の限界から解放させたのが味噌。
そしてこの対極を見た他の囲碁士の感想はこうだ。「アルファ碁は囲碁を既存の枠組みにとらわれずに考え直す機会を与えてくれた」。
「常識」を覆す独創性と突破力。ならば社会の問題も、これまでの人間のアプローチからは想像もつかない代替手段を、人工知能が提示してくれる未来も期待できるのではないか。
●知性とは何か AlphaGoの初戦で感じたこと https://wirelesswire.jp/2016/03/51084/
AlphaGoを構成するのは打ち手を探索する「Policy Network」と局面を評価する「Value Network」という2つの深層ニューラルネットワーク。つまりここで重要なことは、人間の囲碁士が通常やるような学習過程(論理性や定石といった記号化された知識)ではない、別のやり方、筋道を通って学習が行われたという点。
実はこれは人間の知性に関する最近の研究とも一致するやり方。「人は自分がそう思っているほど、知性的なことを考えるのに記号的な論法、論理的な思考法をつかっていない」とする、「受動意識仮説」にもつながっていく。
「受動意識仮説とは、我々が意識して行動していると思っていることは、実際には因果関係が逆で、我々が意識するより前に身体は動き、言葉をしゃべり、起きてしまった現象に対して意識が辻褄をあわせるがごとく物語を創造しているのではないか、という仮説」。
人は受け取った膨大な情報を全ては保存できない。そこから生まれるのが「直感」だったりするのかもしれないのだ。
●低電力で高性能――小さなエネルギーで膨大な記憶を持つ脳のしくみをGPUが解明 https://blogs.nvidia.co.jp/2016/02/08/brains-memory-capacity/
「脳の驚くべきエネルギー効率は、セジュスキー氏が脳の“確率的”戦略と呼ぶ方法によって説明がつくでしょう。シナプスは、全体の10~20%の時間しか活動していないため、残りの時間は脳がエネルギーを節約できるというわけです。大人の脳は、起きている間に約20ワットの電力を消費しますが、これは薄暗い電球と同等の消費電力です」。
●IBMワトソン追い越せ 日立、AIで経営判断 http://www.nikkei.com/article/DGXMZO91258780S5A900C1000000/
日立はふたつの武器を持っている。
一つは「価値体系辞書」。「インターネット上で公開されているディベートデータベースを使って、あらゆる議題に対する賛成と反対の意見を蓄積し、単語に“価値”を見いだす仕組み」。
2つ目は「相関関係データベース」。これでネット上のデータの構文解析がかなりのスピードで行えるようになる。
●いま、人工知能は「Google検索」を大きく変えようとしている http://wired.jp/2016/03/13/ai-is-transforming-google-search/
2016年2月3日、グーグルの検索エンジン部門トップを長く率いてきたアミット・シンハル氏が退社し、後任にジョン・ジャナンドレア氏が就任した。この2人の交代劇は、テック業界そのものの転換期の象徴といってもいいのではないか。ジャナンドレア氏はグーグルの人工知能(AI)部門の統括責任者だったっからだ。
「ディープラーニング(深層学習)のアプローチは、FacebookやTwitter、Skypeといった多くの人気サーヴィスに急速に浸透してきている。この流れはここ1年余りでみると、グーグルのドル箱事業とも言える「Google検索」にも当てはまる」。
●ディープラーニングを小学生でも使えるようにしてみる https://wirelesswire.jp/2015/06/32460/
東京大学の松尾豊先生によれば、「ディープラーニングはWebの発明に匹敵するほどの発明」。そのディープラーニングは、技術環境的に身近なものになっている。
たとえばChainerやjetpac Deep Belief SDKなどを使った画像認識。「画像を入力するとテキストが返ってくるブラックボックスなわけですが、これをツールとしてスマートフォンアプリやRaspberry Piに組み込むことで様々な分野へ応用できる」。
ディープラーニング用の学習画像データ・セットを集めている、ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長CEOのコメント。
(深層学習フレームワークChainerの特徴 http://www.slideshare.net/unnonouno/chainer-59664785 )
●AIを語らずしてIoTは成立しない http://wired.jp/innovationinsights/post/analytics/w/iot-with-ai/?user=normal
IoTのの価値を生かすためには、機械学習の活用が不可欠。日立が工夫している「価値体系辞書」や「相関関係データベース」などのように、ビッグデータ分析の速度と精度をAIを使って改善する必要がある。
なにしろ、IoTの大きな可能性の実現は、膨大でしかも広がり続ける利用可能なデータの海から、隠れた洞察を探し出せるかどうかにかかっているのだから。
●IoTはモノにこだわりすぎると失敗するーープラットフォーム3社が語るIoTビジネスの本質 http://thebridge.jp/2016/03/iot-business-bdash
プラットフォーム3社は、「農業、環境、流通の3分野でデバイスから分析までの一気通貫したIoTプラットフォームサービスを提供している。全体の話を通じて感じるのはハード、クラウド、アウトプットするサービスなどのバランスだ」。
●IoTプラットフォームとは何か? https://iotnews.jp/archives/13442
IoTとは「センサーで取得した情報をインターネットを経由して、クラウドにアップロードする。そこには学習済みの人工知能が待ち構えていて、なんらかの判断をする。判断結果に基づいてモノに行動をする指示を返す」仕組み、あるいはサービス。
「IoTにおいてクラウド側の処理は、似通った処理をするケースが多い。一方で、高速性や信頼性は非常に問われるという特徴もある。同時に世界中からすごい数のモノが接続してくる可能性だってあり得るのだ」。
●これぞ真のIoT!家族の行動パターンを自動学習するスマートホームデバイス「Sense」に話題集中 http://techable.jp/archives/37349
「自己学習によって、家族のニーズに基づいて動く機能を備えている。ユーザーの声とジェスチャーを認識し、自分の存在を検出。習慣や好みを理解しながら、自ら習得していく」。
スマートフォンのリモートコントロールなしで、周りのデバイスとつながる強力な利便性を実現するのがポイント。
●画像認識 | docomo Developer support | NTTドコモ https://dev.smt.docomo.ne.jp/?p=docs.api.page&api_name=image_recognition&p_name=api_usage_scenario
NTTドコモが画像APIを提供する。それは画像内の物体等を認識しその名称等を返却するAPI。下記の3つの機能を有する。
カテゴリ認識:画像の準備・登録なしに、画像に写っているものが、指定されたモデルの中のどのカテゴリに属するのかを認識。
オブジェクト認識:ユーザまたは開発者が登録した様々な種類の画像を認識。
商品認識:画像の準備・登録なしに、500万件以上の商品を認識。
●モノのインターネットに追い風。消費電力1万分の1の受動的Wi-Fiシステムが開発される http://www.gizmodo.jp/2016/02/11wifi11100001.html
「受動的Wi-Fi」なるものが開発中。それは標準的なWi-Fiシステムと比べて約1万分の1の電力消費量。エネルギー消費の少ないBluetooth LEやZigbeeなどと比べても1000分の1になる。
「大学のキャンパスで試験的に運用してみたところ、問題なく既存のスマートフォンなどと連動できた。しかもこの受動デバイスからのデータが届く範囲は30メートルにも及」ぶ。
●VRは「2007年時点のスマホ」と同じ、巨大市場に成長していく https://newspicks.com/news/1447791/body/
ドイツ銀行のレポートで、「普及サイクルの観点から見て、VRのエコシステムは現在『2007年のスマートフォン』期にある」、と言われた。
「スマートフォンが米国内で1億人のユーザーを獲得するまでには4~5年かかった。VRに関しては、これよりも遅いペースでの普及曲線が予測されるが、それでも巨大市場の形成に十分な力強さを持っている」。
「「VR/ARは、次のコンピューティング・プラットフォームになる態勢ができていると我々は確信し続けている。そして、デスクトップからモバイルへの推移と同じく、VR/ARは既存の価値観を破壊するだろう」。
●到来「VR元年」 低価格化でプロ御用達を卒業http://www.nikkei.com/article/DGXMZO97462450Z10C16A2000000/
VRはこれまでは道路や機械設計などプロ用のツールだったが、最近では不動産業や結婚式場などのプロモーションにも使われ始めている。
●大日本印刷、VR事業に参入 18年度に売り上げ20億目指す http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1603/10/news139.html
仮想現実(VR)を活用したイベントなどを支援するサービス。メイン・ツールが「DNPカートンVRスマートフォンシアター」。
「「VRは生活者の興味・関心を引く手法として企業からの期待が高まっている」として、イベントやセールスプロモーション、エンターテインメントの他、新築住宅の内見や観光地案内など、VRの活用が見込まれる分野にサービスを提供していく」。