デジタル教科書|EdTechPedia

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デジタル教科書(義務教育)とは

2015年の現時点では、義務教育課程における「検定教科書」のデジタル化は、「教科用特定図書」以外は一切行われていない。他方「デジタル教科書」、あるいは「電子教科書」の名称をもつデジタルコンテンツはすでに流通、利用されている。文科省は後者を「いわゆるデジタル教科書」と呼び、この意味での「デジタル教科書」及び、「検定教科書」のデジタル化を体系的・統合的に検討する会議(「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議」)の設立について、初等中等教育局長決定という形で2015年4月20日取り決めた。

 教育における情報化の進展や、アクティブ・ラーニング等の主体的な学習の必要性の高まり、その他デジタル教科書・教材の位置付けの検討に関する各種提言等を踏まえ、いわゆる「デジタル教科書」の位置付け及びこれに関連する教科書制度の在り方について専門的な検討を行うことを目的として、「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議(以下「検討会議」という。)を開催する。
出典:(資料1)「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議設置要綱:文部科学省 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/110/shiryo/attach/1357855.htm

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主たる教材と副教材

文科省の見解としては、「(検定)教科書」も「(いわゆる)デジタル教科書」も、教室で使われる「教材」。

その教材の中で、「主たる教材」として「(検定)教科書」が、「従たる教材」としてこれまでも副教材が、使われてきている。

副教材とはたとえば地図(社会科)、漢字の書き取り帖(国語)、計算ドリル(算数)などのこと。教員が手作りするものと業者が制作するものとがあるが、業者制作の副教材を公立の小学校が使用する場合は、その副教材の採択において教育委員会の承認が必要。国立や私立の小学校では比較的自由に副教材を取り入れることができるという違いがある。

また最近では電子黒板に代表されるようなデジタル製品とそこで使われるデジタル教材が教室で「従たる教材」、副教材として使われている。

そしてもうひとつ、教室での授業を支えているのが「教師用指導書」。実は現在日本で流通している「デジタル教科書」は、この「教師用指導書」のデジタル版であることが多く、日本における義務教育課程における電子教科書の議論と大学などで行われる電子教科書の議論がかみ合わない原因のひとつになっている。

「教師用指導書」

「教師用指導書」は、教科書出版社が自社の発行する学校教科書に合わせて編集・発行する指導書。文部科学省がほぼ10年ごとに改訂する「学習指導要領」、学習指導要領改訂に合わせて出される「学習指導要領解説」や「学習指導書」に基づいて、具体的に個別の教科書をどう教えるか、そのポイントが解説されている。教科、学年により、その内容が板書されることも多い。

上述の電子黒板に表示されるデジタル教材の中には、教師用指導書の中で従来黒板に板書されていた内容がデジタル表示されたり、音声、画像付きで生徒の理解を促すような機能を備え、活用されたりする。

こういう背景から、「デジタル教科書」は電子黒板の普及に伴い、近年急速に義務教育課程では当たり前の副教材となっているという事情がある。

従って文科省では、これから議論を深める対象である「デジタル教科書」のことをわざわざ、「学習者用デジタル教科書」という言い方をする場合がある(民間の議論では「生徒用デジタル教科書」の単語も使われる)。対比上、従来使われてきているデジタル教科書は、「指導者用デジタル教科書」ということになる。
指導者用デジタル教科書の普及状況

下記の表はそれを整理したもの。この表は世界で進行中の電子教科書規格標準化の活動との整合性を検討する中で準備された資料であるため、英語表記との対比という形で示されている。
・教科書の種類
教科書の種類出典:電子教科書の国際標準:EDUPUB2報告会 http://www.epubcafe.jp/egls/epubseminar36 より

 


◇関連クリップ
●「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議(第1回) 配付資料:文部科学省 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/110/shiryo/1357853.htm
●世界最先端IT国家創造宣言 工程表 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/jinzai/dai5/sankou2.pdf
●デジタル教科書・教材の試作を通じたガイドラインの検証 http://www.nise.go.jp/cms/resources/content/9717/summary_H25-A-02.pdf
●デジタル教科書研究 第一号 日本デジタル教科書学会 学会誌 http://js-dt.jp/_userdata/journal/journal01_JSDT.pdf