アクセシブル・ブックス・サポートセンター(ABSC)について

 

■アクセシブル・ブックス・サポートセンターとは

「読書バリアフリー法」の制定を受け、「アクセシブル・ブックス」の推進に必要な情報の業界内流通・業界外発信と、個々の出版社からの要望を吸い上げるために設立された機関。特にTTSの推進とBooks( 日本出版インフラセンターが管理運営する書誌データベース)のアクセシブル対応には当面力をいれていく方針。略称はABSC(Accessible Books Support Center)。現在(2022年5月)は、準備会が発足し(2021年9月)、出版各社の中に、ABSC連絡窓口、担当セクションを設けるよう依頼している段階。

・読書バリアフリー法に対応する<ABSC連絡窓口>設置のお願い https://jpo.or.jp/topics/2021/10/211029.html


アクセシブル・ブックス=アクセシブルな電子書籍+アクセシブルな書籍
アクセシブルな電子書籍=デイジー図書・音声読上げ対応の電子書籍・オーディオブック等
アクセシブルな書籍=点字図書・拡大図書等


「<ABSC連絡窓口>設置のお願い」に名を連ねているのは次の団体。

一般社団法人 日本書籍出版協会 理事長・AB委員会委員長 小野寺 優
一般社団法人 日本出版インフラセンター(JPO) 代表理事・ABSC準備会座長 相賀 昌宏
(賛同呼びかけ人)
一般社団法人 日本雑誌協会 理事長 堀内丸恵
一般社団法人 日本出版者協議会会長 水野 久
版元ドットコム有限責任事業組合 職務執行責任 沢辺 均

 

■アクセシブル・ブックス・サポートセンター設立の背景

情報と知識へのアクセス、すなわちアクセシビリティを具体的に担保すべく成立したのが「読書バリアフリー法」で、アクセシブルな書籍やアクセシブルな電子書籍の刊行が増えるよう、具体的な計画策定を国と地方公共団体に命じている。さらに、アクセシブルな書籍等を制作する、登録された制作者に対し、出版者からのテキストデータの提供を促すよう、国と地方公共団体に求めている。

「読書バリアフリー法」では、施策の効果的な推進を図るための協議の場を国にもとめていて(第18条)、具体的には「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会」が、文部科学省と厚生労働省の招集で開催されている(第一回が2019年11月に開催され、直近では2021年6月が第七回)。

この協議会とは別に、経済産業省が「読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等に関する検討会」を設置、ロードマップやアクションプランを検討した(2021年1月から3月)が、その中で、出版業界からは「アクセシブル・ブックス・サポートセンター」(ABSC)の構想が提案され、2021年9月に同準備会が発足した。(検討会報告書 P35)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/downloadfiles/report/dokubarireport2021.pdf

【アクションプラン】
2021年度:アクセシブル・ブックス・サポートセンター設置準備
2022年度:関係団体との連携の協議及び規約・契約などを策定
2023年度:運用開始予定

【あるべき姿】
・製作者が、特定書籍の製作のために必要なテキストデータ等についてサポートセンターに問い合わせると、サポートセンターから各出版社への取り次ぎを行うなど、特定書籍の製作環境が充実している。
・また、テキストデータの提供にあたっては、受け渡し・活用等において契約等が整備されるなど、出版業界にとってセキュアな環境が整備されている。

 

■「読書バリアフリー法」が出版業界にもとめる行動

なお、経済産業省の「報告」では、「読書バリアフリー法」が出版業界にもとめる行動を

A:アクセシブルな電子書籍の拡大(第12条関連)
B:テキストデータ提供(11条2項(製作者への提供)、12条(書籍購入者への提供))

の二つだとして、それを実行していくうえでの課題を次のようにまとめている。そのうえで、課題克服のための5つの施策を抽出しているが、そのうちのひとつに、「アクセシブル・ブックス・サポートセンター」がある、という建付けになっている。

・出版業界の課題と今後の方向性
(読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等に関する検討会)

「現状において大手出版社をはじめとしてリフロー型の電子書籍化が進みつつある。しかし、現状、書籍の出版プロセスは、紙媒体の書籍が中心に据えられている。このため、電子書籍を出版する場合においても、図版やページ参照が多いことを理由に、アクセシブルな電子書籍であるリフロー形式が必ずしも選択されていない状況にある。また、同様の理由で、最終版となるテキストデータは存在していないことがほとんどとなっている。このため、テキストデータを提供する場合には、その抽出にあたって一定程度の追加的なコストが必要となる。さらに、中小の出版社になるほど電子書籍化が進んでおらず、ノウハウや体制上の課題も顕著となっている。

特に、障害者団体からニーズが高い学習参考書や専門書をみると、学習参考書はレイアウトが複雑であること、年度により版が異なることからリフロー型の電子書籍化が難しいことや、専門書においては図版とページ参照が多く、簡単にリフロー型の電子書籍として出版しにくい状況にある。そして、これらを取り扱っている出版社は中小事業者も多く存在しているため、リフロー型の電子書籍に十分に対応できていない。」

 

「読書バリアフリー環境の整備に向けては、出版業界・障害者そして関連団体のいずれの主体もその環境によるメリットを享受することが大切であり、出版業界の持続的な発展が前提となる。こうしたことから、読書バリアフリー環境の整備においては、基本的にはリフロー型の電子書籍の拡大を基本としつつ、それにより対応できない課題は、テキストデータの提供を行うことが大きな方向性となる。
(いづれも出典は https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/downloadfiles/report/dokubarireport2021.pdf


読書バリアフリー法そのものの解説は以下URL参照のこと
・JEPA| 読書バリアフリー法とは? https://www.jepa.or.jp/ebookpedia/202205_5632/