日本の電子図書館の活用状況・普及の程度

LibrariE(ライブラリエ)JDLS日本電子図書館サービスが提供する電子図書館の新しいモデル【セミナー備忘録】(中)

2.公共図書館の位置づけ・現状

あらためて市場の状況を整理してみよう。まずは相対比較の意味で他の図書館とともに市場のサイズ’(館数)を見てみる。

2-1:学校図書館

中学校
国立 51 公立 4625 私立  263 合計4,939

高等学校
国立 12 公立 3193 私立 1154 合計4,359

総計 9,298
(出典:第4章 2学校図書館の状況:文部科学省  http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/houkoku/05111601/004/002.htm

2-2:公共図書館

総計 3,246
(出典:日本の図書館統計  公共図書館 (2014集計 http://bit.ly/1O4eZlD

2-3:大学図書館

総計 1,419 内本館 763 分館 656
(出典:日本の図書館統計  大学図書館 (2014集計 http://bit.ly/1Gmsbwx

当面のターゲットは公共図書館なのだが、5年間で400館から500館規模というのはかなり控えめ(市場シェア12%から15%)の数字だということになる。

 

3.日本の電子図書館の活用状況・普及の程度

学校図書館はデータがない。

公共図書館にはデータ更新をしてくれる下記サイトが便利。それによると、31館。普及率は実に0,96%。

●E-Books & Libraries : 日本の公立図書館の電子書籍/電子図書館サービス - IKEUCHI UI http://oui-oui.jp/eb-lib/

システム的には、TRC-DLが圧倒しているのが現状。ちなみに、このシステムもJDLS同様「ブラウザでの閲覧システム」である「BinB」を応用している。

大学図書館は約300館(出典:「新刊ハイブリッドモデル」のサービスを開始 - 丸善やKMSI、出版社6社など  )なので、39.3%(大学図書館向けサービスは、複数キャンパスを横断して活用できることを謳っているので、「本館」ベースの数値で計算)。

これが将来どこまで行くかを占う上で、もう10年を超えて辞書・事典の閲覧サービスを機関(図書館等)向けに展開している、JapanKnowledgeの普及状況をベンチマークに見立ててみたい。

JapanKnowledgeは2001年スタートの小学館相賀社長肝いりのプロジェクト。Wikipediaに対抗するまっとうな辞書サービスを構築したいと始まったが、現在では総項目数270万、総文字数16億(当社パンフレット )を超える「知の宝庫」となっている。

卸売モデルで、辞書コンテンツ提供の版元へは定額を払い、ユーザーである図書館等の機関からは年額払いの定額収入を受け入れる。だからビジネスモデル的には、JDLSより、サービス提供側がリスクをしょっていることになる。

なぜならJDLSは毎年のクラウド使用料を頂戴したうえで、電子書籍売上に関しては、「売れたら」版元に還元する仕組み。それに対し、売上収入の動向とは無関係に、版元への支払負担が発生するのがJapanKnowledgeの卸売モデルだからだ。

それだけ必死に営業をしてきた十余年であったはず。その成果としての普及率、現状の様子を見てみよう。

各図書館市場への普及率は、

学校図書館=66校      0.7%
公共図書館=124館     3.8%
大学図書館=330(短大を含むと344) 43.2%

大学図書館市場はそろそろ上限に近いところに来ているのかもしれない。

公共図書館市場は、現状の31館から伸びる可能性があるものの、JDLSが目標にしている400館から500館は保守的などではなく、結構チャレンジングな数値だというのがわかる。

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◇関連クリップ
●第4章 2学校図書館の状況:文部科学省 http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/houkoku/05111601/004/002.htm
●日本の図書館統計  公共図書館 (2014集計 http://bit.ly/1O4eZlD
●日本の図書館統計  大学図書館 (2014集計 http://bit.ly/1Gmsbwx
●E-Books & Libraries : 日本の公立図書館の電子書籍/電子図書館サービス http://oui-oui.jp/eb-lib/
●電子図書館について | 電子書籍の情報をまとめてみる http://www7b.biglobe.ne.jp/~yama88/topi_4.html
●「新刊ハイブリッドモデル」のサービスを開始 - 丸善やKMSI、出版社6社など http://news.mynavi.jp/news/2014/09/14/066/
●導入機関一覧 | ジャパンナレッジ http://japanknowledge.com/users/
●NetAdvance : 沿革 http://www.netadvance.co.jp/corporate_history.html
●小学館、キーワード1つで各種データベースを検索できるサービスを開始 http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2001/0416/jkc.htm