知のパラダイムシフト

●今村友紀 〈出版×デジタル〉の未来予想図

A:<メディアとしての紙>から<デジタル化するメディア>へ

●今村友紀 〈出版×デジタル〉の未来予想図 〜作家・今村友紀による『ツール・オブ・チェンジ』精読〜 #10(最終回) http://dotplace.jp/archives/8369
1.メディア環境がネット中心となり、コンテンツの流通コストが激減したため、コンテンツが溢れかえる時代になった。2.消費者の時間の使い方が、モバイル・ウェブ中心に大規模にシフトし、本のようなパッケージビジネスは厳しい情勢に追い込まれている。3.その中で、出版社や書き手にとって、価値を生み出すのに、大きく2つの方向性が浮上してきた:ウェブやモバイルの領域を新しい販路と捉える「販路拡大」戦略/デジタル化できない、リアルなヒトやモノを扱う部分で価値を作り出していく「高付加価値化」路線。その際、重要なのが「データによる意志決定」。

●EPUB概説:電子出版物とWeb標準 https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/57/9/57_618/_pdf
EPUBはさまざまな「書き物」をWebで使われるHTMLを用いて、「構造化された文書」として表現する方法を選択。つまりPDFなど、紙面のレイアウトを再現する方法はとらなかった。しかしそのことで「オープン性とロイヤルティーフリー」を実現することに成功し、同時に「多様な閲覧環境への適応」、そして「アクセシビリティ」へ道を拓くことになった。

●改正著作権法と新しい書協ひな型について  http://www.kottolaw.com/column/000904.html
DVDやCDROMなどは、取次経由販売されることも多い。新著作権法では、こういった「頒布」の対象とされる電子化は第1号出版権の対象、公衆送信され、「配信」さるものは第2号出版権の対象、という整理をした。しかし、ここで第2号出版権の範囲を「文書又は図画」に限定しています。つまり、「マンガ「のだめカンタービレ」を読んでいる最中に登場人物が演奏している楽曲がどんなものかを聞くことができたり、グラビアのページが大好きなモデルやタレントが佇む動画になっていたり、といった電子書籍」は想定外。

●本文と見出しのフォントサイズを数学的にバランスの良い比率でデザインする http://coliss.com/articles/build-websites/operation/design/online-visual-type-scale.html

さまざまな比率をベースにして、本文や見出しの各フォントサイズを検討できるオンラインサービス。

●デジタルパブリッシングならではの、より自由な旅行ガイドへ http://www.slideshare.net/JEPAslide/141205jtb


出版のデジタル化の、模範となる事例。コンテンツの対象の変化に対応し、「サービス」視点から商品設計をし直した。すなわち、「旅行行動の変化:マスツーリズムから パーソナライズ化された旅へ/ネット環境の充実 :誰もが旅行情報を取得できる/観光に対する高まる期待 :域振興・雇用の創出/物見遊山型のパッケージツアーから、個々のニーズにマッ チしたパーソラナイズ化された旅へ」。そこで「徹底的に旅行者の視点に立った新しい旅行情報サービスを作」ることに。

●WOODYが本を書く過程で読者を集める事ができる機能を追加。更にスマートフォン対応も。 http://ameblo.jp/thewoody-jp/entry-11957167294.html

「ブロガーが簡単に電子書籍を出せるツール」から「本を書く過程で読者を巻き込んでいく事のできるコミュニケーションの場」へ。コミュニティとスマホへ対応。

●ネットでの会員登録やダウンロードなどが不要ですぐ読める“電子の本” 名作の電子書籍を収録した『honto pocket(ホントポケット)』 http://www.dnp.co.jp/news/10105174_2482.html

端末の機能をうんと絞り込んだうえで(たとえば、ネット通信はできない)、読みたい本がすでにバンダルされた形での電子書籍端末は、いかが? まるで、単行本にデジタル・データ(電子書籍)がぎゅっと詰まっている(文庫本で最大100冊分の電子書籍)感じ。たとえばアガサ・クリスティ全集100冊入りで、74800円。

●TSUTAYA店頭で紙を購入すれば電子版も無料でゲット 「Airbook」が12月スター http://booklive.jp/landing/page/airbook-tsutaya/

紙を買うと電子版がついてくる。その「ついてくるやり方がとてもお手軽。Yahoo! JAPAN IDとBookLive!会員の登録/連携を初回だけやっておけば、後はTカード提示だけで自動的に本棚へ。

●版元も取次ももはや諦め気味?困難極める書店チェーンの経営事情 http://www.premiumcyzo.com/modules/member/2014/11/post_5559/

ここ10数年で起きたのは、コンビニによる雑誌販売売上の簒奪、それに追い打ちをかけた「ナショナルチェーンが店舗の大型化を仕掛け、それに対抗できない中小書店(特に地方)が潰れていく」という現象。この過程で発生したのが、「書店員の労働過多とレベルのバラつき」。さらに多品種少量という業態特色が、ネットオンライン店舗の出現で、リアル店舗維持コストの負担を難しくしていった(ベストセラー銘柄の争奪消耗戦が書店離れ、読書離れをかえって助長する悪循環)。

●ブックオフコーポレーション 2015年3月期第2四半期決算説明会資料 http://www.bookoff.co.jp/ir/2015.3-2Qsetsumeikai.pdf

「リユース革命」の旗色鮮明に。「「BOOKOFF」「リユース」という取扱商材を軸にした組織運営から、店舗パッケージを軸にした運営に変更するに伴い、報告セグメントの区分を変更」。また「「TSUTAYA」事業(31店舗)を会社分割により10/1付で日本出版販売㈱へ譲渡。より「リユース」に資源を集中」。

●出版社12社と連動し、第1回「文庫女子」フェア開催 - TOHAN website http://www.tohan.jp/whatsnew/news/121/

「読む」価値に気付いてほしい、が狙い。「フェアを通して「文庫を持つことがオシャレ」といったトレンドが誕生することに期待している」。

●女を読む。女が読む。2014 発見!角川文庫 http://www.kadokawa.co.jp/onna2014/
今を生きる女性たちに贈る、女性たちの物語を集めた角川文庫の文庫フェア。

●日経電子版の会員総数が250万人に エバーノートとの提携で「使う新聞」へ http://edgefirst.hateblo.jp/entry/2014/12/03/085430


やっぱり日経はすごい。WSジャーナルが英語で、世界から集める有料会員数が89万人なのに対し、日本語という狭い世界の勧誘で89万人、集めてしまう。20代以下15%、30代22%と30代以下で合計37%。若年層の比率も着実に拡大。隙間時間の消費を単なる「ヒマ潰し」にしない工夫がある、ということか。

●2014年電子出版関連の気になるニュースまとめ http://www.slideshare.net/JEPAslide/2014jepa-by-20141205

元旦に予想した「2014年の動き」で、「あたり」は電子図書館/電子雑誌/電子漫画雑誌/セルフパブリッシング。「△」は、Kindle for PC、Reader for PCが提供開始。「×」は、タブレットの大型化・高解像度化/週刊少年マガジンが紙と電子の同 時配信に踏み切る。