イスラームにおける「公」と「私」

イスラームには、西欧近代と同じ意味での公と私の観念はない。

アラビア語で公と私に近い言葉として、「アーンム」(公衆の/一般の/全体の)と「ハーッス」(私人の/特殊な/個別の)がある。

これは、公と私と言うよりも、個と社会に近い。個とはムスリム(イスラーム教徒)であり、社会とはウンマ、つまりイスラーム信徒共同体である。

参考文献:
イスラム世界の経済史』 第二部第3章第2節:イスラム世界における公共性  加藤博(NTT出版、2005年)
「イスラーム市場社会の歴史的構造」加藤博 『比較史のアジア 所有・契約・市場・公正 (イスラーム地域研究叢書)』  三浦徹ほか編(東京大学出版会、2004年)
「イスラーム思想史における公と私」板垣雄三 『公共哲学1 公と私の思想史』  佐々木毅・金泰昌編(東京大学出版会、2001年)

■関連知識カード/章説明他:
ムスリム


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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