オスマン帝国が外国貿易を軽視したわけではないが、オスマン帝国の経済にとって、外国貿易は二次的な重要性しか持たなかった。
オスマン帝国では、国が直接、外国貿易に関与することはなかった。外国貿易に従事する大商人たちは、イスラーム教徒であれ非イスラーム教徒であれ、オスマン帝国領での商売を許され、非イスラーム教徒商人たちには、そのためのさまざまな特権が与えられた。*
参考文献:
『トルコ近現代史―イスラム国家から国民国家へ』 新井政美(みすず書房、2001年)
『オスマン帝国の時代 (世界史リブレット)』 80-81頁 林佳世子(山川出版社、1997年)
* この特権は、カピチュレーションと呼ばれた。「イスラーム諸国では、9世紀にアッバース朝がフランク王国に与えたのが最初といわれる。オスマン帝国はこの特権を1569年のフランスを皮切りに、イギリス、オランダと、ヨーロッパ列強に与えていった。カピチュレーションは、オスマン帝国のスルタンが相手国に対してオスマン帝国領での商行為を恩恵的に認めた特権であったが、その後、ヨーロッパ列強がオスマン帝国に押し付ける不平等条約の根拠とされた(永田雄三「カピチュレーション」 日本イスラム協会監修『新イスラム事典』平凡社、2002年)。」
■関連知識カード/章説明他:
国策としての重商主義経済
★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。
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