オスマン帝国の経済政策

とはいえ、オスマン帝国は歴代のイスラーム王朝と比べて、市場運営に慎重であった。

それは、オスマン帝国が、保護貿易主義(重商主義)政策をとらず、国内での需要に対する安定した供給を最優先する経済政策を採用したからである。

こうして、奢侈品や安価な外国産品の輸入を認める一方、国内需要を犠牲にした原材料品や食糧の輸出にたいしては高率の関税を課した。

広大なオスマン帝国は、一つの「経済世界」だった。

参考文献:
トルコ近現代史―イスラム国家から国民国家へ』  新井政美(みすず書房、2001年)
オスマン帝国の時代(世界史リブレット)』 80-81頁  林佳世子(山川出版社、1997年)
オスマン朝の食糧危機と穀物供給―16世紀後半の東地中海世界 (山川歴史モノグラフ)』  澤井一彰(山川出版社、2015年)

■関連知識カード/章説明他:
重商主義


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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