イスラーム経済と資本主義との違いをもたらした決定的な要因、それは、資本蓄積のメカニズムの差であった。
財・サービスの交換の原理と資本の蓄積の原理は異なる以上、それをサポートする制度もまた異なるであろう。そして、資本主義の形成には、財・サービスの交換をサポートするほか、資本の蓄積を可能とする制度が必要である。
近代ヨーロッパでは、国民国家と資本主義との結合が巨大な資本蓄積のメカニズムをもたらした。
ところが、イスラーム世界では、国民国家が未成熟であったため、資本蓄積のメカニズムが育たなかった。その理由として、「法人」概念の希薄さと短期的な契約観が挙げられている。
参考文献:
「イスラーム市場社会の歴史的構造」加藤博 『比較史のアジア 所有・契約・市場・公正 (イスラーム地域研究叢書)』 三浦徹ほか編(東京大学出版会、2004年)
『エリア・エコノミックス―アジア経済のトポロジー(ネットワークの社会科学シリーズ)』 原洋之助(NTT出版、1999年)
『経済史の理論(講談社学術文庫)』 J.R.ヒックス 新保博・渡辺文夫訳(講談社、1995年)
★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。
◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック








