イスラーム王朝が解体され、国民国家の集合体として編成される過程で、イスラーム経済の輝きは失われた。
イスラーム世界は商人を主体とした流通に基礎を置いていたが、近代資本主義では、経済の重心が流通から生産へ、経済の担い手が商人から企業家へと移ったからである。
その結果、イスラーム世界はヨーロッパを中心とした世界経済システムの「周辺」に堕していく。卑近な表現を使えば、近代における経済競争において、イスラーム世界は「負け組」となった。
参考文献:
「世界経済史におけるイスラ-ムの位置」加藤博 『社会経済史学の課題と展望』 社会経済史学会編(有斐閣、2002年)
『経済史の理論(講談社学術文庫)』 J.R.ヒックス 新保博・渡辺文夫訳(講談社、1995年)
『アジア・ダイナミズム―資本主義のネットワークと発展の地域性(ネットワークの社会科学シリーズ)』 原洋之介(NTT出版1996年)
★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。
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