市場経済と「制度」

ヒックスによれば、市場は、その形成から発展まで、市場と直接には関係のない制度的要因に支えられている(「市場経済が抱えるパラドックス」参照) 。

そもそも、市場とは、商人によって媒介される個々の取引の集積にほかならないが、個々の取引そのものが、「財産の保護」や「契約の保護」という法の整備を必要とする。商業は、平和裏での、合意に基づく所有権の移転だからである。また、市場の拡大も、「貨幣の使用」「法の整備」「信用の確立」などの制度があって可能である。

参考文献:
経済史の理論(講談社学術文庫)』  J.R.ヒックス 新保博・渡辺文夫訳(講談社、1995年)

□参照知識カード:
市場経済が抱えるパラドックス


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.3 基本概念・基礎用語編』を構成している「知識カード」の一枚です。


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