制度の経済学の祖であるソーステイン・ヴェブレン(1857~1929)は制度を、「人々の総体に共通なものとして定着した思考の習慣」(ホジソン 1997:9)であると述べ、制度を人びとの行為、選好を決定する社会的な枠組みと定義していた* 。
本書の問題関心から言えば、制度は日々の生活において個人と社会を結びつける媒体である。
参考文献:
『現代制度派経済学宣言』 G.M. ホジソン 八木紀一郎ほか訳(名古屋大学出版会、1997年)
『ヴェブレン(岩波人文書セレクション)』 宇沢弘文(岩波書店、2015年)
* そこには、慣習、フランスの社会学者、デュルケームのいう集団意識などのインフォーマルな規範、さらにはイギリスの哲学者、マイケル・ポランニーの「個人的知識」のような無意識下の暗黙的な知識も含まれる。こうなると、広義に解された「文化」とほとんど変わらない。
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