社会公正とマスラハ

マスラハは、アドル(正義)の概念と同じく、神の意図を体現しつつも一般住民の日常生活に根づく社会慣行をも反映した、いわば社会のコモンセンスであった。「社会福祉」や「公共福祉」と訳される。

ムフタシブ(市場監督官)に求められていたのはマスラハの実現であり、そのため、ムフタシブに任命される人物の資質、資格として、徳があり、イスラーム法の知識をもっているほか、ウルフ、つまり慣行に精通していることが求められた。

参考文献:
イスラム世界の経済史』 第二部第3章第3節:公共空間としての市場  加藤博(NTT出版、2005年)
「Maslahaの歴史的展開」三木亘 『オリエント』8巻1号、1965年

■関連知識カード/章説明他:
ウルフ


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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