ウルフ

イスラーム社会の慣行および慣習法。アーダとも言われる。

シャリーア(イスラーム法)はムスリムの全生活にかかわる規範であるが、実際の社会生活は、シャリーアを規範としつつ、法源と法領域を異にする三つの法規範からなるイスラーム法体系のもとで営まれた。三つの法規範とは、実定法としてのシャリーア(イスラーム法)、カーヌーン(行政法)、そしてウルフである。

ウルフは社会のコモンセンスを法源とする規範群であり、地域社会を定立者とし、その多くが時間的、地域的に限定された適用範囲を持つ。その典型的な法領域は、契約や債権債務関係の経済的な取引であった。

参考文献:
イスラム世界の経済史』 第二部第3章第3節:公共空間としての市場  加藤博(NTT出版、2005年)
文明としてのイスラム―多元的社会叙述の試み』 第4章:権力、第5章:法  加藤博(東京大学出版会、1995年)

■関連知識カード/章説明他:
社会公正とマスラハ
ムフタシブ(市場監督官)はマスラハを目指す


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.3 基本概念・基礎用語編』を構成している「知識カード」の一枚です。


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