第二は、ワクフ施設—「ワクフの対象」—である。これはワクフ物件からの収益がその建設・維持・運営のために充てられる慈善的、公共的な施設である。
具体的には、イスラーム教徒の社会生活の中心であるモスク(イスラーム礼拝所)、その多くがモスクに付属している高等教育機関であるマドラサ、公共空間において通行人に水を提供するサビ-ル(共同給水泉)、病院、墓地などである。通常、ワクフというとき、それは前者のワクフ物件を指す。
参考文献 :
『文明としてのイスラム―多元的社会叙述の試み』 第6章:宗教・第3節:イスラム社会に普及するワクフ 加藤博(東京大学出版会、1995年)
『イスラム世界の経済史』 第二部第5章:ワクフ(寄進)制度にみるイスラム市場社会 加藤博(NTT出版、2005年)
『トルコ・イスラーム都市の空間文化』 浅見泰司編(山川出版社、2003年)
関連知識カード/章説明他: マドラサ
★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。
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