「第一の局面」:水平的発展

勃興した市場は、まず水平的に発展する。それは、取引の空間的な拡大である。しかし、その拡大はほどなく「収穫逓減の傾向」に直面する。つまり、商人の利潤は取引量に比して下落し、資本増加率も減少する。それゆえに、商業の拡大テンポも鈍化する。

それを回避し、拡大のテンポを維持しようとすれば、取引の危険と取引費用を減少させるため、新たな商品や新しい販路を求めて商業の多角化をはからなければならない。しかし、そのためには、多角的な取引での信用を担保する財産の保護と契約の保護の制度が不可欠である。

参考文献:
経済史の理論(講談社学術文庫)』  J.R.ヒックス 新保博・渡辺文夫訳(講談社、1995年)


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.3 基本概念・基礎用語編』を構成している「知識カード」の一枚です。


◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック