シャーヒド(取引の契約に立ち会う証人)の選定、必要な資質

中世イタリア都市の公証人は庶民の日常化された法意識に活動根拠をもっていたが、イスラーム世界のシャーヒド(取引の契約に立ち会う証人)もまた、高踏的なイスラーム法を日常化し、社会のなかでイスラーム法と民衆を結びつける役割を果たした。

かれらは、イスラーム世界の契約社会を支えていた住民の法意識の担い手であった。*

参考文献:
イスラム世界の経済史』 第二部第2章第2節:イスラムにおける契約観  加藤博(NTT出版、2005年)
中世イタリア商人の世界(平凡社ライブラリー)』  清水廣一郎(平凡社、1993年)

* シャーヒドはイスラーム法(シャリーア)のみならずウルフ(慣習法)についても造詣の深い人物のなかから選ばれ、裁判で証言し、裁判官とともに法文書を作成するとともに、民間にあって、法律の手引書(シュルート)を参照しつつ契約文書を作成した。


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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