アーレントの「私的領域」「社会的領域」「公的領域」

ヘーゲルと同じく、アーレントもまた、社会の圏域を家族、市民社会、国家の三領域として考える。彼女の言葉を使えば、ヘーゲルとはそれぞれ意味合いをやや異にはしているが、私的領域、社会的領域、公的領域の三領域となる。

この中でも、アーレントがとりわけ問題を見出しているのが、社会的領域、すなわち経済(市場)社会だ。


■参考文献
『人間の条件』 ハンナ・アーレント 原著一九五八年I):「条件づけられた人間が環境に働きかける内発的な能力、すなわち「人間の条件」の最も基本的要素となる活動力は、《労働》《仕事》《活動》の三側面から考察することができよう。ところが《労働》の優位のもと、《仕事》《活動》が人間的意味を失った近代以降、現代世界の危機が用意されることになったのである。こうした「人間の条件」の変貌は、遠くギリシアのポリスに源を発する「公的領域」の喪失と、国民国家の規模にまで肥大化した「私的領域」の支配をもたらすだろう。本書は、全体主義の現実的基盤となった大衆社会の思想的系譜を明らかにしようした、アーレントの主著のひとつである。」(出典:筑摩書房 )英語版底本からの翻訳が日本語タイトル、『人間の条件』。もともとのドイツ語版底本からの翻訳が日本語タイトル、『活動的生』。[編集部]

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I. :「条件づけられた人間が環境に働きかける内発的な能力、すなわち「人間の条件」の最も基本的要素となる活動力は、《労働》《仕事》《活動》の三側面から考察することができよう。ところが《労働》の優位のもと、《仕事》《活動》が人間的意味を失った近代以降、現代世界の危機が用意されることになったのである。こうした「人間の条件」の変貌は、遠くギリシアのポリスに源を発する「公的領域」の喪失と、国民国家の規模にまで肥大化した「私的領域」の支配をもたらすだろう。本書は、全体主義の現実的基盤となった大衆社会の思想的系譜を明らかにしようした、アーレントの主著のひとつである。」(出典:筑摩書房 )英語版底本からの翻訳が日本語タイトル、『人間の条件』。もともとのドイツ語版底本からの翻訳が日本語タイトル、『活動的生』。[編集部]