市場経済が抱えるパラドックス

経済学において、「市場のパラドックス」が知られている。それは、通常、市場の作動がうまくいかない「市場の失敗」を意味する。しかし、それ以前に、市場経済はその存在そのものに、パラドックスを抱えている。市場経済は非市場的外部条件に依存する、というパラドックスである。

市場は、ひとつの均衡へ向かうダイナミックな交換の運動である。ところが、ひとたび均衡に至ると、交換の前提となっていた差異は消滅し、交換の運動自体が停止してしまう。そのため、市場での交換を停止させないためには、差異を不断に作り出さなければならない。

参考文献:
イスラム世界の経済史』 第一部第3章第1節:市場と外部条件  加藤博(NTT出版、2005年)
現代経済学の考え方(岩波セミナーブックス(12))』  宮沢健一(岩波書店、1985年)

■関連知識カード/章説明他:
市場の失敗


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.3 基本概念・基礎用語編』を構成している「知識カード」の一枚です。


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