ヨーロッパ中心史観というバイアス

イスラーム世界の経済は純粋な市場経済である、との言説に対する違和感は、われわれが過去を現在から出発して解釈することから生じる。だが過去はわれわれが想像する以上に多様で、豊穣な世界である。

一体、現在の資本主義が唯一の市場経済システムなのであろうか。近代ヨーロッパに成立した資本主義を介して、市場経済を近代ヨーロッパと一義的に結びつけることは、ヨーロッパ中心史観というバイアスを持ち込むことになるように思われる。

参考文献:
イスラム世界論―トリックスターとしての神』 第一部第2章:イスラム復興とオリエンタリズム  加藤博(東京大学出版会、2002年)
アジア・ダイナミズム―資本主義のネットワークと発展の地域性 (ネットワークの社会科学シリーズ)』  原洋之介(NTT出版1996年)


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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