サルの警戒音

動物たちは、仲間がする行動に同調する能力を持っている。それが顕著に現れるのは危険を感じたときだ。

ニホンザルも危険を察すると「クアン」という警戒音を発し、仲間はすぐ反応して、同じ声をあちこちで発する。

アフリカのサバンナで暮らすミドリザルは、異なる外敵に対して三種類の警戒音を使い分けている。空から襲ってくるワシタカ類への警戒音には樹冠部から下りて枝の間に身を隠し、ヒョウの警戒音には逆に木に駆け上がる。そして、ヘビの警戒音には立ち上がって辺りを見回す。サルたちはそれぞれの音声に対応した適切な行動を取るのである。


■参考文献
『考えるサル―知能の進化論』  リチャード・バーン 小山高正・伊藤紀子訳(大月書店、一九九八年)原著一九九五年

『ヒトはどのように進化してきたか』  ロバート ボイド、ジョーン・B・シルク 松本晶子・小田亮監訳(ミネルヴァ書房、二〇一一年)原著二〇〇二年

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

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