直立二足歩行と音楽の能力

直立二足歩行は、人類が最初に獲得した人類固有の特徴で、七百万年前にすでに登場している。この特徴が後に言語の発声に貢献したことはよく知られている。

直立したことによって喉頭の位置が下がり、声道が広がって空気が声帯を通るときに生じる音波が共鳴するようになったのである。

しかし、言葉の発声より前に、音楽的な資質を高めた可能性もある。腕を体の支えに使わなくなったので、弁状喉頭が胸の空気圧を安定させる働きを弱め、膜状の柔らかい声帯に変化して発声できる音の種類が広がったというわけである。


■参考文献
『歌うネアンデルタール——音楽と言語から見るヒトの進化』  スティーヴン・ミズン 熊谷淳子訳(早川書房、二〇〇六年)原著二〇〇五年

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

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