アイカードブック創刊の狙い

イ.「読書」環境の変化に対応
ロ.「学習」観の変化への応答
ハ.「移行期」にあるヒト社会に、「知のエコシステム」の刷新・再起動が必要

■アイカードブック商品サイト:http://society-zero.com/demo/index.html
icardbook front

イ.「読書」環境の変化に対応

「読書」が机に向かって本を読む、というスタイルから、隙間時間にどこでも好きな時にスマホ等の情報端末画面から読む、というスタイルに変わりました。この時代の変化に合わせ、スマホ最適化を果たした専門書がアイカードブック(iCardbook)です。

ロ.「学習」観の変化への応答

2020年から始まる次期学習指導要領で、「主体的・能動的な学習(生徒視点の「学習」観)」へはっきりと教育の現場が舵を切ることが明言され、それは「アクティブ・ラーニング」という単語でも表現されています。そしてその舵切りの理由は「与えられたことをこなすだけでは、生きていけない社会が到来するから」なのです。

参考文献
・成熟社会に相応しい教育と学習指導要領改訂について  http://www.sky-school-ict.net/shidoyoryo/160610/
・未来を生きる子どもたちのために、学校教育に求められるものは何か|新課程における新しい学びとは  http://berd.benesse.jp/feature/focus/16-shinkatei/activity1/

与えられたことをこなすだけでは、生きていけない社会」に生きているのは小学校、中学校の生徒だけであるはずがありません。大学生、社会人、シニア世代、あらゆる日本人がアクティブ・ラーナーにならなければならない社会を私たちは生きています。その時代の要請にこたえるホン作りが、出版社には求められています。アイカードブック(iCardbook)はそれへの、ひとつの応答、試みです。

 「日本では、「プッシュ」された情報を受けとるだけの人が多くいます。それは、テレビの視聴時間が長いことに現れています。(略)日本の書籍に索引がないのは、書籍がプルの手段として意識されていないからでしょう。アメリカでは、索引のない本は専門書とはみなされません。これは、情報を「プル」したいと考えて本を読む人が多いからです。」(野口悠紀雄『知の進化論』 第四章 検索という方法論)

アイカードブック(iCardbook)は索引欄の充実、参考図書の拡充をメビウスの輪のようにくるりと裏表一回転させ、いわば索引用語に本文を付け、さらにそれに参考文献を紐づけた、まったく新しい「書き物」です。それはアクティブ・ラーナー(それはたとえば情報を「プル」したいと考えて本を読む人でしょう)のサポートを目指して作られたのです。

 ハ.「移行期」にあるヒト社会に、「知のエコシステム」の刷新・再起動が必要

現在誰しもが、20世紀型のあるいは近代西欧社会出自の価値観、制度、社会・経済の仕組みではこれから立ち行かなくなっていくのではないかと漠然と考えていないでしょうか。

詩想舎は現在が数百年に一度、ひょっとすると数千年に一度起きるであろう移行期に、ヒト社会がある、と考えています。出アフリカを経験した数万年前、狩猟採集社会から定住型社会へシフトした数千年前、この時と同規模の変化が、産業革命や情報革命を経た人間社会におき始めている。いまこそ「専門知」が求められています。

紙の本の「流通」の横に、もうひとつ、デジタル時代にふさわしい「専門知」の流通の仕組みを構築、もって「知のエコシステム」を刷新、再起動させることは、出版人の喫緊、最重要な使命であろうと考え、アイカードブック(iCardbook)を創刊しました。

 


◆関連URL
・本のネットワーク化 http://society-zero.com/icard/network
・機械が「読む」時代の知に対応するために « マガジン航[kɔː] http://magazine-k.jp/2016/02/12/more-machine-readable-books/