●日本では取次制度が、米国では大手寡占が、崩れ始めた

A:<メディアとしての紙>から<デジタル化するメディア>へ

●アマゾンと出版社、容赦ない取次「外し」加速…問われる取次の存在意義、存亡の危機か http://biz-journal.jp/2016/02/post_13887.html
「うちの取次への正味(卸率)は67%です。しかも新刊は5%の歩戻しが取られますので、実質正味は62%です。また、支払いがアマゾンは月末締めの翌々月末払いとかなり早いですが、取次の場合は6カ月以上かかります。1月に書籍を出してお金が入ってくるのは7月とか8月になってしまうので、アマゾンの提案に気持ちがぐらつくのも当然です」。
実は2015年4月、KADOKAWAはアマゾンとの直取引スタート。

●また大手取次が破綻!日販・トーハンの冷酷すぎる「首絞め」、雪崩的に取引奪われる http://biz-journal.jp/2016/02/post_13805.html
「出版界では、取次があの手この手で優良書店を奪い合ってきた。20世紀までは売り上げ拡大がその大きな目的だったが、21世紀に入って出版市場の縮小と書店廃業の進行により、売り上げの維持・確保のために帳合変更をめぐる争いはますます苛烈になっていった」。
「平成17年6月期に売上高が487億円あったが、出版市場の縮小に伴う競争激化、帳合変更により、複数の主要取引先を失い、平成27年6月期には売上高が171億円にまで激減した」。

●太洋社の廃業影響による書店閉店4例目、熊本の(有)ブツクス書泉が店舗閉鎖 http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20160217/Tsr_tsr20160217_01.html
「太洋社の自主廃業。これにより、数日間で帳合(仕入)の変更せざるを得ない状況となり、帳合先変更に伴う保証金の捻出が困難であることや、変更後は総利益率の低下が避けられない見通しであることから、店頭小売事業の継続を断念。今後は、従来から取引していた専門書の取次業者の協力を得て、外販や配達業務にて事業を継続する」。

●黒字企業が消えていく ~自主廃業3万社の衝撃~ - NHK クローズアップ現代 http://www.nhk.or.jp/gendai/yotei/index_yotei_3771.html
少子高齢化時代は、書店、出版社に限らず、後継者難廃業の時代でもある。

●出版業界に激震、「脱・取次」広がる…書店と出版社双方に恩恵、マージン中抜きも不要 http://biz-journal.jp/2016/02/post_13869.html
英ガーディアン紙による「世界の素晴らしい書店ベスト10」にも選ばれた、恵文社一乗寺店(京都市上京区)で13年間店長を務めた人物が始めた書店。彼が採用したのが、街の書店が生き残る術、「直取引という方法」。
背景に採算ラインの低下がある。
「出版社はこれまで、数万~数十万部売れる「ベストセラー本」をつくり、取次を通じて全国の書店に配本・販売してきた。しかし、現在の出版業界は、販売部数が3000~5000部でも成り立つマーケットに変わってきているという。部数は少なくても、そのぶん嗜好性が高く、面白い本をつくる出版社が増えている。そこでつくられた本は、特定の書店に置かれるだけで十分に成立する」。

●なぜデジタルコンテンツが売れ始めたのか?/第二回「出版社のファン、編集者のファン、その出版社がつくった本のファン」 http://blog.livedoor.jp/thinkzero/archives/2560878.html
本を売るための場ではなく、たくさんの人に訪れてもらうための場」。
「「学びの場」が構築できれば、媒体力のないインディペンデントでも、習得本を必要としている人たちに、情報を伝えることができる。たとえ、「砂漠のど真ん中にある小さな店」であっても、店に隣接する学校が魅力的なら、ルートができるはずだ」。

●(図書館考)貸し出し猶予、「主張に矛盾」 図書館側が反発「本売れぬ要因は他に」 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12212160.html?rm=150#Continuation
「千葉県船橋市や東京都武蔵野市などによる意識調査で、図書館を利用しない理由を尋ねたところ「読みたい本は自分で買うから」が約半数を占め1位だった」。また、「総務省の家計調査年報で02年と14年のデータを比べると、本への支出が約24%減る中、塾などへの月謝や国内パック旅行も約16~24%減少しており、経済的な要因」もありそう。

●電子書籍と紙の本、ちゃんと読むならどっち? 学生アンケートで意外な結果に http://www.huffingtonpost.jp/2016/02/15/students-prefer-print-books_n_9240534.html
「アメリカン大学の言語学の教授で、ハフポストUS版のブロガーでもあるナオミ・S・バロン氏が、アメリカ、日本、ドイツ、スロバキアの300以上の大学の学生を対象に、読書に関する調査を実施した。彼らに「紙の書籍、携帯電話、タブレット端末、電子書籍、ノートパソコン」の中でどの媒体を好むかを尋ねたところ、なんと92%の学生が、しっかりとした読書をする場合には紙の書籍がいいと回答」。

●大手出版社はデジタル戦線で後退 (1) http://www.ebook2forum.com/members/2016/02/latest-author-earnings-report-shows-expanded-vew-of-the-market-1/
米国の話。価格をあげてみたがかえって収益を失った大手出版社。この間隙にインディーズが進出している。

●アメリカで電子書籍の売上が大失速!やっぱり本は紙で読む? 【最新レポート】電子出版革命のゆくえ http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45562
ピクセルと印刷の間の覇権争い、という視座は一度捨てた方が良い。
「アマゾン社における電子書籍の売上は、依然として上昇傾向にあると言う。電子書籍市場の約65%を牛耳るアマゾン社は、昨年、月10ドルの一律料金で無制限に電子形態の本を読める、電子書籍の定期購読サービスを始めた。そこでは100万冊以上の書籍が提供されているが、多くは自己出版の著者によるものだ」。

●大手出版社はデジタル戦線で後退 (3)紙と音 http://www.ebook2forum.com/members/2016/02/latest-author-earnings-report-shows-expanded-vew-of-the-market-3/
「E-Bookの3分の2のシェアを持つと言われるアマゾンのシェアは、印刷本で市場の4分の1、A-Bookは8割あまりと考えられている(iTunesもAudibleを利用)」。
そしてPOD恐るべし。アマゾン印刷本販売部数の1割に成長。またダウンロード・オーディオブック(A-Book)は、米国の出版産業の中で唯一の急成長分野で、まだ限界を見せていない。ここでもインディーズが進出している。



●Audible(オーディブル)- 物語に耳を澄まそう。無料体験から始める新しいライフスタイル https://www.audible.co.jp/?source_code=FBOOTHRALLW020116001Z
Audibleは、月額1500円でオーディオブックが聞き放題となるサービス。オーディオブックとは小説やビジネス書などの書籍を目で読むのではなく、朗読した音声を耳で聞くもの。
http://bit.ly/1SMbdRV

●プリントディスアビリテリィのある人のためのテキストデータコンテンツの提供の課題 http://code.kzakza.com/2016/02/books_to_txt/
こちらは機械読み。「視覚障害や学習障害など様々な理由で印刷物を読むことが困難な状態、つまり、プリントディスアビリティ(Print Disability)にある人のために、紙の書籍からテキストデータコンテンツ(テキストDAISYやプレーンテキストなど)を製作する図書館や機関、団体が増えてきています」。
しかしテキストをデジタル化するうえで日本語にはハンディキャップが多い。それで「音声合成システム(TTS)が読み上げない文字に対する対応の観点からは、プレーンテキストでは、「読みを補記する(注記であることを明記する)」対応をしつつ、構造化では、EPUB3のSSMLの利用環境が整うまでは、DAISY3による構造化しかないかもしれません」、ということになる。

●カクヨム - 「書ける、読める、伝えられる」新しい小説投稿サイト https://kakuyomu.jp/
カクヨムの面白いところは、二次創作を投稿できること。無論、二次創作可能OKの作品に限るが。

●鼎談:自己出版ブームの原点、藤井太洋「Gene Mapper」誕生秘話 http://magazine-k.jp/2016/02/16/untold-story-about-gene-mapper/
「『Gene Mapper』は、たぶん「EPUBで本を読む人たちを対象にした初めての小説」になるだろう、と考えて書きました。EPUBに手を伸ばすぐらいだから、このぐらいわかるはずだと思って、IT用語などもあまり砕いて説明せずに書いています」。

●書籍の執筆・編集・デザイン・販売の近未来。クラウドブックエディタサービスというコンセプト http://social-design-net.com/archives/26784
装丁や書籍の中の図表、イラストなどもデザインできる本格的なセルフパブリッシングツール。実績のある優秀な編集者や本のデザイナーが集うクラウドソーシングサービスという側面も。
「時代はクラウド&AIにおけるコラボレーション時代だ。それを実現しようとするサービスは、支持されていく」。

●人気雑誌読み放題サービス「タブホ」、全国のセブン‐イレブンにて販売開始 http://www.optim.co.jp/news-detail/19337#.VsFG5YB97VE.twitter
タブホは、月定額料金で、400 誌 1,000 冊以上の電子雑誌を購読できる定額サービス。そのプリペイド版をセブンイレブンの店内機から購入可能に。

●シャープ、「GALAPAGOS STORE」で購入したコンテンツのブラウザー閲覧に対応 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20160215_743617.html
電子書籍ストア「GALAPAGOS STORE」で購入したコンテンツについて、「ブラウザビューア」での閲覧に対応。

●楽天、電子書籍子会社のkobo株式を減損処理 「事業計画に遅れ」 http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1602/12/news116.html
個別決算の評価損はkobo以外の関係会社株式も含む合計額。

●読売新聞、震災5年特集で360度動画を活用 被災地の今をVR体験 http://edgefirst.hateblo.jp/entry/2016/02/17/193258
「コンテンツの柱である360度動画では、例えば観光客を被災地を案内する南三陸町の「語り部バス」のツアーに同行する様子や、釜石市の宿泊客が震災当日に避難した裏山に登った様子などを視聴できる。再生しながら動画プレーヤー部分を指やマウスで動かすことで自由に回転させることが可能で、撮影している記者ももちろん映りこんでいる」。
「今回の読売の震災5年特集は、ユーザーに『被災地の今』をより深く伝えるという目的でVRを使っており、ジャーナリズムとして一歩踏み込んだ形と言える」。

●NHK、「NHK VR NEWS」を開設。VRジャーナリズムを追求 http://www.pronews.jp/news/20160218185053.html
「VR技術を使った報道は、海外において米国キー局のABC、CBS、ニューヨークタイムズや英国衛星放送Skyなどが本格的な取り組みを始めている。テレビ報道やオンラインコンテンツでは表現できない現場の実態を、疑似空間を通して伝えていくものである」。

●日経、若年層向け新デジタル媒体ローンチ、加速する広告戦略:電子版役員渡辺氏インタビュー http://digiday.jp/publishers/nikkei-new-media-launch/
「もちろんFacebookなどに記事を出すようにしていますので、サイトを直接訪問する比率は少しずつ下がっていますが、今でも半分以上がトップページへの直接訪問です。検索流入よりも多いのです。これは昔からやっているブランドの強さで、日経電子版は読者にブックマークされていると考えています」。

●英新聞、部数の下落傾向が止まらず ―読者との「関係性」重視へ http://bylines.news.yahoo.co.jp/kobayashiginko/20160215-00054425/
3つの生き残り策。会員制:ガーディアンは、購読料を支払う形とは別個に、読者に経営を支援するための会員になってもらう制度を構築/御用聞き型:地域社会を巻き込み、協同組合型で発行する新聞。地方季刊紙「ブリストル・ケーブル」(2014年創刊)は、地元民の意見を拾い、読みたいという記事を取材・掲載する/「かかわり度(エンゲージメント)」を重視。

●日経+FTの可能性 世界を狙う「隙間戦略」 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12210323.html
「読者の平均世帯年収は16万2225ポンド(約2700万円)。キャメロン英首相の年収約15万ポンドを上回る飛び切りの富裕層だ。しかも部数78万部のうち電子版が7割を占め大半が英国外で売れている。安価に瞬時に、世界中に情報が届けられるというネットの特性を活用し、各地の一握りの富裕層のみをターゲットとする。まるでネット企業のような、グローバルなニッチ(隙間)戦略」。

●「爆買い」のテレビ取材はなぜ紋切り型なのか 中国を「虚像」でしか見ていない日本人の盲点 http://toyokeizai.net/articles/-/104384?page=5
テレビだけの話ではないし中国の話だけでもない。福島も、経済も社会も教育も。デジタル化好機をどう利用するかの前に、日本のメディアの視野狭窄症的現象について。