最先端のデジタル教科書はこんな風。【セミナー備忘録】

(個人用のメモです。議事録ではありません。記事中の図画はjepaサイト公開資料、あるいは会社HP他を使用しています)

JEPA: 東京書籍「新しいデジタル教科書」

■JEPAセミナー 2015年6月25日 東京書籍「新しいデジタル教科書」 http://www.jepa.or.jp/sem/20150625/

■講師:
・東京書籍株式会社 ICT事業本部 第一営業部 部長 川瀬 徹 氏
・東京書籍株式会社 ICT事業本部 制作部 部長 高野 勉 氏


EDUPUB

EDUPUBで、教育目的の機能を電子書籍フォーマットEPUBに持たせるための議論が続けられている。

大雑把だが、そこでは次のような項目がデジタル教科書を念頭に検討されている。

【A】ウィジェットあるいは対話的コンテンツ
~データをやりとりして(=対話的)作動する部品、そして機能をどう実現するか。完成すればたとえばチャートが作成されたり、グラフができたり、といった類のモノ。

【B】流通する(分解/再統合/変換される)素材
~仁徳天皇を祭った古墳の写真を使いまわしたい、といったニーズに応えるためのモノ。教科書や参考書の「部分」が、教材用素材として流通することが可能になる。

【C】外部アプリ連携
~参考書のある特定箇所、ビデオ、クイズ、シミュレータなどをデジタル教科書のある場所に引っ張ってくることで、内容をリッチにできる。

【D】学習分析データの収集
~生徒がなにをどこまで学習したのか、どこまで理解がすすんでいるのかなどを把握するため、学習logを集める仕組み。

【E】テスト、ドリル、演習問題

当日のセミナーで明らかにされた東京書籍の活動、最先端デジタル教科書が、これらEDUPUB検討項目とどう関係しているか、A~Fの記号で、併記しながら記述していきたい。

 

1.前提

デジタル教科書」は誤解を招きやすい単語だ。大学市場では講座を担当する教官が教科書を指定する。そういった書籍のデジタル化版がデジタル教科書と呼ばれる。

ところが義務教育課程においては、「検定教科書」が存在する。この概念は国による無償配布と裏腹の関係にあり、そういった書籍をデジタル化したものをデジタル教科書とは呼ばない。

「検定教科書」の周辺には、様々な文書が存在する。

学習指導要領
学習指導要領解説
教師用指導書
補助教材
教科書ガイド

現在義務教育課程で「デジタル教科書」というと、三番目の教師用指導書をデジタル化したもののことを指す場合が多い。

しかも、電子黒板の存在が大前提だ(必須ではない※)。ここから先の記述も、生徒は紙の「検定教科書」を持っていて、その教室で大画面の電子黒板があり、そこへ教師用指導書のデジタル版が大写しにされる。そういうシチュエーションが想定されてのことであることを忘れないようにしよう。



出典:平成25年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)

つまり「指導者用デジタル教科書」がまずは講演の対象。

次に、補助教材。この中の一部がデジタル化されるとき、「学習者用デジタル教材」ということになる。

そして最後に、「特別支援教育用EPUB3データ」。これは東京書籍が特に開発、商品化したものだが、教室で一般児童が紙の「検定教科書」を開いているとき、何らかの理由からその「検定教科書」を利用できない子供たちのために、紙の教科書に替えて端末に表示されるデータとして提供されるもの。

セミナーでは、

 指導者用デジタル教科書
 学習者用デジタル教材
 特別支援教育用EPUB3データ

この3つについて解説があったことになる。

2.2015年度版の大改定~現場の声の反映

MY教科書エディタ

前回の改定で、東京書籍はMY教科書エディタを開発した。前回平成23年版では、「見せる」「隠す」「編集する」の3大特徴を強調していたが、その「編集する」がMY教科書エディタ。

例題や挿絵など教科書の各パーツ(素材)をドラッグ・アンド・ドロップでMy教科書エディタ内にコピーし、既成の「デジタル教科書」の内容を変更、自分が担当する子供たち向けにカスタマイズできる。教諭自らが撮影した写真なども取り込めるため、独自性の高い教材を作成可能にする。

たとえば「川」の勉強をしている。教科書には天竜川の写真がある。神奈川県の小学校の先生が、この天竜川の写真を近隣の多摩川の写真に差し替えて教えると、生徒はより身近なこととして「川」を学習できる、といった具合。

【B】

電子黒板に音声・動画・グラフ・アニメーションを表示させる。これらの技術に胸をわくわくさせた段階から次のステップへ。東京書籍は平成23年版から平成27年版へと進化していた。すなわち、「学習効果を上げるために、デジタルに何ができるか、を探究する」段階へはいっている。

この視座から、平成27年版はさらにデジタルならではの機能を追加させている。

ドリル機能と補充プリント

【E】

これは柔道で言う乱取り。たくさんの類似問題をこなすことで、学力をたしかなものにしていく機能。
・ボタンを押すと、教科書と同型の問題がランダムに次々と現れる。
・教室で次々と解かせていくことができる。
・さらに印刷して配布することも=先生の負担軽減。
・すべてオリジナル。
・6学年合計で565枚。

・別途有償で「東京書籍・ICT / 問題データベース 」を事業として展開しているが、こちらはデジタル教科書の内容の一部として含まれている。
東京書籍 プリント ドリル 4

理解の経路をたどる、なぞるためのツール

【A】【C】

フラッシュ・カードはどちらかというと、上のドリル機能の「乱取り」に近いが、九九を繰り返し練習させ、理解の経路を確かなものにしていくのに便利なツール。
数カードは位取りを理解させるのに高い効果が期待できる。現場の先生方からの要望からできた。平成23年版では、「見せる」「隠す」で実証済みだが、人の理解は既知から未知へ、順を追って新しい情報、より高度な理解へと進んでいくことで達成される。その、何が既知か、また、すぐに次へ移れるかは生徒により異なる。

・紙の教科書では、全部が一度の視野にはいってくるが、いったんその大部分を隠して、順次見せていくことが理解を可能にするが、「分かっていること」、「求めること」、「図」、「式」という風に、「順次」を、より構造化した。
東京書籍 順次学習 5

・時計の文字盤、はかりの計量版でも同じような観点での工夫がしてある。針の動いた軌跡を色付き帯で表示することで、「スタート地点からここまで」が理解しやすい。
東京書籍 複数のパス  6

道具の使い方が簡単動画ですぐに確認できる

【C】

・学習の途上で、たとえばコンパスの使い方を確認する、など。過去の理解の深浅に応じて、あるいは理解の記憶の程度に応じて、いつでも、どの箇所からでも、「えっーと、あれはどうするんだったっけ?」にすぐ答えられる。
・この機能を作ってみて「左利き」用というのが、必ずしも、「右利き」の単純な対象物でないことがわかったり、発見があった。
東京書籍 道具の使い方 8

自分で操作して動かすことで理解を深められる

【A】【C】

・高い自由度を確保している。そのため実証実験では、作り手側が気づかないような解答例が出てきたりしている。
東京書籍 自分で動かす  9

わかりやすさの追求

【A】

・平成23年版での「隠す」効果に対し、グラフやアニメーションをバージョンアップ。たとえば、折れ線グラフが初年度からスタート、時間を追って伸びていく。そのピーク近くで一旦ストップ。「さあ、この線はこれからどうなるかな? さらに伸びる(と赤で線を描いてみせる)?、横ばい(と青で線を描いて見せる)?、減少する(と緑で線を描い見せる)?。 生徒の意見を聞いた後、折れ線グラフのアニメーションボタンを押すと、三本の予想線と重なりながら、実績がグラフ化される。

予想し、仮説を立ててから実績をみると、記憶の定着が全然違うし、そのあとの解説の理解もすばらしい。

東京書籍 シミュレーション 11

ここまでは実は先生方の要望を受けての実装。

これに対し、以下は技術の可能性を知る東京書籍からの提案。こんな機能があったらうれしくないですか? 学習効果があるのではありませんか?

3.2015年度版の大改定~新たな提案

360度パノラマ

【C】

・里山にある、田んぼにカメラを据え定点撮影をした。一年間。何にもなかった田んぼに苗が植えられ、季節が移り、稲穂が実り、収穫の秋を迎える。一連のストーリーが360度パノラマで見れる。東京書籍のスタッフの方の労作。
・夜空を一晩定点撮影した。西に日が落ち、天空に星が瞬き、やがて東の空が白み始めるのが、これも360度パノラマで展開される。

動画同時再生

【C】

動画は一過性で記憶に残りにくい。木曽川なら木曽川の上流、中流、下流の動画を教室で電子黒板上、並べて生徒に見せる。すると、たとえば水の流れの速さの違い、石の大きさの違いが、比較を通じてしっかり学習できる。
東京書籍 動画の比較参照 13

アップローダ機能

【B】

・これは画期的。全国教師間のコレボレーションを実現する壮大な機能。みんなでデジタル教科書を日々更新、刷新することができる。
・つまり、各地の先生がGPS機能で位置を特定しながら、自身が撮った写真を「デジタル教科書」へアップロードできる。そして他の先生がそれを使うことができる。

・MY教科書エディタ機能はある先生の自分用のカスタマイズだが、東京の先生が多摩川の写真を自分で撮ってこれても、沖縄の写真をわざわざ撮りには行けない。「○○先生、お願いします」といえば、沖縄の先生がアップしてくれる、イメージとしてそういう機能。もちろんわざわざいちいち頼まなくてもよい。日本地図上に、アップされるたびに旗が立っていく仕掛けがあるから。川とか花とかのカテゴリーもあるので、その中で必要な写真を探しに行くこともできる。

・シェアの仕組み、また「利他」を促す仕組み。すばらしい!
東京書籍 素材の流通・共有 14 (1)
○ユニバーサル・デザイン、学習者用デジタル教材は割愛。JEPAの当日の動画をみていただきたい。


◇関連クリップ
●公立学校のICT整備率、電子黒板75%・デジタル教科書33%…文科省調査 | リセマム http://resemom.jp/article/2013/09/18/15252.html
●東京書籍・ICT / カタログ・パンフレット ダウンロード http://www.tokyo-shoseki.co.jp/ict/catalog/pcsoft/j/002001

 

●東京書籍・ICT / 問題データベース http://www.tokyo-shoseki.co.jp/ict/feature/problem
・学力向上の強力なサポート誕生! 問題データベース 小学校4教科/中学校5教科 http://www.tokyo-shoseki.co.jp/newmulti/ten01754.htm

 

●教育総合サイト EduTown | 東京書籍 http://www.edutown.jp/

・キャリア教育 職業調べ/EduTownあしたね

・グローバル教育 国際交流の広場/EduTown UNITE もっとグローバルに!

・モノづくり/EduTown モノづくり世界一

・EduTown 聞き書き甲子園

・デジタル教材配信/Webライブラリ

・先生コミュニティ/教えUP!(β版 高校数学)

・教育資料データベース/東書Eネット

・学校生活支援アプリ/スクールパレット

・学校で使える/東書Webショップ

・コンテンツパーク/EduTownショップ
 

 

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