西洋文明の浸透によって、イスラーム世界は世俗化が進んだ。1923年に樹立されたトルコ共和国が政教分離の原則を国是として掲げたのは、その最たる例である。イスラーム教徒(ムスリム)たちは、自らの信仰を個人の内面の問題として捉えるようになり、信仰行為の実践や外面的な規範の遵守も緩んでいった。政治社会運動の主要なイデオロギーも、ナショナリズムや社会主義といった脱宗教的なものに占められるようになった。
参考文献:
『イスラーム世界の危機と改革』 加藤博(山川出版社、1997年)
『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』第1章第2節:そもそも宗教と世俗とは区別できるものなのか 加藤博(詩想舎、2020年)
『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』第6章第2節:中東諸国体制の形成 加藤博(詩想舎、2020年)
□関連知識カード:
タラル・アサドの世俗論
世俗化における「私」と「公」
「経済世界」の消滅
中東諸国体制は弱小国家の集合体
イスラーム体制の崩壊
★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(上) 資本主義の危機とイスラーム経済の登場』を構成している「知識カード」の一枚です。
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