新自由主義と進む市場化(その2)

1991年のソ連崩壊によってアメリカを中心とする資本主義陣営が「勝利」を収めると、市場化は2つの点で一層進むことになった。

1つは、それまで市場化を拒んでいた社会主義陣営に属していた国々における資本主義の本格的導入である。

もう1つは、1980年代から市場化を進めてきた先進国におけるさらなる市場化である。例えば、日本でも労働市場の流動化が加速し、終身雇用や年功序列型賃金といったしくみに代わって、派遣制度や能力別賃金といった市場化に親和的なしくみが導入されていった。このほかにも様々な分野で規制緩和が行われていった。

参考文献:
新自由主義―その歴史的展開と現在』  デヴィッド・ハーヴェイ 渡辺治監訳(作品社、2007年)
体制移行の政治経済学―なぜ社会主義国は資本主義に向かって脱走するのか』  中兼和津次(名古屋大学出版会、2010年)
イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』第1章第2節:なぜ市場経済としてイスラーム経済を取り上げるのか  加藤博(詩想舎、2020年)

□関連知識カード:
 市場経済は「悪魔のひき臼」

 


この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(上) 資本主義の危機とイスラーム経済の登場』を構成している「知識カード」の一枚です。



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