不当利得(リバー)の禁止

イスラーム経済哲学の4つめの特徴は、不当利得の禁止である。これはリバーと呼ばれる。

『クルアーン』には、「禁じられたリバーをとり、不正に人の財産を貪った者には、痛ましい懲罰を準備している」(第4章第161節)とある。『クルアーン』には、リバーの禁止に関する章句が、全部で6カ所出てくることから、この禁止がイスラームでいかに重要であるかがわかる。そして、イスラーム経済の普遍的可能性を考える上でも、キー概念の1つになるのである。

参考文献:
現代イスラーム金融論』第2章:リバー論の系譜  長岡慎介(名古屋大学出版会、2011年)
日亜対訳・注解 聖クルアーン(改訂版)』  日本ムスリム協会訳(日本ムスリム協会、1982年)
イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』第6章第2節:所有・所得の源泉としての労働  加藤博(詩想舎、2020年)
イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.3 基本概念・基礎用語編』【基本用語】  加藤博(詩想舎、2020年)

□関連知識カード:
 リバー(利子)の禁止
 不労所得の忌避
 リバー その1
 リバー その2

 

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。



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