「読書」は21世紀日本社会に必要ないものなのか


●中国イノベーション事情(21)“知識”を売る時代に?
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00449774
日本で、「知のエコシステム」が瀕死の状態であるにもかかわらず、中国では、2016年を「知識の有料化元年」と言っている、らしい。
「何でもネット検索ができる時代に、あえて知識習得がベースとなるコンテンツの創作と販売をビジネスモデルにする。情報が溢れる時代にあって、人生に必要な知識や有益な情報を購入することに価値を感じる人が増えている」。

●「紙の辞書は死んだんです」 国語辞典編集者が言葉と向き合い続ける中で見た現状 http://logmi.jp/235716
ネット上で引ける国語辞典は『大辞林』『大辞泉』の2冊。ほんとは、辞書には個性がある(辞書によって編集者の考えが違い、言葉の説明も異なる)のに。

辞書が今後生き延びていくには、伝統的な意味と、「人の相談相手になる」意味、両方の記載が必要だ。
「人の相談相手になる」意味とは、「今はどんな意味で使われているかを観察した結果を、辞書に載せる。現代的な意味で漏れている言葉を探して載せることは、これからの辞書の課題の1つでしょうね。「今日テレビで言っていたあの言葉は、どういう意味だろう?」と思って辞書を開くと、ちゃんとそれにふさわしい意味が載っている」、というもの。
そういった作業の結果、「辞書はコミュニケーションの悩みを解消する手引き」となるべき。

●学術書は世界を救う【前編】―紀伊國屋書店電子書籍セミナー2017〈京都会場〉より― – 教育と研究の未来 https://mirai.kinokuniya.co.jp/2017/10/2102/
論文の電子化とオープン化の流れをバックに流入してきたランキング主義がもたらした弊害=「Electronic Publication and the Narrowing of Science and Scholarship(電子出版と科学および知の狭隘化)」。それは、「投稿論文数がどんどん増えているんだけれども,引用される論文数の方は相対的に減っている。しかもその引用される論文の発表年は次第に新しいものばかりになっている。つまり,「特定の論文(だけ)があっという間に消費される」」現象。

この結果、研究者(=執筆者)側に「そもそも自分は何のために研究するのか,そのテーマや方法をなぜ選ぶのかという,根本的な問い」を問うことなしに、「これは今,学会の関心事だから」研究するのだという趨勢が産まれてしまっている。つまり、「journal-driven research」(学術誌駆動型研究)がはびこってしまった。

ランキングに主導されない出版、「本(学術書)が持っていた大きな社会的な意味を見直すべき時期が来ている」。

●学術書は世界を救う【中編】―紀伊國屋書店電子書籍セミナー2017〈京都会場〉より― – 教育と研究の未来 https://mirai.kinokuniya.co.jp/2017/11/2372/
「ジャーナルというのは,同業者の間でのコミュニケーションのメディアです。一方,本はもともと同業者以外に向けて発信するもの」、つまり「専門を超えた対話,あるいは知の社会的基盤を作るものとしての本」、それが専門書出版の本来の使命。

・京大新刊情報ポータル | Publications by Kyoto University Researchers http://pubs.research.kyoto-u.ac.jp/

●対談=橋爪大三郎・山本貴光 思考する人のための読書術 橋爪大三郎著『正しい本の読み方』 http://dokushojin.com/article.html?i=2309
「読書」はもはや21世紀社会に必要のないものとなているのだろうか。いや、そんなことはない。
「我々が社会で暮らす中で、他人と言葉を介してやりとりをしている。そのとき言語がとても重要である。本を読むことは言語を知ることであり、他人を知ることである。それは読書によってよく涵養される」のだから。

●リーディングスキルテストと6つの読解力 - 東京百舌 http://mozutokyo.hatenablog.com/entry/2017/11/09/025053
中高生の読解力がピンチ」だと声高に訴えているのが、国立情報学研究所の新井紀子教授。「リーディングスキルテスト」、教科書や新聞記事などの文章を読んでもらい、意味や構造を理解できているかを調査したところ、「例えば「メジャーリーグ選手の出身国の内訳」に関する中学校の社会科教科書の文章を読み、内容に合うグラフを正しく選べた中学生は12%で、高校生も28%にとどまった」。

今まで言われてきた「機械は暗記や計算が得意、だけど、人間は機械ができない"意味"が分かる」という認識は、リーディングスキルテストによって怪しくなってきた。

●来たるべきAI時代。求められる能力と、いま必要な教育とは http://www.janu.jp/report/files/janu_vol46.pdf
「近年の科学の進歩により、学習指導要領の内容は増えていますが、教科書のページ数は増やさないように内容が詰め込まれている。そのため、説明が足りず、意味のわからない文章が増えている(新井紀子)」
読めるか」が問題となっているが、読めなくなっている原因の一端が教科書そのものにあるかもしれない、との指摘。

●日本古典籍のポータルサイト 正式公開へ http://www.nijl.ac.jp/pages/cijproject/images/20171027_release.pdf
国内外の大学など約60の研究機関が所蔵する古典籍のデジタル画像を検索できる
データベースをインターネット上に公開。誰でも無料で利用できる。
同館は、江戸時代以前の日本の書物について、表紙から全ページをデジタル画像化。文学だけでなく、医学や自然科学などの分野も対象とした。

 

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●創建400年の築地本願寺「開かれたお寺」を目指し新施設誕生|築地本願寺のプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000028923.html
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